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砂漠の町といえばオアシスだな

お待たせ致しました、一週間ぶりの投稿です。

どうぞ、お読みください

 ここは世界最大の砂漠、『アンゲテナル砂漠』。そして人類が住む中で最も気温が高い地域。


 日射しが強い。もしも肌を晒していたら、皮膚が焼け爛れるのではないだろうか。

 風が熱い。呼吸をするだけで喉の奥を灼かれる様だ。

 足場が悪い。足を砂に取られ転倒したらひとたまりもないだろう。

 気温は40度を優に越えている。


 こんな環境に住んでいる奴らは頭がおかしいのでは?と思うほどに暑い。


 だが!これらは耐えようと思えば耐えられる!

 では何がツラいのか。



 「レイくん熱いよ~どうにかしてよもう歩けないよぉ」

 「あぁもう五月蝿い引っ付くな暑苦しい!!そんなこと言ったら俺だって暑いわ自分で歩け!!」


 答えは隣のヤツだ。砂漠に入ってからずっと騒いでる、五月蝿い。熱い暑い騒いでも熱さは変わらないんだから騒がないでほしい。


 「熱いなら魔法でどうにかしたらいいんじゃないですか?水とか氷とかだしてさ」

 「それが出来ればやってるよ。てか出来ないの分かってて言ってるよね?嫌味?」

 「いやいやそんなことはないですよ。ただ?自称『大魔法使い』のシキ先生なら?出来るんじゃないかな~って思っただけで?」

 「うっわチョーウザイよレイくんわざとらしいよ」

 「……そうか、これだとやり過ぎか。難しいな。気を付ける」


 イマイチ普通の人間らしさが分かんないな。もう少し頑張ろう。

 でも人間らしさってそもそも何なんだろうか。マトモな人間と触れ合った記憶がないからなんとも。


 「あっ!レイくんレイくん見えてきたよ!」


 シキの声に思考を邪魔されて顔を上げると砂漠の中に、緑が見えた。


 「あれが砂漠の憩いの場、オアシスだよ」

 「だから手を引くなくっつくなって!」

 「えぇ~いいじゃんよ。ほらほら早く行くよっ」


 くっつくと暑いから止めろって言ってんのに。まったく、仕方ない。あぁ、仕方ないから今回は許してやるか。





 「町に入った途端に涼しいねぇ。何でだろう魔法でも掛けてあるのかな?」


 なんでコイツはこんな元気なんだ。あんな全力で走ったのに。


 「レイくん息切れてるけど大丈夫?体力無さすぎじゃない?」

 「俺は……省エネ……主義なんだよ!」


 暇なときはひたすら寝てることを言ってくるのは嫌味なのか、嫌味なのか!



 「はぁ、とりあえずどっか入ろうぜ。腹減ったし疲れた、主に最後に走ったせいで。」

 「はいはい、レイくんは育ち盛りだからいっぱい食べないとね」

 「これ以上伸びねぇよ!さっきから全部分かってて言ってるだろ!」




 「いらっしゃいませ、ここは砂漠で唯一のレストラン。どうぞ、おくつろぎ下さい」


 スイングドアを開けて店に入ると、素敵な白髭を携えた店主らしいお爺さんが招いてくれた。

 中は意外と暗く、けれど暗すぎない、丁度いい明るさだ。


 自称大魔法使い様は店主に案内され席に着くや否やメニューを開いて騒ぎだした。


 「わぁ~、なにを食べるか迷っちゃうねレイくん。どれにしよっかな~」

 「迷っちゃうね、なんて言われても俺はまだメニュー見てないから分かんないよ。迷うくらいなら気になるのを2つ頼めば?俺はなんでもいいから」


 結構待つことになりそうだな


 「よし決まりました!マスターさん、このお店のオススメ下さい」

 「はい、かしこまりました。少々お待ち下さいませ」


 意外と早く決まったな。迷っちゃう発言はなんだったんだよ。いや、文句はないけどな。


 「何が出てくるのか楽しみですね~」

 「それについては同意だな。久し振りのマトモな食事、楽しみだ」


 一息


 「それでシキさんや、この近くにお目当てのものがあるのは間違いないんだよな?」

 「ええ、入り口はこの近くの筈ですよ。私の記憶が正しければ、ですが。町の人に聞いてみれば何か情報もあるかもですね。というわけでマスターさん、この辺りで遺跡とかって見たことないですかね、噂でもいいんですけど」


 シキが店主に尋ねる。


 「お待たせ致しました。こちらが当店オススメの『シーフードカレー』になります」



 頼んでいた料理が出てきた。情報はないってことなのか、それとも……。


 「そちらの質問については、完食していただければお答え致しましょう。どうぞ、お召し上がりください。」


 そりゃそうか。ここは飯を食う場所だからな、まずは食わねぇと失礼だ。


 「まぁ今はこの話は置いといて、冷める前に頂きましょうか」

 「「いただきます!!」」





 「「ごちそうさまでした」」

 「はぁ~食った食った。こんなに美味いもん食ったことないってくらい美味かったな」

 「ホントに美味しかったですね。なにか特別な隠し味とかあるんですかね?」


 ほんとに美味かった。シキなんて「このカレーを食べるためなら砂漠だろうが苦じゃないですよ!!」なんて言ってら。


 このまま宿でも取って休みたい気分だ。が、そうも言っていられない。


 「なあ店主。さっきの話の続き良いか」


 構いませんよ、と言って店主が話してくれた。



 どうやらこの町から南の方角にある港町から、海産物を商人が卸しているらしい。通常よりは値が張っても自分が行くよりも安全で、護衛も付けると金額も大して変わらないから今の形に落ち着いたそうだ。



 「って違う!そうじゃない!」

 「違うって何が?ちゃんとカレーのこと教えてくれてるじゃない。レイくん大丈夫?」

 「大丈夫じゃないのはシキの方だろ!俺たちは遺跡探索に来たんだろ!?」

 「……えぇ、当然分かっていますとも。これはちょっとしたジョークですよ。ジョークジョーク、そうジョークなんですよ」


 絶対忘れてたな。カレーが美味しすぎてカレーしか頭に無かったな。


 僅かな静寂の後に店主が「それで」と続けた。


 「その商人が前に来たときに聞いたんですけどね、次の町に向かう途中でソレらしきものを見たらしいんですよ。ボロボロの遺跡と、そこに鎮座している新品同然な扉を。」





 俺にはさっぱり分からんが、シキには思い当たる節があるようで店主に詳しく聞いていた。

 そして情報を頼りにここに来た。目の前には砂山しかないが、きっとこの下には求めているものがあるだろう。確証はないが、そんな気がする。


 「砂をよけるので少し下がってくださいね」


 シキが小さく何かを呟くと、風が吹き砂が飛ばされ埋もれていた遺跡が露出した。


 「あの店主が言った通りだったな。ん?どうしたシキ」

 「これが、"星天の――"。遂にここまで……!ようやく、ここから」

 「シキ!どうした、しっかりしろ!」


 なんだ、何があった。何かされたのか。……いや、気配はない。シキに一体なにが起きた。


 「あぁ、スミマセン。ちょっと取り乱しました。『大丈夫』、『私は落ち着いてますから』」


 はぁ、何だったんだ今のは。

まぁいいか、とりあえずは目の前の門だ。本当に劣化してないな。どこを見ても汚れ一つ見つからない。どうやったらこんな物を造れるんだ。


 「では、開けるぞ」


 門扉を軽く押すと抵抗もなく開いていく。これは一体どこに通じているのか。



 ――おかしいな、目が腐ったか?門の中はどこにも通じずに向こう側が見えるんだが。


 「あぁ、普通に開けるだけじゃダメですよ。特別な呪文が必要になります。もう一回閉めて下さい」

 「そういうことは先に言っておけ」

 「話も聞かずに開けたのはレイくんでしょ。人のせいにしちゃ駄目ですよ」


 アホの子を見るような目で見るな。

 シキの言うとおりだが、先に言うだけなら移動時間でも説明はできただろうが。


 「この門に必要な呪文ですが、これがどの属性の門なのかを見極めなければ失敗します。まぁ見分けるのは簡単です。マスターさんが言ってたように、レイくんの髪色と同じ赤い石が嵌められてますね。なのでこれは火属性の門です」


 たしかに、門枠に赤い石が嵌まってるな。こんなに分かりやすくていいのか?


 「で、呪文を唱えれば繋がります。『歪みし門よ。歪みを歪め、我らを焔の下へ導け』。これで繋がった筈ですよ」


 どうぞ、と言われ門を開けると違う景色が広がっていた。

 綺麗な夜空の色だ。星は無いみたいだが、シキの髪と同じ綺麗な色だ。

 シキも震えている。キレイな景色に感動しているのだろう。


 「な、なんで……。星が、星隷が、いない……?」

読んで頂きありがとうございました。

レイくんて誰なんですかね?


感想とかあれば、遠慮なく送ってきて下さい。

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