第1章 2 猫の中の平和は終わりを告げる
夢を見た…。
…私は森の奥にある、花畑が綺麗な原っぱにいた…。
そこに、独りぼっちの竜がいて、「なんで、…は独りなの?」等と嘆いているのが聞こえた。
ずっと、嘆いていた。
どれくらい、そうしていたか、ふいに竜は顔を上げ「…がここに連れてくればいいんだ」と言っていたのをよく覚えている。
竜は笑っていた。
…とても、怖かった…。
ーーーーーーーーー場面は飛び、
竜は、魔法陣を描いていた。キラキラと輝く笑顔で。
魔法陣を描き終わったのか、なにやら呪文を詠唱したのが見えた。
詠唱が終わったと同時に魔法陣が光輝き、何かが召喚された。
よく見れば、それは、沢山の人間や動物だった。
その中に、私に酷く似た、白猫が居たのが見えた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
………よく寝たー……。
いつものように、伸びをする。
………ふー……あー…ねむぅ……。
誰かが頭を撫でてくる。気持ち良さに思わず目を閉じていると、「気持ちいいのか!」と声が降ってくる。この声は【カイ・スノー】だろう。 さっきから、ずっと撫でまわしてくる。
……毛が絡まるから、そろそろ辞めて欲しいんだけど……。
「ご飯だよーー!」
……相変わらず、声がデカイなぁ…。
そう思いつつ、リビングへと向かう。
さっきに椅子に座っていたのは、
ミラに【マリン・スノー】と【シグルド・スノー】だ。
どうやら、私とカイを待っていたようだ。何だか申し訳ない気持ちになる。
私のご飯入れを見てみる。
……お魚………じゃない…(・ω・`)…。
カイが椅子に座る。皆で手を合わせて、
…私は、目を閉じて
「いただきます!」 「にゃー!」
皆でご飯を食べる。
……やっぱ、美味しい…魚ほどじゃないけど…。
「今日のご飯も上手いなー!」
「ちょっとぉ、ご飯粒飛ぶよカイー!」
「まぁまぁ」
「HAHAHA!」
…今日も今日とて、賑やかだなー……シグルド爺さんがなんか、おかしいのは置いておこう…。
ご飯をどんどん食べる。
うまうま。
…あともう少ししか無いし、味わって食べ……バンッ!!。
「魔物が村に入ってきたぞ!」
………え………。
「……えっ!?…」
「なんだと!?」
「なんじゃと!?」
「逃げないと…!」
ミラ、カイ、シグルド、マリンが一斉に青ざめた顔をした。私も、青ざめた顔をしていただろう。シグルドが入ってきた村人に尋ねる。
「何体だ?」
「一体だ。だが、何やら特殊なスキルを使うらしい。」
……特殊なスキル…ね…。
「村の男どもは武器を持って戦うぞ。
それ以外は皆、逃げろと伝えろ!」
シグルドは、そう言って銃を取り出した。マリン達は「絶対に帰ってきて」と言っていた。
シグルドは村人と共に外へと出ていく。
……私も協力しなきゃ……。
何故だか知らないが、そう思えて、シグルド達の後を追うように開け放たれた扉へと走り出した。
私が外に出た時には既にシグルド達の姿はない。魔物は何処にいるのだろうか。場所が何処かを知らないんじゃどうしようもない。
……うう…寒い……。
【熟練度が一定に達しました。
スキル
・寒さ耐性Lv.1
を習得しました。】
…ほぇ?……何か少し寒さが和らいだような……
ってそんな事より魔物だよ魔物!…。
キョロキョロと周りを見渡してみる。何もなし。
次に、叫び声や、金属音、銃声が聞こえないか、耳を済ましてみる。
【熟練度が一定に達しました
スキル
・聴覚強化
を習得しました。】
……また、何か聞こえたなぁ……何なんだろ?…これ…。
バーーーン!!。
……!…。
…わぁぁぁあ!!」
……聞こえる…今の方角は……南東!…。
南東へと走り出す。
…運動嫌だとか、不足だとか云々気にしてる場合じゃない!…。
そう思って必死に走り続ける。息切れする。それでも、気にせず走り続ける。
数十分経っただろうか、だいぶ、疲れた。もう走れない。思わず立ち止まって休憩していると、何かが目に入る。目を凝らして見る。
【熟練度が一定に達しました
スキル
・視覚強化
を習得しました】
魔物がいた。それはもう、真っ白い鷹がいた。