表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

詩*見つめて*

粘土のヤモリ

作者: a i o

紙粘土は

僕の手のひら

ひんやりと慎ましく

確かな重さでのっていた


家の窓を這うヤモリは

いつもいじらしく

我が家の灯りを

見守ってくれていたから

僕は

粘土をまあるく捏ねて

そこから一匹

真白のヤモリをうみだした


尻尾は切れても

生えてこないし

なんとなく

がに股で不格好

指先のあとをつけた

窪んだ顔が

ツンと上向きに

精一杯の虚勢を張って

僕のヤモリは

乾かぬうちに逃げていく


窓の外の

白い月

粘土のこびりついた

僕の白い手

浮かび上がっては

何も掴み切れなくて

途方に暮れている


夜もすっかり深まる頃

耳元ですすり泣く声

僕のヤモリ

ずるずる這って

ヒビだらけ

切れた尻尾が生えてこないと

おんおん

おんおん泣くばかり


余った粘土を

丸めて伸ばして

千切れた尻尾にくっつけて

窓の外の

白い月

捏ねて伸ばした

白い尻尾

浮かびあがっては

継ぎ足し継ぎ足し

生きていて

すべて

同じとはいかなくても


月に泣いてる

僕のヤモリ

乾く前に

おかえりよ

お前はお前、と

照らす月

ずりずり這って

ヒビ割れても

僕の白い手

明るい手立てに

汚れている




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ