旅立ち
ー1559年その年に、ある戦に出る為旅立つ六人の若者達がいた・・・。
「みんな・・・集まった?」
まだ背丈からして幼い少女が言う。
闇の中、顔などは分からないが、少女の周りには他に五人居た。
「ちよちゃんってば、こんな遅くになに?」
柔らかい口調で言う少年は、眠そうに欠伸をする。
「八千代、どうしたんだ・・・?」
闇の中に落ち着いた声が響いた。
その中には、一つの淡い紫色の瞳が見えた。
「''棗”がね・・・でていったの」
その短い言葉はどこか重たく感じられたが、皆は大して動じた様子を見せない。
「棗さんが出て行くなんて、いつものことじゃない。そんなことで呼んだの?あたし早く寝たいのに」
少し強めの口調で言う少女を、幼い少女は無言で見つめる。
しかし、そんな雰囲気を変えるかの様に男の声が響いた。
「八千代・・・何か合ったんだな。お前が意味も無く俺たちを呼ぶわけない」
その言葉に少女は、こくりと頷く。
「うん・・・。ちよね、みたの、この日ノ本でもうすぐ・・天下を分かつほどの大きな戦がおこるの」
少女の言葉に息を飲む者も居たが、落ち着いている者も居た。
だが、此処にいる者皆理解していた・・・これは真実だ、と・・・。