豊和M3カービン~WW2から21世紀まで戦い抜いた古参兵~
【豊和M3カービン(豊和M300)】
通称≪ホーワカービン≫の二つ名を持つ日本が戦後初めて開発・採用した国産アサルトライフル。M1カービン及びM2カービンをベースに5,56㎜弾へ対応した改修モデル。
設立当初、使用銃器は旧帝国軍製、アメリカ・イギリスからの給与品、ソ連製の押収品などと多種多様の銃器を使用して居た為、統一性が欠けていた。
そこで装備を統一すると言う事でM1カービン(後にM2カービンを国産ライセンス生産化。これが後に功を奏す)とコルトガバメント(コチラも日本人に合わず後に9mmパラベラム弾タイプに改修したFN M1910にチェンジ。その後、PPKに移行)を標準装備にスタート。
当初は数も多く安いM1ガーランドを採用予定だったが≪警察が持つのにはハイパワー過ぎる≫≪反動が日本人にはキツイ≫≪クリップの排出音が・・・≫等々という意見がありコンパクトで持ち運びし易く、日本人の体格に合い、撃ち易く周りを威圧せずしかも連射出来るM1カービンの採用が決まった。
またライセンス生産権を安く購入出来た為、国産生産が可能になった点も大きかった。
だが、一番の理由は戦時中、M1ガーランドに散々、銃口を向けられて撃たれまくられた旧帝国陸軍出身者が≪敵の銃なんて使えられるか!≫と蛇笏の如く嫌がった為と言われている。
その後、7,62㎜NATO弾が西側正式採用銃弾となり本銃弾を使用するバトルライフルの採用・国産開発を検討するが、ベトナム戦争の戦訓とアメリカ軍の5,56㎜NATO弾の採用により方針を変更。
この決定の裏には全警察官に配備された大量にM1カービンの在庫と生産設備がそのまま転用出来るという大きな利点もあった。
折しもスターム・ルガー社よりM2カービンの5,56㎜弾へのスケールアップ(ルガーモデルAC-556アサルトライフルな感じ)する「M2カービン改修案」を提案されこれを受託。
これにより諸外国に先んじて日本が55.6㎜アサルトライフルを保有する事になった。
後にM16のジャムに悩むアメリカ軍が惚れ込み、コルト社に米軍正式ライフルの座を奪われたS&M社がライセンス生産権を購入。
アメリカ軍の正式採用銃とまではいかなかったが一般将兵が自腹で購入。また特殊部隊、CIAなどで採用され、南ベトナム軍に多数供与された。
軍隊での元より警察が多く採用され、アジア・南米などの国を中心に50カ国以上で採用され、また狩猟用ライフルとしても民間で多く使用されており、ペナント切れもあり多数のヴァリエーションが出回っている。
しかしながら軍、警察や民間はもといゲリラやギャングなど犯罪者達にも多く使用されたという悲しい現実が・・・
後継銃が導入され更新が行われながらも2000年に入っても現役で使用された。
また入隊直後の新隊員教育で現在も現役で使用され、有事の際に招集される隊員向けの予備兵器として補給処に保管されており、今後もしばらくの間、海上保安庁・航空警備隊、新人隊員の訓練などで使用される。
海外では今日でもAK、M16と並び紛争地域で多く見かけられ“世界三大アサルトライフル”の二つ名をもっている。
【スペック】
口径5.56mm×45
銃身長500mm (20インチ)
ライフリング ライフリング6条右転
使用弾薬5.56x45mm NATO弾
装弾数 20連/30連(箱型弾倉)
作動方式 ガス圧利用衝撃ピストン式
全長950mm
重量2800g
発射速度750発/分
銃口初速945m/秒
有効射程300m