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プロジェクト71号計画航空母艦~日独伊米キメラ空母~

プロジェクト71はソロシアで初めての具体的な空母建造計画。この計画が立案されたのは1939年。この空母建造計画が始動された背景にはナチス・ドイツ第三帝国の脅威があった。


ナチス・ドイツの再軍備に対抗する形でソ連では〈第3次5ヵ年計画〉及び〈第4次5ヵ年計画〉の10年に渡って大幅な艦隊増強を計画を立案。この中には戦艦や空母の建造も含まれていた。


スターリンがこの様な大艦隊建設を決意した要因はソ連革命後、西側連合軍が北方と黒海に上陸して共産革命に介入してきた時、ソ連海軍は何も出来なかった事と1936~39年のスペイン内乱時、海上兵力の欠如から人民戦線を十分に支援できなかったことも一因とされている。


 この大艦隊建造計画で空母建造が計画されたが、起工は第3次5ヵ年計画の最終年1942年を予定し、第4次5カ年計画中の竣工が予定されていた。


 プロジェクト71は1939年に建造計画のリストに加えられたが、肝心のカタパルトや発着装置、艦載機の開発など一向に進まず、更に戦争の脅威が迫り、十分な資金や資材が回されなかった。


 結局、第二次世界大戦の勃発でより重要度の高い分野に投資が集中された結果、1940年1月にプロジェクト71は建造計画リストから除外。更に独ソ戦の勃発によって、プロジェクト71に関連する事業は全て中止された。


その後、独ソ戦、第二次大戦が終結。冷戦という時勢下、米英日の西側陣営との対決の為、新たに海軍力増強の為、プロジェクト71を元に計画を焼き直して艦隊整備計画を再開された。


この海軍計画再建の米英と云う二大海軍国家が相手のみならず、壊滅状態から見事に再建し、朝鮮戦争に置いて猛威を振るった日本の存在も大きくあった。


ソ連海軍は<数は力>という原則の元、戦艦や大型空母の様な建造に手間の掛かる艦種よりも駆逐艦・潜水艦・軽空母の様な建造に手間の掛からない艦種を大量生産し、数を揃える事を主眼におかれた。


まず日本から賠償艦として入手した鳳翔を練習空母として乗員の養成をスタート。


ドイツのグラーフ・ツェッペリンとザイドリッツ、イタリアのアキラとスパルヴィエーロの未完成空母を接収してソ連海軍空母として完成させて配備。


コレ等、日独伊の空母を徹底的に調べ上げた他、KGBによりインディペンデンス級航空母艦の設計図を入手。


日独伊米の4カ国の航空母艦を参考にして設計されたソ連海軍のキメラ航空母艦が誕生した。


一刻も早く戦力化させる為、設計と生産の短縮化から巡洋艦をベースに開発がスタート。


ベース艦は計画当時のチャパエフ級軽巡洋艦(68号計画艦)からより大型のスヴェルドロフ級軽巡洋艦(68bis型軽巡洋艦)に変更。建造中止が決まった新規建造タイプの68bis-ZIF型が使用された。


設計思想はドイツのグラーフ・ツェッペリンを参考にされ、ロシアらしく重武装。


防御の方は工期の関係上、短期間での戦力化を目的にしており、防御力は控えめ。


船体は元のスヴェルドロフ級軽巡洋艦の210m→220mに延長。エレベーターは2基。1号艦は航空機の形に合わせた十字形という珍しい形をしている。

これは接収したイタリアの軽空母スパルビエロが同様のエレベーターを有しており、参考にされた。


航空艤装面では格納庫は1段で搭載機収容力は決して高いとは言えないが、格納庫高さは6mを確保しており、ジェット機の運用を問題なく行えた。余裕ある格納庫のお陰で新型機の搭載・運用を受け入れることができた。


艦載機は最初はイリューシンIl-2シュトルモビク(のちIl-10)とYak-3のレシプロ機が運用された。


後にドイツのMe262を参考に開発されたソ連版Me262といわれる戦闘爆撃機Su-9 «K»をソ連海軍初のジェット艦載機を転用して運用。


(最高速度885km/h、航続距離1,200km。37mm機関砲×1、23mm機関砲×2。250kg爆弾×2又は500kg爆弾×1)


その後、MiG-15と同時期に開発されたLa-15を艦載機に転用して運用された。当初、生産面の統一からMiG-15を艦載機型にして運用を行う筈だったがソ連空軍への配備が最優先された為、ソ連海軍には配備が後回しにされた。


それならばと、物は試しで政治力などもありMiG-15に主力の座を取られ、細々と生産されていたLa-15をテストした所、性能は良好。空母への離発着も良好でソ連海軍で艦載機の座を射止めた。


船体のサイズからV/STOL機Yak-38と攻撃機Su-25が出来るまで艦載機にはLa-15を延々と使用された。


カタパルトは2基搭載。カタパルトの技術はドイツから技術を入手し、火薬式・空気式・蒸気式など様々なカタパルトの技術を入手。


初号艦はドイツの空母グラーフ・ツェッペリンとイタリアの空母アキラと同一のモノを参考にされたが、カタパルトの射出能力、生産面と実際の運用の容易さから火薬式カタパルトに変更された。


火薬式の為、機体や搭乗員への負担は他の形式のカタパルトとは比較にならないほど大きかったが、当初の運用機体が‟空飛ぶ戦車”の異名をとるシュトルモビクが使われた為、機体への負担は運用に支障をきたすほどの問題はなかった(その他の機体や搭乗員の負担はソ連式運用術でカバーされて運用された)


プロジェクト71号軽空母の建造は順調に進み、1号艦は1955年に就航。その後、1960年までにスヴェルドロフ級軽巡洋艦68bis-ZIF型の建造分であった合計12隻全てが就役した。


運用は極めて良好。他国の巡洋艦などから空母へ転用された軽空母と比べてもトップクラスに性能が良好。


居住性の面でもロシアの蒸し風呂である〈バーニャ〉が備えられており、ソ連艦の中でも‟最も居住性の良い艦”‟乗艦したい艦”と言われた。


この後、プロジェクト71号軽空母の建造経験を生かして大型空母の建造へとシフトしていくはずがスターリンの死去により海軍増強計画が大きく見直された。


その後、ヨシフ・スターリンの死後、書記長に就任したニキータ・フルシチョフは核戦力整備を優先するよう指示。


そしてソ連海軍は低コストで驚異の原子力潜水艦への開発・建造へと多く振り分けられ、シフトしていく。


水上艦の方では1970年初めにソ連海軍の水上艦艇は一大転機を迎える。モスクワ級航空重巡洋艦と試作垂直離着陸機Yak-36が登場。


当時のソ連海軍セルゲイ・ゴルシコフ元帥を筆頭にソビエト海軍首脳部は感銘を受け《1隻の艦建造費で水上艦の攻撃力と空母の航空運用力を持つ万能艦》をコンセプトにした航空巡洋艦思想に転換。


大型空母の建造が遅れたがソ連海軍は沿岸警備艦隊から西側と肩を並べる一大外洋艦隊へ変貌を遂げた。


一方の建造されたプロジェクト71軽空母群は建造当初の60年代は北方艦隊を太平洋艦隊を中心に両艦隊に6隻づつ集中配備をされた。


モスクワ級対潜巡洋艦、キエフ級航空巡洋艦の航空巡洋艦の配備が開始された70年代頃からはバルト艦隊や黒海艦隊にも配備が開始。


この時期より各艦で様々な艤装や改修がなされ、カタパルトは油圧式カタパルトに変えられ、その中にはスキージャンプ台を設置した艦や揚陸艦やヘリ空母などに改造された艦もある。


難が多いソ連艦の中で運用実績はトップ。ソ連艦隊いく所には本艦が必ずいるとまで言われ、冷戦崩壊後のロシア海軍になった現在まで長く運用されている。



正式名称≪プロジェクト71航空母艦≫


≪要目(建造時)≫

計画開始年度:1939年

全長:220m

全幅:24m

喫水:8m

満載排水量:13150トン

基準排水量:10600トン

装甲:飛行甲板:10mm、艦舷:75mm、格納庫:10mm

出力:12万馬力

速力:35ノット

航続距離:18ノット/10000海里

乗員:1200名

艦載機:戦闘機×20機、爆撃機/攻撃機×20機、合計40機


<武装 (初期型)>

SM-5-1bis100mm連装砲×8門

V-11M 37mm連装機銃×8基


<GFCS>

ヤーコリM (100mm砲・37mm機銃用)×2基


<レーダー>

ギューイス2対空・対水上捜索用×1基

キーリ対空・対水上捜索用×1基

P-500対空・対水上捜索用×1基

リーフ対水上捜索用×1基


<ソナー>

タミール-5N×1基


同型艦12隻

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