鉄道公安機動隊~鉄道の歩みと時代と共に変化して云った鉄道マン達~
『架空戦記創作大会2015秋』前編です。まずは組織説明から。
鉄道公安機動隊。その始まりは昭和22年、1947年に鉄道内の犯罪に対応する為に創設された≪鉄道公安職員(通称*鉄道公安隊)≫が始まりとなり、そしてより実戦的な部隊として≪鉄道公安機動隊≫が1960年2月17日に創設された。
まず母体組織の鉄道公安職員(以後、鉄道公安隊)の任務は<鉄道施設における個人の生命、身体及び財産の保護、犯罪の予防及び検挙、事故の防止、鉄道にかかわる公共の安全と秩序の維持に当たること>を任務としている。
この為、鉄道公安職員の司法警察権の行使は列車や駅などの鉄道施設など鉄道用地内に限られた。
そして鉄道公安機動隊の場合は災害時に被害を受けた鉄道の復旧や救援活動、国鉄のストライキ時の輸送の確保、日本領土内が戦場となった場合の国民への食料輸送・避難輸送、兵員物資の輸送、鉄道警備、天皇や首脳、国賓などの要人警護など実戦色の強い任務を目的とした武力行使を念頭に置いた実動部隊として位置付けられている。
その為、普段から武器弾薬の輸送、プルトニウム輸送、ロケットや航空機又はソレ等の部品輸送、動植物の輸送、新型機関車のテストなど危険性・秘匿性・特殊性の高い貨物の鉄道輸送業務を行っている。
鉄道公安機動隊部隊の創設の背景には昭和30年代、1960年代までの日本の交通インフラ、道路網がまだ未発達であり、主な交通輸送手段の主力は全国の隅々津々浦々にまで展開している鉄道網であった。
災害時・有事の際にはこの鉄道網を最大限に活用せねばならないが、当時、労働運動が活発で日本国有鉄道(国鉄)は労働争議、ストライキが頻発。
冷戦下の時勢下のもとイザという場合、こうした事態を憂慮し、より戦闘を意識し、実戦的な鉄道専門部隊を設立することが決定された。
また設立の背景に他の司法組織がクーデターを決起した際へのカウンター武装組織としての側面もあった。
事例を挙げると山田弾薬庫米軍弾薬輸送や新東京国際空港燃料備蓄輸送等では輸送妨害に対する警備出動を行っている。
編成は1963年(昭和38年)~1965年(昭和40年)にかけて全国に「札幌鉄道公安機動隊」「新潟鉄道公安機動隊」「東京鉄道公安機動隊」「大阪鉄道公安機動隊」「門司鉄道公安機動隊」の上記5部隊の部隊が中隊規模の機動隊が各方面管区にて編成。
それ等、5つの鉄道公安機動隊の隷下に主力となる第101部隊(関東・東京)第102部隊(関西・大阪)第103部隊(北海道・札幌)第104部隊(東北・新潟)第105部隊(北九州・門司)の5部隊が編成。
装備面は鉄道公安隊は鉄道と場所を主体としている為、通常の一般警察官と違い、独特で独自の装備をしている。
設立当初、銃器は警察から供与され、同一装備のミネベアPPJ≪SAKURA≫や豊和M3カービンなどを携帯していた。
また在庫に抱えてた旧帝国軍のベルグマンMP18短機関銃やGHQから供与されたステン短機関銃も配備された。
が、70年代に入り、装備の老朽化・旧式化に伴い、新たに装備更新を行う際、主に駅や電車での業務を行う鉄道公安隊の場合、銃撃をした際にアサルトライフルの類は駅構内や列車内が活動の中心である為に発砲することで他の乗客に二次被害の危険が及ぶ可能性が大きく、携帯することで乗客に威圧感を与え、そして狭い車内や駅構内でのは使用し難いと云う点もあった。
また装備更新には多額の費用も掛かる為、赤字が増大している親組織の国鉄サイドは装備更新に二の足を踏んだ。
そこで鉄道公安警察隊・国鉄は当時、流行りでもあった<マシンピストル>に着目。
サブマシンガン並の連射性と拳銃以上の強力な火力、制服の下に隠せて威圧感を与えず携帯し易く、そして1タイプの銃器で拳銃とサブマシンガンを兼用できる。
しかも購入費用が安く済む為、安い単価で限られた予算で購入できると云うメリットをみいだし、ベレッタ93Rを鉄道公安職員の正式採用拳銃として採用された。
国鉄解体後、鉄道警察に移管された現在も鉄道警察官の正式装備として使用されている。
また、他にも国鉄時代に配備されたIMI UZIやH&K MP5Kの他、試験的にまた予算の関係上少数だがワルサーMPLやステアーTMPやスターリング・サブマシンガンなど携帯し易い各種サブマシンガンを購入して使用。
国鉄廃止後のJRに移管されてからFN P90やH&K MP7などPDWを採用・配備された。
一方の鉄道機動隊となった鉄道公安機動隊の方はより戦闘を意識した戦闘色の強い職種の為、M3カービンを使用。
他、狙撃銃にワルサーWA2000、対戦闘機・ヘリ用に携帯式地対空ミサイルを配備。
現在は電車内でも取り回し易いXM8-J〈HOMURA〉ブルパック・タイプが配備されている。
保有車両は創設当初、9600形蒸気機関車、D52形蒸気機関車、C62形蒸気機関車、E10形蒸気機関車など蒸気機関車を使用された。その中にはたった一両しか作られなかったC63形蒸気機関車を使用。
これ等の蒸気機関車は1960年代に入り、国鉄が進めた無煙化計画で蒸気機関車が廃止となり、路線から外された余剰車両が転配されたモノを鉄道公安機動隊に再配備された。
配備理由には「燃やす物さえあれば動く」と云う利点により災害時に置いての強みとなった。後、予算不足と<作った物は壊れるまで使う>方針の為。
現在、保有された蒸気機関車はイベント用として動態保存され、イベントや映画などで出動している。
現在はディーゼル機関車を主力。コレは出動時には非電化区間や停電・断線時の想定されている為、電力に頼らないという点と多少の被弾・破損しても走れる蛮勇性を評価。
線路がある限り、燃料が続く限り直流・交流・非電化区間もお構いなしに何処までも突っ走れ、走り続けれる。保有しているのは試作時代からの腐れ縁、ディーゼル機関車DD51型を使用。
また試作・試験車両部隊としての側面からED95形電気機関車などたった1両のみ試作された試作車両も多く保有している。
中にはガスタービンの試験車両としてEF66形電気機関車を改造した電気式ガスタービン機関車なども保有している。
因みにこのEF66形を改造したガスタービン機関車。パワーなど性能面では抜群だったのだが高評価の車両だったのだが、燃費・騒音など面からお蔵入りとなった。
だが最大の特徴は鉄道公安機動隊しか保有していない装甲列車の保有。設立時に戦前、帝国陸軍が保有して、終戦時に国内で放置されていた九四式装甲列車やクレーンを装備した九五式装甲軌道車の派生車両を鉄道工作車をそのまま受け継いで運用。現在もその後継車両が開発され、運用されている。
また旧帝国軍の陸軍鉄道連隊が使用していた演習線の習志野線の一部を取得。この演習線は運転手の養成所としても使用され、列車の運転や整備のみならず、線路の建設・維持、測量・抗朽から架橋、ポイント・信号機の操作、そして線路を巡る戦闘訓練、脱線事故に対する対処、トレイン・ジャックに対する特殊訓練、列車事故訓練・実験・検証など多岐に渡る実地訓練が実施されている。
なお、現在は昭和62年(1987年)4月1日の国鉄分割民営化に伴い、鉄道公安隊は廃止され、JRから離れて各都道府県警察組織の所管に組み込まれた新たに創設された≪鉄道警察隊≫(通称、鉄警隊)に名改めそのまま組織が移行された。
また<鉄道公安機動隊>は≪鉄道機動隊≫となった。警察官として現在も存続。人員は一業務は警察の管轄。列車の運用はJRからの人員で運用している。
因みに一般の制服警察官と異なり、身分証票は国鉄時代からの物を引き継ぎ、鉄道警察隊の職員には蒸気機関車の動輪と桐の組み合わせた動輪紋章入りの警察手帳が支給されている。
また国鉄時代と同じく「鉄道警察隊」のネーム入り腕章を嵌めて、襟には「RP」の文字に挟まれたレール断面マークが入った旭日章 (警察章)の記章を着けている。