表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

繰り返しの春

春の過ちはこうして幕を下ろす。

作者: 茶框


『繰り返しの春は彼女達だけじゃない。』の続きです。

この話はその後の話を全く関係ない人?目線で書いた物です。


ネタバレするなら『誰か(以下略)』での最後らへんでチョイとだけ喋った?方だったり(笑)





 これは少し前から繰り返される過去と過去の話。


 その昔、そんなに昔じゃないけど昔、ある1人の少女は年相応な夢物語に憧れて、それを自らの手で成就させようとしていた。

 少女は純粋でそれでいて残酷だった。


 だから少女は気付かなかったことに後悔をした。

 後悔して後悔して後悔して、泣きその者達に許しを乞うても赦されることはなかった。




「あ、終わっちゃった」




 少しつまらなさそうに、でも飽きたかのような声色でそう言葉を吐き捨てたのは誰?







◆*◇*◆



 ヤァヤァお立ち会いの皆々様、今から話すことは今まで在った出来事の補足的な話とその後の話。

 気になる方はそのままで、気にならない方は右に回ることをオススメするよ。


 ン?嗚呼、今喋っている私は誰かって?

 んー、そうだね通りすがりの非凡人ってことにしておこう。えっ、それじゃ意味が分からない?ではでは大ヒントを差し上げよう!



 吉田凉(よしだ りょう)を最後に殺したのはこの私。



 サァサァ始めようか。

繰り返される春の物語、これはその春の物語の補足と最終(エピローグ)――本当の終焉(エピローグ)の話。







 少女―天龍寺永久(てんりゅうじ とわ)というのがこの物語の重要人物(キーパーソン)である。前々回明らかになっていることだが彼女はとある世界から転生してきた前世の記憶持ちの哀れな哀れな少女である。

 ここだけの話、彼女がどのようにして死に、乙女ゲームという世界に転生した経緯なのだが要は彼女が夢を見すぎていたのが原因だったのだ。

 天龍寺永久という人物に転生する前の彼女は享年14歳、つまりは思春期で死んだ夢見勝ちな年齢でそれ故に若干周りの空気が読めない所が合ったのだ。


 この年代はやはりデリケートな生き物で、少々いざこざが起こりハブられた彼女はそれに傷付き自殺したのさ。



 はあ、これだから今の若者は。イヤだねぇ少子化なんだからもう少し自分の命を大事にしてもらいたい。




 おっと話がずれてしまった。じゃあ続きを話そうか。



 そして彼女は生まれ変わった。彼女が生前ハマっていた乙女ゲーム、えーと題名なんだっけ…あ、そうそう『真実の物語』だったね!なんか普通過ぎて忘れる題名なんだよ。

 この『真実の物語』、彼女がプレイしたのは年齢制限無しの方で、実は同時に発売された『真実の物語 〜裏切りの彼女〜』という年齢制限無しも一緒に入った限定版があったりする。

で、そっちは題名通り結構グロくてR指定が付いてたりする。ちなみにR18。



 『真実の物語』は春の新学期に転入したヒロインが浅間龍(あさま りゅう)二宮竜夜(にのみや たつや)辰前麻紀(たつまえ まき)井藤雅(いとう みやび)鋪村桐生(しきむら きりゅう)の5人といちゃラブしてハッピーエンド。


 しかし『真実の物語 〜裏切りの彼女〜』の方なんだが、こちらはただいちゃラブするという物ではない。何故なら“裏切りの彼女”の“彼女”は“彼女”と書いて“ヒロイン”と読むからである。


 そこで登場するのが、そう、吉田凉というキャラとその双子の弟である吉田凉志(よしだ りょうし)吉田凉季(よしだ りょうき)だ。


 このR指定の方、大きく分けて3つのエンドがあるんだわ。鬼女エンド、悪女エンド、喪女エンド。



 鬼女はいわゆるヒロインがヤンデレ化して攻略対象を殺してもしくは植物状態にしてひたすら愛でてのエンド。


 悪女は攻略対象を他の女に取られないようにするために攻略対象を女恐怖症に陥らせて自分以外を信用させなくするエンド。


 喪女は友人を貶めて自殺させた後に真実を知った友人の血縁または友人と仲の良かった攻略対象に殺されるエンド。




 この3つのエンド、嫌いな人は嫌いだろうがこれが意外と人気があったようで。まあ、天龍寺永久は前世14歳だったからR指定買えるわけなかったからこの話を知らなかったのは仕方ないと言えば仕方ない。



 ……が、さすがと称賛すべきか否か。

彼女のヒロインとしてのありがたーい幸運のお蔭と彼女自身の望みで逆ハーを目指した結果、彼女は見事R指定の喪女エンドを引き当てたのだから。

 正しくは喪女エンド改と言うべきだね。


 このゲームはループするという現象はなかったのだから。まあ、ヒロインがあのまま普通に攻略していたらループすることもR指定に入ることもなく無事に終わったであろうに。無知は罪とはこのこどだね。

 彼女自身が起こしたバグのような現象で最終的に彼女を苦しめるサイッコウの喪女エンドの材料になるんだしある意味台本通りじゃない?




 さて、そろそろ物語の結末を話そうかな。


 簡単に説明するなら今度はループ前の記憶が消えなかったしむしろ今までのループの記憶すら思い出した攻略対象達が吉田双子に真実を聞かされて、ヒロインに問い詰めてから双子に弁論する余裕も与えられず殺されたりしたよ。

 浅間龍に至っては喪女エンドの筋書き通りの行動を取ってから潔く双子に殺されたりもしたね。



 あれはあれでテンションが上がったよ!結局のところ正しいシナリオには逆らえないってところなのかも知れないね、私関係ないしそこらへんは管轄外だからなんとも言えないけど。




 まあ、見事ヒロイン達をいろんな手段で7回殺した吉田凉志と吉田凉季はその後お互いに殺しあって無事にループから抜けて死ぬことが出来たみたいだよ。


 んん?それからヒロインの天龍寺永久や攻略対象達はって?知らないよそんな奴ら。

 見るのも飽きたし、それに私は気に入っていた吉田凉と吉田双子がいなくなったあの世界に興味ないからね。


 もやもやする?それこそ私に関係ないよねっ!

ま、ここまで無駄話のようなモノに付き合って貰ったんだし一応その後のその後の話をしようか。




 その後、ヒロインこと天龍寺永久はどこかの世界に記憶はないが転生し、極度の男性恐怖症になって百合の華を開花させたとかなんとかって私の悪友から話を聞いたけど詳しいことは知らない。


 攻略対象達は話すら上がってきてないから多分死んだまま生き返ってないか、存在自体消え去ったんじゃない?



 で、皆様が気になっているであろう吉田姉弟なんだ……げっ、やべ




「やっと見つけましたよ馬鹿神(ばかがみ)、さあさっさとアナタが溜めに溜めまくった仕事を終わらせろ」

「空気を読もうよ、今すっごく良い終わらせ方をしようってしてたところなんだけど」

「アナタが仕事を放棄したことが原因だろうが、あ゛ぁ?」

「ひぃい!従者こわっ、分かったよ分かったから今すぐそのペーパーナイフを下ろして!」

「アナタの頭にですか?それはそれは悦んで下ろしましょうか」

「うぎゃあぁあちがああぁあ!?」

「嗚呼煩い、死なないくせにいちいち叫ぶな。それでも神かお前は」

「ひぃっ、ちょ、やめっ!!」






 ………………………………………、えっと、はい。いろいろお見苦しいところを失礼しました。

えと、吉田姉弟のその後は、こんな感じです。






◇*◇*◇



 桜咲く春の季節。

 とある街の住宅に住むとある4人家族がいた。


 その家族に今日、新しい家族が加わる。





「―――…ほら、見てみて、この子が今日からあなた達2人の妹になる子よ」

「…いもうと、」

「…ちっさい、」

「ふふ、生まれたばかりだもの小さいわよ」

「いいか、この子はお前達2人のお兄ちゃんが守ってやるんだぞ」


「……まもる」

「……ぼくたちで?」


「ええ、守ってあげてね。この子を――凉を2人で助け合いながら守ってね―――凉志、凉季」




「「うんっ、おれ/ぼくがりょうをぜったいまもるよ」」







 これはどこかは知らない世界での彼女らの話。

始まりは同じ春。

この先幸せになるのかならないかは彼女達次第。




 それこそ、神のみぞ知る話。

 私はその神様なんだけど、あ、それこそこの物語には関係なかったね。







 これはとある少女の小さくもない過ちから始まった繰り返しの春の物語。


 春の過ちのはこうして幕を下ろす。



繰り返しの春シリーズはこれで完結しました。

ありがとうございました!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] だいぶ昔のお話ですが、読ませていただきました。 浅間がどういうことを思ってたのか、何故あんな行動をしたのかが気になって夜しか眠れません…。 お暇がございましたら、書いていただけると幸いで…
[良い点] 双子ちゃんと涼ちゃんが幸せになれるんなら、それで良し(@・`ω・)v☆ [気になる点] 攻略対象(浅間)の視点も欲しかったのですρ(・ω・、)イジイジ [一言] けっこう早い更新でしたね。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ