#02 瞬きの瞬間(とき)
「お前に全てを託して、すまない・・・」
悲しそうにあの人は言った。
「その代わり決着は、ここで付ける」
そう言って、寂しそうに微笑んだその顔が、最後だった・・・
いきなり棺の蓋を吹き飛ばし現れたのは
ホウキを携えた可憐なメイド。
「この場所に立ち入るものは、全て排除します。」
その姿とは対照的に、無機質な声。
「あたしと、ヤリあうっての!?」
不敵に笑う。
「面白いよ!アンタ!!」
なにやらスイッチが入ったようだ。
腰に納めたナイフを構え、
距離を詰めようと思考するよりも速く
相手と鼻先が触れ合うほどに距離を詰められる。
背筋に冷たいものが走り、本能的に後ろへ跳ぶ。
が、その瞬間身体に衝撃が走り吹き飛ばされた。
彼女が持つホウキの様なものに払われたのだと認識するまでには
かなりの距離を跳ばされていた。
迫る壁に受け身を取ろうとした矢先、更なる追撃に面食らう。
先程までホウキだったそれは、
蛇のようにうねりながら信じられない距離から足に絡み付いてきた。
そのまま足から引き寄せられて、一気に距離が詰まる。
その武器は双頭の打撃武器に変化、一撃を叩き付けてくる。
なんとか急所への一撃は、防いだものの
その武器が突然爆発を放つ。
わずか数秒の内に、とんでもない攻防が繰り広げられていく。
「オモシロイ武器持ってんじゃん・・・」
毒づきながらもその顔は、今までに無い相手に興奮を隠せない。
「あれだけの攻撃をしのぐとは・・・」
微かに笑っているようにも見えるが、声は無機質なままである。
「これならどうよ!?」
叫びながら両手に構えた銃で乱射しながら距離を取る。
それに応えるように
あの武器もまた凄まじい銃撃を撒き散らす。
辺り一帯は爆煙に覆われていく。
勝敗は煙が晴れると同時に付いていた。
巨大な鎌となった武器が、
侵入者である彼女のフードを切り裂いていた。
フードの中からは眩いばかりの金髪が溢れ出す。
彼女もまた、幼さの残った可憐な少女であった