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まだ幻の左があるわボケェ! byミーナ

遅筆遅筆。

安定の遅筆です。

戦闘シーンなんて書けるはずなかった……!

なかったんだ……!

『こっちだよ』


こえがするほうにあるく。

まっしろな中で、ぼくはいっぱいいっぱいあるいた。

やさしいこえがぼくをつれていってくれる。


『もう少しだ がんばれ』


まっ白な中で、いっこだけドアがあった。

そういえば、ぼくははだしだ。

くつがほしいなぁ……。


『そのドアをあけて その先にいる男にきみのことをたのんである

 さようなら』


こえはきえちゃった。

ほんのちょっとさみしいけど、きっとまたあえるといいな。

そのまま、ドアをあけようと手をかける。


「よいしょ……っと」


ギギギギギギ……!


サンタさん、ぼくのおねがいきいてくれたかなぁ?










「ジャラァァァァァァァァァァァァア!!!!!」

「うおっ!」


頭上から振り下ろされる剣を横に回避。

そこから剣を持っていない方の手でもって、照準が合わさる。


「やべっ!」

「“影光の一閃(シャドウレイ)”」


床に手を当て、腕の力で跳躍。

今まで俺がいた場所を黒い閃光が通り抜けた。

俺は四つ足で天井に張り付くと、両手の甲の召喚陣に魔力を通す。


「召喚、“朔乃月・月影(さくのつき・つきかげ)”」


現れたのは黒い刀身の双剣…………ではなく。


「……は?」


黒い刀身であることには間違いない。

それも、双剣であることにも間違いではない。

だが、朔乃月・月影と呼ばれたそれは、余りに異形。


「仮にも月だぜ?

 |デカくなくてどうするよ《・・・・・・・・・・・》?」


ヘラヘラと笑いながらミーナを見下ろすヒカル。

横幅が人間三人分、刀身がおおよそ5メータルはあろう大剣。

それが二本、ヒカルの手にあった。


「正確には、|“大壁剣・朔乃月・月影”《たいへきけん・さくのつき・つきかげ》。

 どうよ、馬鹿らしいだろ?」


その名に相応しい黒い壁。

ヒカルは飛び降りる勢いを生かし、ミーナを縦に斬ろうと振り下ろす。


「ちっ!」


ミーナはそれを横に回避し、指からもう一度影光の閃光を放った。

それをヒカルはしゃがむことでかわし、その体勢のまま横薙ぎに剣を振るう。

だが、ミーナはそれを軽々と回避すると、一気に間合いを詰めてきた。


「甘いっ!」


ヒカルがもう片方の剣で一閃する。

それをミーナはかわすため、黒い翼で軽く浮いた。

が、次の瞬間、ミーナは壁に叩きつけられた。


「ガ……ア……!!」


何が起きたのか、ミーナはさっぱりわからない。

相も変わらずヒカルはにやけたままで2つの石塊を軽々と両手に一つずつ構えている。

ミーナは体勢を立て直すと、翼をはためかせて高速で跳んだ。

ヒカルが右手の剣を振りかぶると、今度は縦に叩き潰さんと振り下ろす。

もちろん彼女がそれをかわせないはずはない。

だが、ミーナは先ほどの攻撃を警戒し、あえて受け流すことにした。

剣を軽く当て軌道をずらす。


「っ!」


剣と剣が火花を散らしてすれ違う。

ミーナはさらに剣をわずかにはじくと、ヒカルの間合いに入り込む。


「(殺った(とった)!)」


剣を袈裟に降ろしたはずだった。


「がっ!!?」


轟音と共にミーナは地に叩きつけられる。

この感触も二度目だ。


「(何故……何故なの?)」


こんなに早く、しかもカウンターの要領で自分を地に伏す等、どんな化け物かと思う。

ゆっくりと光が戻ってくる。

ここでミーナはあることに気付く。


「(……コイツの異常なまでの速度……全て身体能力……?)」


最初は身体強化の魔法を使っているのかと考えていた。

しかし、彼は身体のどこにも魔力を通していなかったのだ。

身体強化の魔法は、強力であればあるほど魔力が身体を色濃く覆う。

だが、ヒカルにはそれがない。

つまりそれは、純粋な身体能力であり、シンプルながら圧倒的な力だった。


「ふ……随分馬鹿力ねこの脳筋野郎」

「お前も大概だな?

 この剣、一本で破城鎚の二倍位の重さなんだがな……自信なくなるだろうがこの痴女」

「あらよかったわね。

 じゃあ自信と共にあなたも無くなりなさい!」

「やなこった!」










さて、彼等が戦っている間、ディスク・カルテラウ・ヴァルクロは、異界の門と自分に結界を張っていた。

彼女は王であると共に、自身も熟練の魔道士である。

専門は補助、防御、支援魔法のみだが。

しかしだからこそ強固で強大な障壁を張ることができるのだ。


「そうは言ってもなぁ……!」


何度魔力で障壁を修復しても、目の前の二人が強すぎるのだ。

ミーナはヒカルを狙いながらも黒い閃光を放ってくるし、ヒカルはヒカルで剣圧で障壁をかち割ってくる。

その度に魔力で張り直しているのに直した後から後から壊される。

というか魔力も無限じゃない。


「うわっ……!」


ヒカルの壁剣がミーナの身体を捉えた。

壁に床に叩きつけられてもピンピンしているミーナに呆れながらも、剣圧で出来たひびを修復する。

確かに彼女は龍族故に魔力が人よりも膨大だが、こんなハイスピードで結界を修復し続けていれば魔力など話にならない。


「早くしてくれよヒカルぅ……」


正直泣きそうになっている。

先ほどから“異世界の扉”もただ光を放っているだけで、先ほどから動きが無い。

一体いつになったら勇者は現れるのか。

その問いに扉は答えられるはずもなく。










「ちっ……!」


二人の対決はヒカルの劣勢となっていた。

魔力があればもう少し粘れるだろう。

だが、先ほどの勇者召喚の儀。

それにほとんどの魔力を使ってしまった。

堕ちた神を名乗る声から少しばかり援助はあったものの。

それは彼の魔力の百分の一を回復させたにすぎず、魔力消費が多い召還獣は到底召還できそうになかった。


「はぁ……はぁ……チッ、なんてぇバケモンだよ……」


恨めしげに目の前のミーナを見る。

相手も少しは消耗しているようだが、余裕があるらしく涼しい顔でヒカルを見下ろしていた。


「最初のころの威勢はどうしたのかしら?

 あ、もうバテちゃった?」

「へっ、言ってろおっぱい魔神」

「ノンノン、魔神じゃなくて魔・王♪」

「ぷっ!

 知ってるよんなこたぁ……っつーかそりゃお前の職業だろ?」


壊れた石床に唾を吐き捨て、構える。

柄を肩に乗せて担ぎ、もう片方の手で逆手に剣を持つ。

だが。


「畜生め……やめだやめだ……もうちかれた」


ため息を吐きながら構えた剣をおろす。

その巨大な刀身に見合った音をたてながら剣は石床を破砕していく。


「あらん?

 もう諦めちゃった?」

「もーいい、やだやだやだやだやだぁっ!

 疲れたし、これ重いし、何よりおまい強いし」


さらに深くため息をつくと、ヒカルは子供のようにだだをこねる。

いい年こいた野郎がだだをこねる姿は実にシュールな光景である。


「ま、とりあえずそろそろ死になさいな。

 あなたがいなくなったあとは私がきっちり治めますから」


バイバイと手を振るミーナ。

しかし、矛盾に気が付いた。

重い重いと言いながら、何故あの剣を手放さない?

何かを感じ取ったミーナは身構える。


「遅せーよ♪」


途端、ミーナの視界が消えた。










「逃げろー!」


してやったりな顔をして、ヒカルは駆け出した。

幸い今までの戦闘で少し扉から離れたので、勇者召還の続行は可能。

ヒカルがミーナに放ったのはただの目眩ましである。

しかしながらただの目眩ましと侮るなかれ。

その光こそ、“大壁剣・朔乃月・月影”の唯一の能力。

煌々たる輝きを持つ月フラッシュムーンライト”である。

名前はダサいがなかなか使える能力だ。

強烈な光を放つ。ただそれだけの能力なのだが、問題は五メータルある刀身×2が、同時に発光する点にある。

その光は連続的に発光し、非常に目に宜しくない。

過去に某電気ねずみのアニメで失明者が出たように、点滅によって相手の視力を奪う。

自分は能力発動時に何故か遮光サングラスが自動的に装備される。

さらには数分位視力が無くなり、その後元に戻るし、後遺症もまったくないという敵にも自分にも親切な能力。

ただ、能力的に逃げること等にしか使えない。

だが、今の彼にとってはそれでいい。いやそれがいい。


「開けろディスク!」

「君いい加減あれやるときは警告してくんないかなぁ!」


こういう物語の主人公には、転生特典というものがつき物である。

その転生特典が、ヒカルにはある。

召還士としての才、そして、とある計算式による身体能力及び総魔力量の強化とその力の操作。

その計算式とは、ヒカルが契約した召還獣の魔力量と身体能力の合計数+契約した回数÷2。

六十年間で幾多の契約をこなし、様々な召還獣と契約を交わしたヒカルの身体能力と魔力総量は、計り知れない。

故に、その身体能力を使い全力で走ってくるヒカルの速さは某世界最速の男を遥かに凌駕するし、チーターでさえ超える速度で、しかも大分切羽詰まった表情で向かって来られたらかなり怖いというかビビる。


「オゴッ!?」


だから、今結界を解くどころか、強化してしまったのは僕は悪くない。byディスク


「ご、ごめん……!」

「い、いい……俺も悪かった……そんなことよりも、扉開かんと……!」


すぐさま立ち上がると、ヒカルは急いで門に駆け寄り、ドアノブに手をかける。

そのころ、ミーナは周囲の魔力を感じ取り、ヒカルに向かって猛突進していた。


「ウオォォォォォォォォ!!!!」

「ギャアアアアアアアア!!!!?」


気付いたヒカルは悲鳴を上げる。

その突進に巻き込まれて吹き飛ばされたディスク。

突進に気付き、ドアを開けるヒカル。

剣を持ってヒカルを突き刺そうと突進するミーナ。

そして、ヒカルが開けたドア。




まず、ヒカルが剣を足ではじく。

それに目もくれず、ミーナは右拳で応酬する。

それを、一歩前に踏み出すことで回避し、ミーナの拳がヒカルの頭の少し左を通過。

その拳を掴み、転生特典をふんだんに使った力で拳を開かせてその手を握る。


「これで拳は握れまい!」

「まだ幻の左があるわボケェ!」


左手を握り締めて顔面に向け放つ。

その拳もヒカルの力によって(力と言っても能力ではなく握力)開かれ、握られてしまう。


「ちぃっ!」

「幻の左見破った!

 ってなぁ!」


にやりと笑った時である。

扉から何かが飛び出してきた。


「「え?いや、ちょ、は?」」


見事にシンクロした歴代最強の女魔王と王宮つきの召還士。

その二人に向かって、まるで弾丸のように向かってくる何かに巻き込まれて、二人は壁に叩きつけられた。


「おふっ!」

「きゃあっ!」


何が起きたのかわからないまま、彼等は目を見開く。










「すぅ……」


可愛らしい子供を二人して抱いていた。

毎回毎回サブタイがおかしい

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