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世界を愛欲で満たす byミーナ

ひゃあ!

もう我慢できねえ!

投稿だぁ!

「…………」


魔法陣の中心に佇む一人の美女。

街であれば百人中九十九人は振り返る(一人はホモかロリコン、ペドフィリアである)容姿に、豊満な胸や引き締まった身体。

かつてこの地に封印された歴代最強とうたわれた第七十七代目魔王ミーナ。

彼女は今、集中している。それもかつてないほどに。


「よーし……もう少し」


彼女が今行っているのは魔力融合。

この世界において他人の魔力は基本的に有毒物質である。

個人差はあるものの、酷いもので発狂し、死に至る。

回復魔法等は専用の術式で魔力を対象の傷口に流し込み、回復を早める魔法。

つまりは、専用の術式でもない限り人と人の魔力は相容れぬ存在。

しかし、彼女が行っている魔力融合は、対象となった魔力を、自分の魔力を持って強制的に自分の魔力と同じものに変える力業である。

余程の細かい魔力コントロールの技術と、相当な魔力量が無ければ到底できない(わざ)

その業で、彼女は彼女自身を封じていた結界を一枚一枚破っていき、それらを己が糧としているのである。


「……ラスト……っ!?」


最後の結界を破った瞬間、四方八方に散らばる彼女の足元の魔法陣の欠片達。

その欠片は、皆一様に欠片を核に、獣の姿を象った(かたどった)


「あの召喚士……ヒカルとか言ったかしら?

 随分洒落た真似してくれるじゃない……!」


欠片を核とした魔力の獣達は、中心にいる彼女に敵意をむき出しで睨んでいたが、彼女は気にもとめない。

しばらくの静寂の後、最後の魔法陣の欠片が人の形を象った。


「……?」

『あー、あー、マイクテス、マイクテス。

 あめんぼあかいなあいうえお。

 うす、ミーナとやら。

 俺はあんたを封印した召喚士の影郷光だ』

「……何か用?

 私、今からあなたを殺すのに忙しいだけど」

『おっと、俺に攻撃はやめてくれ。

 俺はただ伝言を伝えるだけの魔力で出来た自立思考システムだ。

 攻撃なんざ出来やしないから手荒にしないでくれ』


ミーナは指先を人型に向けるが、それを聞き覚えのある声に止められる。

間違いなく、三十年前に彼女を封印した召喚士の声であった。


『まず、結界脱出おめでとう。

 まさか魔力融合を使ってくるとは思わなかった。

 さすがに歴代最強か』

「ふん、お褒めに預かり光栄ね」

『だが、こちらも魔王をみすみす逃すわけにも行かないのでな……悪いが、妨害させてもらう』


人型のヒカルが指をぱちりと鳴らす。

すると、彼女を包囲していた獣達が光を放ち始めた。


「くっ……!」


あまりの眩しさに目を遮るミーナ。

しばらくして光が収まり、ミーナはそっと目を開ける。


「…………ふふふ……やるじゃない」


四方に存在していた無数の魔力の獣達は消え、彼女の目前に現れたのは巨大な黒い異形。

獅子の首3つ。

身体から生える2対の黒翼。

尾は八匹の蛇が牙を向き、四つ足のそれには、すべてを切り裂かんとする剛爪が輝いていた。


『名付けるなら……魔力融合獣キマイラ……ってとこか』

「うふ、斬りがいがありそうね♪」


ミーナは腰の当たりから生える淫魔特有の蝙蝠のような翼で空に羽ばたくと、呟く。


「来たれ、魔王剣“永劫ノ剣”(えいごうのつるぎ)


闇が彼女の右手に集う。

闇は剣の形をとると、彼女の手の中で低く唸り出した。


「第七十七代目魔王、“闇速(あんそく)”のミーナ。

 いざ、舞い踊らん!」


GYAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!





































「……破られた……か。

 やべーな、はやくしないと……残り時間はあと数日ってか」















































「ふぅ……いい準備運動になったわ?

 ありがとう」

『へっ、やっぱ化け物だなお前』

「褒めても殺意しか出ないわよ?」


彼女が足蹴にしているのはキマイラの首のひとつ。

先ほど、彼女自身が叩き斬ったものだった。


「で、あなたはいつまでいるつもり?

 私、ちょっと疲れたからシャワー浴びたいんだけど」

『心配しなくても、もう少しだよ。

 最後に聞きたいことがあってな』

「何かしら?」


ミーナは改めて向き直る。

魔力の塊である彼は、もうすでに右足から消え始めていた。


『お前の目的はなんだ?

 俺は、それだけがわからん。

 お前、一族の責任だのなんだので動く女じゃねーだろ』

「ふふふ、ご名答。

 私には目的があるわ」

『どんな?』


一呼吸つくと、彼女は口を開く。


「世界なんて私にはどうでもいい。

 私は平和に、愛と欲望にまみれた世界になればそれでいい。

 でも、魔王になったからには、やりたくなるでしょ?

 世界を思うままにするとか」

『世界征服が目論見か?』

「ま、そんなとこね……。

 別に人間滅ぼせとかいうわけじゃないから気にしないで委ねてよ」

『それは断る』


気が付けば、彼の体はもう肩まで消失していた。

魔力反応もだんだんと弱くなっていく。


『じゃ、また近いうちに会おう。

 そのときはたぶん、やりあうことになりそうだけどな』

「全力でぶっ殺してやるから首洗ってまってなさい」

『楽しみにしてるぜ』


そういって、魔力は離散した。

ミーナは、右手に持っていた永劫の剣を闇に還すと、ある方角へと歩き出した。


「そう、私の目的。
















 人間も、魔物も、関係なく。

 世界を愛欲で満たす」


魔王の野望。

その野望は果たして。

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