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プロローグ∀
これも、これも、それも……。
一面に広がる水溜り。
そこに浮かぶ奇妙な物体。
それを見て、また腹の中かがよじれるような、奇妙で苛立つ感覚がよみがえる。
また泣きだしそうだ。
頭の中が、カァっと熱くなる。
どうしてここにいるのだろう。
どうして私はここにいるのだろう。
何度か自分に問いかけてみるが、明確な答えなどでてきはしない。
ならばと質問を端的にする。
私は誰?
私は私。
何故ここにいる?
ここが私の故郷だから。
何故この場所に立っている?
ここが私の家だから。
私は一人暮らし?
いいえ、私は父様と母様と三人暮らし。
私の家族は今どこに?
私の家族は床の上……。
また頭が熱くなる。
先程とは比べ物にならない程に。
たまらず床の上に膝をつくと、ぴちゃ、っと音がした。
ゆっくりと視線を下ろす。
そこにはよく知っている顔が三つ。
一つは父様…。
一つは母様……。
最後の一つは……朱色に映る、私の顔だった。