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ガラス製の彼女  作者: みすず
第一章 雪
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雪は応えず

それから、3日目の夜。


彼女が見つかったと言う連絡が来た。


その時の俺は、驚きの余り感極まって声が出せなかった。



【おい、おーい大丈夫か?】

クマのドスのきいた声でハッとする。

「あ、ああ。」

【にしても、今回は俺にしては時間が掛かったな。】

「確かに、あの脅しをしたらお前の行動スピードは普段の5倍だものな。

・・・普段がノロ過ぎるとも思うがな。」

【チッチッチ。舐めんじゃねえよ?俺はな、あのノロさで女の子達の萌えを狙ってるんだよ。】

「ほう。何処が萌えなんだか理解不能だ。俺はむしろ(おえ)だな。」

【おい。吐くな吐くな。・・・レフ。俺は見つけてやった恩人だぞ?」

「わぁったよ。あんがと。」

【・・・ん。まあいいや。頑張れよ。】


ガチャリ。


足が何時の間にか震えていた

鼓動が馬鹿に五月蠅いけど、どうしようも無く俺は幸せだった。

・・・逢える。

本当に逢えるのか。。。

彼女に、遂に・・・



暫く余韻に浸って受話器の前に突っ立って居ると

女中軍団に見つかった。

サアアアアッ

・・・全身の血が凍る気がした。


さて、それから数時間後。

「た、ただいま。。。うぅっ」

バターン!


嵐に揉まれながらも、必死によろけながら寝室に倒れこむ。

息も絶え絶えな状態だ・・・

くそっあのおばさん共め、、、

強すぎる、、、

いずれ、いずれ目にもの見してやる!!


とりあえず、香水やらなんやらで臭い服を脱ぎ捨て、

ザブンと風呂に浸かり、ホッと息をつく。

風呂の湯で顔をゴシゴシ洗いながら、俺はある事に気づく。


そう言えば、クマは何も言わなかったな・・・

何処で見つけたとか、

何処の人だとか、

・・・まあいいや。

どうせ逢うんだ。


にやける頬を叱咤しつつ、

風呂から上がりバスローブを羽織って床についた。

明日も早くに会議だ。。。寝よう。




目が爛々と冴えていた。

・・・しまった、寝付けない。

今日は衝撃的なことがあったし、

おばさん共でストレスは溜まったし、

何だかまだドキドキして、寝付けない。。。


寝返りをうち、横にいる彼女を見つめた。

彼女はいつも通り、淡い光を放ちながら立たずんでいる。

「・・・なあ、聞いているか?」

ポツリと呟いてしまう。

何故そんな事を聞いたのかは分からないが、

ただ、見つめているだけでは物足りないのだ。

「俺な、今度の週末そなたに会いに行くんだ。本物のそなたに、

そなたは嬉しいか?嬉しいと言えよ。」

嬉しくて一人くつくつ笑っていると

違和感がまた過った。


何だ?これ。。

彼女に逢えるのに、本物の彼女に逢えるのに、やっぱり

引っかかるな。。。


すっと彼女を見上げる。

「・・・そなたはそなただよな。」

これから逢う彼女は、そなただよな。。。


遂に、違和感を言葉にして、彼女に問う。

しかし、

答えてはくれない。

そんないつも通りの彼女を今日は一段と憎らしく思った。

「ふん。俺は何を聞いてるんだ。そなたは、もうただの像だ。」

そう、これから逢う彼女が俺の姫君だ。。。


その夜、俺は妙にささくれ立った心を抱え眠りについたのだった。


そして、ほろほろと時間が過ぎて行き

気付けば彼女と逢う日になっていた。

正装をし、バサバサの金髪を綺麗に撫でつけ、

気を引き締める。


待ち合わせ時間が迫って来た

「・・・行ってくる。」

これでもう、二度とガラス製の彼女に話しかける事は無いだろうと思いながら

俺は、ゆっくり扉を閉めて行った。


さて、彼女に、会いに行こう。


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