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ガラス製の彼女  作者: みすず
第一章 雪
2/14

雪に口付け

碧い透き通ったガラスのなめらかな頬。

深く彫られた睫毛の長い眼。少し猫目だ。

キュッと結んだ唇。

スタイリッシュな短い髪。前髪は俺と同じ斜め分け

小さい鼻。


彼女を

いつまででも見ている俺は、

まるで

頭に靄がかかった様だった。


「・・・はぁあ。」

白いため息を吐き出す。

寒さは余り感じないどころか、身体の内側が燃えているように熱い


・・・・何故だろう??


首を傾げていると、不意に頭上から雪玉を落とされた。

ボスッゴキッ


・・・・首が不穏な音を立てたな。

くそ!誰だこの俺に無礼を働くとは!!!


「何者だ!!」

「パパだ!」

!!!!!!!!!!!!!!!!


こ、このしわがれた変態がにじみ出ている声は!

「じじい・・・」

もう一つ雪玉を喰らった

「儂はまだ59だ。中年の域はまだ脱して居無い!!」

ふんぞり返るなよ糞じじい


「んな下らない事でこの俺に雪玉を投げたのか・・・隠居生活で頭逝ったのか?

あ、いや。元からか・・・っと危ねえ!」


今度は上手く避けられた

流石オレ。ニヤリ


「お前はもっと親を大事にしろ!泣くぞ!?」

「土に還れ馬鹿野郎。俺は今忙しいんだ」

「何?またあれか?女か?」

「俺の用事はそれ以外に思い浮かば無いのか・・・?」


「もちろん。」


・・・もう少し真面目に生きよう・・・


が、今はそれどころじゃ無い。

彼女だ。


「ああもういい。親父はどっか行ってろ。邪魔だ。女の事なんだよ。」

「なんだやっぱりそれじゃ無いか!で?で?どんな娘?儂にも一口…」

瞬間、親父の両頬に拳が入る。

右はオレ。

左は・・・


「パーヴェル!!こんの浮気者ーーーー!!」

「お袋!丁度良かったこれ《親父》どっかやってくれ!」

「レフ!あんたまあ大きくなって、益々男前になったわ!」

「アリョーナ。良い加減子離れしたらどうだ?親バカはウザがられるそうだ。」

「パーヴェルはバカ親じゃないかい!」


三人家族の会話は常にこんな感じだ。

そして、ギャイギャイ騒ぐパーヴェルじじいとアリョーナ母さんに

退散してもらい、俺は一息ついた。


「たくっあの人達は・・・」

バリバリ髪を掻きながら彼女に向き直る。


いつまでもこうしては居られない。

誰かに見つかって取られる前に、


「よいしょっと……軽いな。綿を担いでる様だ。」

彼女を横抱きにして、自身の部屋に持っていく。

途中誰にも合わない様に、またコソコソと、


ガチャリ。パタン。

寝室の扉をしめ、ホッと一息。


彼女をベットに横たえてやり、その隣に俺も腰掛けた。

この俺が甲斐甲斐しく世話をするなんて、

「ふん、そなたこの俺がこんな風に良くしてやってるんだ感謝しろよ。」

・・・・・。


しまった。またやってしまった。

・・・まあいいか。他に人なんて居ない。


「俺の名はレフ。レフ・ヴァロフだ。この星一番の強国の王、驚いたか?」

一人ハハハと笑い、彼女の頬を撫でる。


「そなたの名は………よし、俺が決めてやろう。そうだな、何がいいか。」

可愛らしい名にするのもいいが、彼女は美しい方が好きだろうか。。。

俺は美しい方が良い。うん。美しい名か・・・

色々と、浮かんでは消え浮かんでは消え、を繰り返すけれど

時間ばかりすぎて行く


・・・・むずいな。うん。後だあと!


「ま、まあその内すごい良い名を付けてやる待ってろ。そうだ、そなた外に居て

少し汚れて居るんじゃ無いのか?」

見ると、足元等に泥が付着している。

やはりな。

俺は汚いのは好きじゃない。


女中に布を持ってこさせ、ついでに言い忘れていたが彼女は全裸だったので

ドレスもたのんだ。


「はあ。ドレス・・・ですか?」

「ああ、出来るだけ派手なものが良いな。早くしろよ。」

女中は首を傾げながら持ってくる。


「・・・もっと清楚なのが良かったか?俺はこれが良いが。」

好みなんて分かるはず無いのについつい聞いてしまう。

ドレスの着せ方が分からず(脱がし方ならお手の物)悪戦苦闘しながら着せてやる。


ふう、と額の汗を拭い。彼女の変わりばえを見た。

真紅のドレスに飾られた彼女は妖艶な雰囲気を出している。

その姿に胸が締め付けられるけど、眼が離せない


見つめていても俺たちの間には冷たい空気しか漂わない。

呆然と突っ立っている俺は操られたように口を開いた。


「そなたは、、、そなたは何者なんだ。。。何処からきた。何故あそこにいた?」

返答の無い質問を馬鹿みたいに繰り返す。


その瞳には何も映らない。

透き通ってしまう。

その瞳で見て欲しい。堪らなく愛おしい。

この気持ちは何だ?


何故そなたは俺をこんな風にさせる

一人でただの像に話しかけて、ドレスなんて着せて、

まるで幼児の人形遊びじゃないか。


惨めだ・・・この俺が、惨めだと?世界最強と謳われたこの俺が!?

悔しい。悔しい悔しい!!


「くそ!!そなたは何なんだ!」


叫ぶと同時に、彼女の肩に手を掛け

思い切り口付けた。


当然、彼女の唇は冷たくて

俺は更に胸が締め付けられた

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