最終話 ユキと春
また、肌寒い季節がきた。
でも俺の心は浮き足立っている。
なんてったって、ユキが今日は鍋だと言ったから、
早めに職務を終わらせ、
リビングへ向かう。
扉を開くと、エプロン姿のユキがいた。
「・・・もうすぐ帰って来ると思った。」
にっと、悪戯っぽく微笑うユキ。
「また、未来を見たのか?」
「ううん。あたしにはレフ君センサーが付いてるから。
近くにいたらすぐ分かるの。」
そう言ってまたくすくす微笑う。
あの事件から、もう5年。
あの後、俺はハルのお墓を建てた。
そして、ユキと結婚するために、アルノリド王子との婚約を破棄させようとした。
難題だと思っていたが、以外とあっさりアルノリド王子は承諾していた。
何故だって?
アルノリド王子は、ハルを愛していたからだ。
俺がユキを連れて行った時、王子は不思議そうに
よく似ているけど、メイじゃないな、どなただい?
と、言った。
そして、今までの事を話すと王子は初めては半狂乱した、
しかし、その後静かに涙し、ハルの墓参りをしていった。
もちろん、俺はアルノリド王子に殴り付けられた。
すげー痛かった。
あいつの、ハルへの思いや、痛みが全部受け止めきれないぐらいきた。
それからはお互い連絡も何もない。
アルノリド王子が何をしているのか全く分からないが、
とりあえず俺はユキと結婚した。
ユキは本名を捨て、ユキになった。
彼女曰く、
「メイよりも、ユキの方が愛されたから。」
らしい。
彼女の両親は、相当ユキを疎んでいたようだ。
ハルが入れ替わっていようがどうでもいいらしい。
・・・・よくハルも耐えたな。
そんなこんなで、俺らは何度めかの冬を迎えた。
「・・・・あ、白滝いい感じ。」
「ああ!取るなよ狙ってたのに!」
「いいじゃない?あたしが作ったのよ?」
意外とユキは強い。
この俺がぐうっと押し黙ってしまうほど。
「本当に美味いな~。ユキちゃん!料理上手だね〜流石わしの娘!」
「あんた!ユキちゃんに近づき過ぎ!こんの浮気もん!」
「・・・・・なあ、なんでお袋と親父が?」
「あれ?レフがよんだんじゃないの?」
「呼ぶか!!帰れ二人とも!」
「いやじゃああ!また肉食ってない!」
「レフ!折角可愛い我が子と可愛い義理娘に会いにきたのに!
帰れはないでしょ!」
ええい、めんどくさい……
「ま、いいじゃない?鍋は皆で食べましょう。」
そうユキがいう。
すると、リビングのドアが勢いよく開いた。
「今いい事言いました!お妃様!俺らも混ぜてええ!」
「今宵は何鍋でしょうかお妃様。」
「クマ!オールバック!なにちゃっかり茶碗と箸持ってんだ!!」
「いいじゃない。鍋は多い方が「はいはい分かったよ!」」
「たく、ケチじゃなうちの息子は、」
「いいえ!根はいい子よ!あんたに似ず!」
「大奥様、それは俺も同感だ!レフ殿下はいい人だ!」
「クマ。褒めても肉は多めに食わせんからな。」
「げっ バレた?」
「全くクマ。貴方は馬鹿ですか。こういうのは黙ってバレように多く箸に肉を挟んで。。。」
俺は無言でオールバックの肉を掴んだ箸を叩き落とす。
すると、俺の横のユキが弾かれたように笑だした
「あはははは!!ほんっとうにおっかしい!レフ君あんたの周りって本当にいい人たちばっか!」
その一言で、周りの空気が、俺たちの心が、あったかくなった。
「・・・・あー、んーと、ま、あ。そうだ、ないい奴らだ。うん」
頭をガシガシかきながら俺は次の言葉を紡いだ。
「ユキも、な!」
照れ隠しに彼女を抱き締め、顔を肩に埋めた。
皆がヒューヒュー五月蝿いが気にしない。
ユキがそっと、耳に何かを囁いた
「あたしね、今未来見ちゃった。」
「・・・・どんな?」
「何時かの春に、緑と桃色が咲く庭に、
レフとあたしと、もう一人いるの。はしゃいで、飛び跳ねてる。
可愛い可愛い女の子。もう少し成長すれば、
まさかの超年の差結婚で、アルノリド様と結婚するの。」
「俺たちの、、、娘?」
ふふっと笑ったユキの吐息が心地良い。
「うん。名前は、ハル・ヴァロフ。」
ーーーーーー俺は、ほほえみながら、彼女のお腹を撫でた。
「ユキ、愛してる。」
「あたしも、レフが拾ってくれた時からずっと、聞いていた。そして、
聞こえなかったかもしれないけど、ずっと言っていたよ。
愛してるって。。。」
そう、ここにも、見えないけれど生命がある。
聞こえないけど、声がある。
・・・・・そうだよな?ハル。
熱い目頭をそのままに、
ユキのお腹に囁いてみる。
ーーーーとくり、と
鼓動が俺たちに応えてくれた。
これで終わりです!!!
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