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ガラス製の彼女  作者: みすず
第二章 地獄
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地獄はうごく

アルノリド王子は、来客用のアンティーク調の椅子に腰を下ろしていた。


少し垂れた目元はどうやら優しい印象を与えるらしく、

若い女中らがちらちらと影から見ている。


まあどうでも良いが、


「アルノリド王子。何の用だ?」

ソファに腰かけると、真っ先にそれを聞いた。

アルノリドは紅茶を啜って居たが、

手を止め、カップを置き、ひたとこちらを睨み据えた。


そう、睨んだのだ。


温厚と名高いこの、王子が。


これは喧嘩を売られているな、と感じ、睨み返す。


暫くそうして居るとアルノリドの口が重々しく開いた。

「・・・・・返してほしい。」


「は?」

思わず間の抜けた声を出してしまった。


こいつは今、何と言った?


「アルノリド王子。言っている主旨が全くわからないんだが。」

こいつに何かを借りた覚えも無いし、第一そんなに親しくも無い。

耄碌しているのか?まだ若いのに、確か俺と同い年だったような、、、、

しかし、紅茶をのみつつ

そんな風な事を考える余裕は彼の次の言葉で吹き消された。


「君の所に、ガラス細工の女が居るだろう。それを、返してほしい。

あれは僕のだ。」



ごとっ、と、カップが絨毯の上に滑り落ちた。

じわじわと紅茶が絨毯に染み込んで行く様に、

俺の心に奴の言葉が染み渡って行く。


あれは僕のだ。



次の瞬間。俺は奴の胸ぐらに襲い掛かっていた。


「てめえ、、、どういうつもりだ、、、」

ねじり上げられたアルノリドは少し苦しそうにしかし、依然と、

「どういうつもりも何も、事情を述べたまで!あれは僕の所有物だ!

返してもらう!!」

「何故此処にあると言える!?そんなモノ知らん!!!」


アルノリドは小馬鹿にしたように嗤った。


「はっ!僕も最初は半信半疑で来たが君のこの様子で確信したよ!

君は隠そうとして居るんだろう!?無駄なことを!あれは何処に居たって僕には居場所が分かるんだ!

運命の相手だからな!」

ますます胸ぐらを締め上げる


「意味の分からない妄言を吐くな!!!何が運命だ!アルノリド!!ガラス細工なんかに!!」

「そう思うんなら返せ!あれはガラス細工などでは無い!!」


ヒートアップする王子の戯言にレフの限界が訪れた。


勢いよくアルノリドを殴り飛ばし、吐き捨てた


「ガラス細工などでは無い!?頭がイかれたかアルノリド!!彼女は、まごうことなきガラス細工だ!!

そうで無かったら、何故、あんな姿だ!冷たく硬い感触だ!何故、

俺の言葉に反応し無いんだ!!」


一息に言い終え、肩で息をしていると、アルノリドは立ち上がり殴り返して来た。


地面に叩きつけられると同時に、激しい憎悪が湧く。


「てめえ!!!」

「レフ・ヴァロフ!!貴様に一つ教えてやろう。あれはメイ・キュイジリアンの像では無い。

僕の運命の相手だ。貴様の言葉に反応しないのは当たり前だ。

僕にしかあれの声は聞こえない!あれが愛しているのはこの僕だ!」


「だから意味が分からないと何度も言っているだろう!!?」

「これだけ言って何故分からん!!あれは、

人間だ!!!」




息が止まった。




彼女は、人間。。。

透き通ったガラスの彼女が、人間?

そうだったら良いとどれ程望んだことか。

しかし、いざ叩きつけられると、こうも信じ難いのだ。


「・・・では、では何故、彼女は、ユキはガラス細工になった………?」

ピクリとアルノリドは片眉を上げる

「ユキだと?あれに名を付けたのかい?あれは、メイ・キュイジリアンだぞ?」

「今、メイ・キュイジリアンの像では無いと言ったでは無いか。」

「ああ、像では無い。しかし、彼女はメイだ。僕の、婚約者だ。

今は魔女の呪いにかかり、あんな姿だがな。」


衝撃、そして、困惑。

一度にその感情が全身を占め、言葉い詰まった。

「な、ならばパーティーで見たメイは!何者だ!!」


「奴こそ、魔女だ。あれの美貌に目が眩み、魔法であれに成り代わった。

若い魔女だ。」


「・・・・・!!!」

もう、何がなんだかさっぱり分からん。

しかし、何処かで納得している自分もいた。


そう、だから、俺はあのメイには惹かれなかったんだ。


ユキとメイは違うから。

俺が愛してやまないのは、ユキの方だから。


しかし、ふと気づく。

この王子は、今のメイが魔女だと知っているのに何故、何もしない?


「アルノリド。何故、お前は魔女を野放しにしている?」

「・・・あれの、命は魔女が握っている。迂闊に手だしなどすれば、

あれは粉々に砕け散るだろう。」

・・・手も足も出ない、、、か。


「では、ユキの呪いの解き方について何かわかっていないか?」

「ユキでは無いと言っている。いや、まだ何も分かっていない。だから、返して貰いたいのだ

あれを観察して、呪いの手がかりを掴む。

だから、レフ殿下。メイを、僕に返してくれ。」


「断る。」


重い威圧的な視線が突き刺さるがどうでもいい。


「俺は、ユキを愛している。みすみす手放すわけが無いだろう。」

「・・・・あれが愛しているのは僕だ。だから、ガラス細工になっても僕にだけ声が聞こえる。

居場所が分かるんだ。」

「ほう、、、で?愛しているからなんだ?ユキがは人間なんだろう?

人の心に絶対なんて無い。永遠なんて無い。常に変わるものだ。だから、ユキの心を奪えば済む話だ。」


顎に手をやりながら澄ました顔をするレフを、アルノリドは怪訝な顔つきで見る。



「レフ。君に割り込む隙は無い。僕らは愛し合って「なあ、お前はさっきからユキの事を

アレ、と呼んでいるなそんなにモノ扱いをしたいのか?」」


そう、指摘するとぐっとアルノリドは詰まった。

今ので、何となく、だがはっきり分かった事がある。


「アルノリド王子。お前はユキを愛していない。だろう?」


アルノリドの瞳が揺らぐのを

俺は見逃さなかった。


すみません名前統一してなくて、

あれ=ユキ=メイですよ~。f^_^;)


もう人権侵害な発言多すぎる。。。

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