英雄の星
――星になるには、善い行いをし続けなさい。
逆に悪い行いをした人は、地の底で灼かれてしまいますよ――
そんな教えに従う国がありました。
皆が天の更に上にある星へと成るために生きていました。
ある男は、特に星への憧れが強く、小さな頃から善行ばかりをし続けていました。
毎日塵を拾い草を刈りました。
誰かが物を失くしたときは、自分の物を渡しました。
星に成るためだけに善行を繰り返した男は考えました。
――そんなちっぽけな行いだけで星に成れるのだろうか。もっと大きなことをせねば、と。
男は悪人を捕まえるようになりました。
盗っ人、殺人犯、暴力主義者、そして……魔女。
男は民衆の心を悪い方向へと仕向ける魔女を捕らえ、自分で磔台と大火の準備までもを行いました。
最後まで無実を騙った魔女は、地上で灼かれてしまいました。
男はその後も魔女や工作員などを次々と捕らえ、灼きました。
男は次第に名声を手にし、遂には「英雄」とまで呼ばれるようになりました。
英雄となった男は、永遠の眠りにつきました。
男の魂が体から離れると、案内人が話しかけました。
その魂は一刻も早く星に成るため、そのような者のことなど意に介さず、唯上へと昇り続けていきました。
次第に地上は見えなくなり、月を超えた魂は、太陽に手を伸ばしました。
昇りに昇ってやっと手がかかったとき、燃えたぎる太陽はその手に火をつけました。
火は直ぐに回り、魂を覆いました。
魂は星になりました。魂が残らず灼き尽くされるまでの、ほんの数瞬だけ。




