神獣=バカ by流華
鬱々とした気分のまま流華は二学期三日目を終わらせていた。
ただでさえ新学期後の一週間は気が重くなるというのに今学期はいつにも増してだ。それもこれも全てはこの隣にいる
「コイツのせいで」
流華は怨嗟を含んだまま呟く。隣にはねりんとそのペアであるハムスターがいた。
「わぁー!るーちゃんが自分から話しかけてくれるなんて!嬉しいなぁ」
ねりんは、ずれた観点で喜んだ。犬ではないのに尻尾は見えるかのよう、対してハムスターは大切な神子がバカにされて悔しいのかイライラとしている。
「またこやつはねりんのことをコイツなどと……仕置きしてえぇかのぉ?」
「猫に食べさせますよ、バカやろう?」
仕置きだのなんだと自己中心的すぎて気持ち悪い。最初にあった尊敬の念が……いや、最初から流華は神獣というものが嫌いだったので元からなかったが。でも、知ってしまったのだ。ねりんを奪った存在は神獣であると。そのため、不快感を隠そうとせず追い払うことに専念する。ちなみに流華の考えている猫とはもちろんにゃん吉のことである。
「…神獣を全く敬ってないくせに様などつけるな気持ち悪い!そもそものぉお主ら人間というもn……」
ハムスターが長々と説教を始めようとする。初めは波風立てないようにと、真面目に聞いていたが1日で諦めた。流華はハムスターの頬を片手で掴むと空の彼方、ねりんの家とは反対の方向に投げつける。ぶん、と気持ちいい音を響かせハムスターは星になった。
「あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・し・た・!」
スッキリしたと言わんばかりに笑顔になるとねりんの方を表情を消してから振り返る
ねりんは苦笑いをしながら流華と目を合わせ、可哀想と正論じみたことをいった。
「あー!るーちゃんやめてよ、栗ちゃんが可哀想でしょ」
くだらない。これで懲りて一生話しかけなければいい。私のことなど忘れて新しい友達を作って仕舞えばいい。
そしたら私は笑顔でねりんのことを祝福するというのに。そんなことも考えながら流華は昨日の計画を思い返した。計画名はヒトモチ。ある場所を踏むと落とし穴に落ちトリモチの上に落ちる仕掛けだ。にゃん吉が近所の猫を総動員して作ると言っていた。その場所まで
(あとちょっと。十一時の方向に数歩歩けば……)
「そう思うならついてこないでください。私は貴方のことなど覚えてませんしついてくる限りこの神獣様の扱いも変わりません。」
流華は覚えてないのだと言い切ると、ヒトモチの方まで歩き、踏む場所を大股で跨いで回避する。そのことを知らないねりんは呆れながら諦めない、と意思表示するために流華を追いかけまんまと踏み、ヒトモチへと落ちていった。
「むぅ、るーちゃんが覚えてなくてもあたしは覚えてるし!……ってえ?えぇー!!!!!なにこれえぇぇぇ……!」
ねりんの声がだんだんと遠くなる。もしハムスターが近くにいれば、この声に気づいて助けたかもしれない。だが、ハムスターは空の彼方へと星になってしまった。
「これも計画のうちってやつ?かわいそー、じゃーね」
自分のやったことだが、にゃん吉といたことでいたずら好きの性質を受け継いだのか、愉しそうに笑うと落とし穴に手を振り来た道を少し戻って家に帰った。
家に着くと真っ直ぐに二階にあがる。
「にゃん吉ーー!作戦大成功ぶい」
流華はドアを開け、にゃん吉を見つけた。ぶい、と言いながらピースサインをする。かわいいよぉ〜、とねりんならば間違いなく言ったであろう。
「お、よかったヨ。これに懲りてくれるといいんだけどナ」
猫は髪型の研究をしていたらしい。魔力によって動く魔道携帯式ホル、略してマホで調べて、紐を三つ編みにしたり、編み込みをしたりしている。
(髪型いじるの気に入ったのかな)
どこか微笑ましくなる。最初にあった時は全てのことに対して何でもいいと言っていたのに今は………。
「ん、明日は木曜日で神子見習いの仕事があるって言ってたからちょい余裕」
神子見習いにはさまざまな仕事がある。たとえば神子についていき妖怪の討伐、隣国の調査、結界の配置、などの手伝いをする。隣国は妖怪のことを魔物といい、神獣と同じにひっくるめ嫌っている。そこからこの華霞国とは長く敵対関係にあるという。結界はなにか曰くのある場所に配置している。
「そうカ、なら少し明日は出かけル。気をつけろヨ」
出かける…。おそらく一人になりたい気分なのだろう。神獣が来るのが色々と妖怪なりに思うこともある。はず。
流華はにっこり笑顔で大きく返事をした。
「ん!」
文字数の差がすごいです。長くて何日かに一回と二日に一回程度だけど短いのどっちがいいんですか?
プロット決めてないためここたらだらだらなっていきそう…。