ねこのて
◆2024年5月3日
「忙しそうなので、お手伝いするです。魚焼くですにゃ」
「ねこの手では届きません」
「焼いてくださいですにゃ」
お手伝いとは……?
「みてみて、口から波動砲出てる?」
出てる出てる。大丈夫、出てる。
「よく働いたので寝るですにゃ」
おやすみー!!
作者なので言えないこと。言いにくいこと。
というのはありまして、私の場合「好きな本の話」「好きな作者さんの話」です。
いわゆる推し活あれこれ。
私はそもそも好きな作品に対して、気持ちが重い自覚があります。
高校生のとき、月数冊買っていた某レーベルで好きな作者さんのシリーズが打ち切られ、しかもその作者さんが以降そのレーベルで本出さなくなったために、私も買い途中の他のシリーズ含めて一切そこの本買わなくなりました。
私の好きな作者さん干したレーベルなんて滅びてしまえの勢いで。
いまでも、買うときにものすごく葛藤がありますし、どうしてもという本以外買いません。
(当時の編集さんもう残ってないかもしれないのに)
以上の経験から「レーベルは採算の都合でシリーズの打ち切りをするのかもしれないが、それをされた読者はレーベル切りをする」と私は知っています。しかしさすがに自分が作者になった状態でそれを口にすると読者さんへの脅しになりそうなので(「打ち切られないように買い支えてください!!」と受け取られかねない)言えないなぁ……という。デリケートな話題になってしまった。
ところで私の場合、作者としてはこれまでの主戦場が電子書籍でしかも単巻前提だったために、そもそも初動や打ち切り云々とか無縁に生きてきたんです。
電子書籍は(打診はあったものの受けなかったレーベルの条件も含めて)「実売印税のみ」「最低保障金あり(金額はレーベル規定or実績により変わる)」など、出版社によってまったく原稿料が違います。印税の%も違いますし。
最低保証金というのは、見込みダウンロード数から作者に先に原稿料を支払ってくれる仕組みでして、その見込みのダウンロード数収入を超えた場合、売上に応じた印税が入ります(超えなかった場合は出版社の赤字なのでしょうか……( ;∀;) なので、実績のあるなしや作品の売れる見込みのあるなしでこの金額は変わることもあるみたいです。出版社ごとにこの辺の話は全然違います)
実売印税のみで、なおかつ本が売れないと1冊書いても全然収入にならないことも考えられますが、出版社も在庫抱えるわけではないので「売れないことによるダメージ」はさほどないの……かな?(イラスト代が回収できないと赤字だと思いますが)
むしろ(きちんと聞いたことはないですが)初動で売れなかった作品も、ストアごとに設定されている読み放題プランに移行してから、長い期間をかけて回収しているのかもしれません……。(その場合、弾数揃えておいてレーベル読みをしてもらうのは有効だと思います)
ちなみに「待てば無料」系ですが「待てば無料」で無料で読んで頂いた分は完全に無料です。少なくとも作者の収入は一切ないと説明を受けています。「動画を見て無料」などから、はじめて収入が発生します。
こうして考えると、「お金をもらっているプロなのだから」というあの言葉が、作者的にあまり実感のない言葉になっている現実もあるだろうなと、私などは思います。
本を出しても売れてなければ振込発生していない状況もあるので……
電書はそもそもストアでの集計が配信日からラグがあります。
(=ストアごとに締め日が違い、出版社への入金はそこから1~2ヶ月以上かかる場合が多いのではないでしょうか。その後に、社内で作者の収益を計算して振込するので、配信日から数ヶ月確実にずれる)
実売印税のみで、売上から作者に支払われる金額が出版社規定の振込最低金額(1円単位から振り込んでくれるわけではないので、だいたい1万円以上などのまとまった金額です)に達していない場合は、
1冊出して半年くらいたっても1円も受け取っていない状況もあると思います……。ちなみに準備期間は、配信日の一年以上前から動いていることもあるかと。なので実質「仕事として考えると」1年半タダ働き。
作者さんが「べつに作家もうからないよ!」って言ってるの、想像がつかない方もいるかもしれませんが現状本当にこれ。
電子書籍系の出版社がいかがわしいとか作者が騙されているとかではなく(ストアごとに売れた実数をすべて一覧で教えてくれる会社さんもあります、ごまかしているとは思いません)売れない本を出せば収入にならない、シンプルにそれだけ。
(これはすべて私の知る範囲での話で、他の方の認識とはズレるおそれは十分にあります。ただ、私の受けた打診内容や契約書、売上を見たわけでもない方がご自身の経験則やなんらかの噂をもとに「そんなわけない」とか「嘘だ」というのはよろしくないと思います。また、「こういうことを言っている作家がいた」という形で噂話として広めたり、「猫写真だけ」に付随したこちらの文章をことさらピックアップして広めるのもやめてください。噂を流しても良いことはありません、事実を知りたい方はご自身が実際に出版社の方と話せる状況まで持っていき、自分の知った範囲の現状を自分の言葉で語るほうが良いと思います)
こういう状況の中、自分の本・他の先生の本にかかわらずガツンガツン下げレビューされているのを見ると本当に気分が落ちます……。どうしても作家でいたいひと以外はこの仕事続かないわ、と。
私も「鈍感系ヒロイン書こう!」と思ったら「鈍感すぎる」と書かれたり、「ライトでさらっと読める読み物書こう!」と思ったら「軽すぎる」と書かれたり、おぉぉぉ狙い通り書いたらそれが短所だって声の大きいひとにメッッチャ叩かれとる……とか見た。見た。安心して手にとっていただけるよう、極端な展開を書かないでおこうと思ったら「新規性がない」とか。Rシーン多めが売りのレーベルで、Rシーンが多すぎると書かれているのが私だけではなく他の作家さんでもたびたび見かけるとか……
※誤解なきよう声を大にして言いたいのですが、私の作品にはとても素敵なレビューもたくさん頂いているのでーす!! そういう方は「まだ足りない?」とか、胸を痛めないでほしいのでーす、届いてます!! ありがたいです!!
ここでは、下げレビューの毒の一滴が(それが自分の作品宛ではなくても)目にしたひとにいろんな感情を抱かせるという話をしています、私は自分の好きな作品や作者にアンチコメントが書かれただけでダメージ受ける性質なのです。重いので……この重さを普段から表に出していると「(作者としての)私に対してもこのくらい重く応援してほしい」と言っていると誤解されかねないので、今となっては「いち読者の立場に立った意見」は言いにくいなぁ!という所感でもあります。デリケート!!
作者としての私は、無理のない範囲内で推していただければそれで十分です!!
一方で、まさにTLなどのジャンル(ラノベでもときどき)にはガンガン書いて著書3桁みたいな先生もいますよねこの業界。
カッコイイ……すごい……絶対そこに至るまでにいろいろあったはずなのに毎日ガリガリ書いてんだろうなと思うと憧れる……。
たとえば、私の作者向けなろう活用おすすめ術としましては「毎日更新する先生をお気に入りに登録する」で、毎日新着あるの見ると「私もがんばろおおおお」ってすごく思うんですよ。
それと同じで、商業でも「作家べつにもういいかな」って思ったときにゴリゴリ本出している先生見ると「カッコイイなぁ……あの先生がひとりいるだけで周りですごくたくさんの仕事が発生していろんなひとがこの業界で生計立てていけるんだろうな(もちろん読者さんがついているからこそできるわけで、新刊楽しみにしてチェックしている読者さんいっぱいいるんだろうな)」って思うと、自分ももう少しがんばろう、という気になります。いろんなひとを幸せにしながら、本の文化を支える側でありたい。
ということで、落ち込んだときこそ見るべきは、カッコイイひと、頑張っているひと、折れないひと。
私もそうなりたいなぁっていつも思ってます。←惚れっぽいのでいつもいろんなひとに憧れているのです。