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十三話 魔力つよつよ系中性賢者さんと出会う話

「師匠……どうしたんですか?」


「いや~少しばかりしくじってのう。戻らん。」


 宿に帰ると、幼女状態の師匠が座っていた。


「なんとか完全封印は回避できたが、部分封印は喰らってしもうた。スキルが一部封印されとる。ステータスも弱体化しておる故、今の儂はタケより弱いのう。」


「マジですか………いったい誰に………」


「犯人と目的は分かり切っとるからいい。それより解除じゃ。このままじゃと………いや何でもない。とにかく不便故な。」


「解除方法は?」


「先輩のなんでも魔法でなんとかならないですか?」




 《NAME:ファルに施されているのは〚封印魔法:永久封印〛の不完全体です。完全体なら解除は【無限】を使用すれば可能ですが、不完全なのがかえって複雑になり、力ずくで解除しようとなると被封印体にまで影響を及ぼす可能性があります。》




「………だって。師匠。」


「【無限】の魔法は儂でも危ういところがある故、それが儂に影響するとなると危険じゃのう。」


「え?なに?私には【導】さんの声聞こえないんだけど!」




 《提案。魔道具『魔解之書』の使用を勧めます。一般的に知られている位置は、「シリウス法国」「アルタイル帝国」「太陽ノ国」「月の裏」にあります。》




 えなになに?なんかどんどん知らない情報が出てくる。相変わらず君は話が早いんだって。




 《魔解之書とは、魔法を無効化する神具です。生産不能、模倣不能、使用制限回数ありのため、各国厳重に保管されています。》




 《シリウス法国は、シリウス教団の本拠地且つシリウス教の聖地とされる場所です。特徴としては、最も近いものの、教徒しか入ることができず、夜間は閉鎖。また禁忌である悪魔や魔獣、それに連なる全てはその場で即座に処刑されます。》




 《アルタイル帝国は、軍事力は大陸最大級、広大な領地をもつ帝国です。王都までは約9,800㎞。稀に皇帝に気に入られた者は宝物殿から褒美を与えられるといいます。》




 《太陽之国は、ここから東に12000㎞地点にある島国です。数多くの秘宝や珍しい武器等が収められており、年に一度の闘技祭の優勝者には、その中から一つ、選んで下賜されるそうです。》




 《月の裏は、文字通り月の裏です。月の裏には遥か昔から、『神書館』という建造物が存在し、そこにはありとあらゆる書物が納められているという伝説があります。》




「月の裏には儂は昔行こうとしたのじゃがのう。無理じゃった。」


「楽そうなのは太陽之国ですかね。アルタイル帝国は行っても手掛かりゼロですし。」


「ちょっと!二人で私が入れない話をしないでくださいよ。」


「煩いのう。ほれ【念話】部分接続。」


 《初めまして。私は『Navi』。【導】の意思であり、主に忠実な僕です。》


 《ああ。俺は『タンサクン』。【探】の意思であり、お嬢様のお付きだ。》


 うわっ!!ああ。直菜さんのスキルの意思か。なんか家のナビさんよりフランクだな。

 ていうかタンサクンって。まあ俺のネーミングも相当だけど。


 《スキル臨時接続。【てにいれるもの】へと一時的に変化しました。》


 ん?


 《魔解之書だな?俺なら一般的に知られていないものまで教えれるぜ? 検索中 あったあった。》


 んんん?


 《えーっと…………ベガ海峡の底の沈没海賊船の宝箱の中、怪盗シルヴァのコレクションルーム、ウェヌス王国の古本屋の片隅、賢者アレストの鞄、クラリア魔法大学の図書室の片隅、大魔導士の棺の中、天空都市コメットの宝箱、ユラナス共和国の商人の珍品コレクション…………》


 つっよ。


 《今提示された場所を検索。最短ルートを割り出しました。最も近いものは………》


「………予想外、最強の組み合わせじゃな。」


「俺も若干引いてる。」


「このイベントって、こんな簡単にクリアできていいものなんですか?」


「なんか明らかに長い旅になりそうな雰囲気醸し出してましたよね?」


 《東北に58,36m。》


「「「近っ」」」


 《賢者アレストの鞄だな。いまアレストがそこの店にいる。》


「おっ俺ちょっと行ってきますね!【神速】!」


 ◆◇◆◇


 看板。


 あにまるカフェ。


 そーっとドアを開ける。


 中はかわいらしい小型魔獣や低位精霊獣など、KAWAII空間。


「やっぱりリトルフローズンラビットはかわいいなあ………この青銀に輝く美しい毛並み、クリっとした赤い目。氷の結晶の儚く美しい睫毛にぽっちゃりしているようでちょっと筋肉質なボディ。主張の強い長い耳と控えめな小さい氷の角とのコントラストが最高だ。

 ああ。こっちはフレイムキャットか!?黒い猫のような外見だがところどころに赤い毛が混ざっている。心を許した相手には熱く感じないというが……熱っ。そうかまだ会ったばかりだもんなあ。ああああああああ!いまチラッと見えた小さな赤い牙!全体が途轍もなくかわいいのに偶に見せる野生の一面がグッとくる…………。

 ああああああああ!ライトニングリトルドッグではないか!!魔獣でも精霊獣でもない存在!魔獣のエレメンタルリトルドッグが特異進化して生まれるレアなコだ!ここから進化するとライトニングケルベロスかライトニングガーディアンウルフになる!それらもかっこいいがやはりこの店は解ってる!!今のこの時期が最高に可愛いということを!!人懐っこく、すこし力の制御が不安定。たまにビリっとくるが、それを打ち消してあまりありすぎるこのたれ耳!あとビリっと来るたびに申し訳なさそうにする態度が非常に愛おしい!!ああ!嗚呼嗚呼!やはりこの店は天国だあ!」


 なんかいる。


 白い髪に金の片眼鏡の少女………いや少年?どっちだ?

 高級そうなシルクのローブに身を纏い、背中には白、金、青を基調とした美しい白い羽のようなデザインの両手杖。

 肩に、銀で縁取られた青い鞄。

 ゆるゆるの雰囲気からは想像もできない程の、凄まじい魔力。


「あっあのぅ……」


「ん?誰だ君は?いまボクは忙しいのだが?」


「賢者の、アレストさんですか?」


 彼(彼女?)は聞くや否や、速攻受付に代金を放り投げ、魔法を応用して逃げ出した。


「速。【神速】【全魔法】〚上位強化魔法:ACCELERATION〛」


 超加速。


 追いつけ…………ない!


「【全魔法】〚極位風魔法:追風〛〚上位炎魔法:ENGINE〛〚上位雷魔法:雷針速〛」


 超々加速。追い…………ついたああ!

 ローブを掴む。


「なっ!ボクの速度に追いついただと!?」


「阿保みたいに速いな。」


「クソッ!ほら。早く連れてけよ。」


「どこに?」


「え?」


「え?」


「おまえ、魔法組合関係者じゃないのか?」


「なにそれ。違います。」


「なんだ。逃げて損した。それで?用は?」


「あ、話聞いてくれるんですね。」


「ボクに追いついたのだ。話を聞く価値はありそうだ。」


「なら、俺に少しついてきてください。お願いがあるんです。」

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