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プロローグ

「先輩!私と付き合ってください!」


「………え?」


 俺は富川武。二十歳。大学生。

 俺はそこそこ頭いいが、顔は普通。背は高いが運動音痴。

 別に貧乏でも裕福でもない。趣味は漫画。

 特徴、無し。


「………なんで俺?」


「先輩は無自覚かもしれないですけど、そのさりげない優しさと、安心できる空気感が好きなんです。」


 彼女は後輩の沢北直菜。かなり可愛く、彼女を好いている人はかなりいる。


「駄目ですか?」


「いや、その、えっと……よ、よろしくお願いします。」


 ◆◇◆◇


 信じられん。俺が?沢北さんと?


 俺は彼女なんか居たことなく、童貞。存在感も薄く、友達も録に居ない。

 そんな俺が?え?

 

 俺を好いてくれるというのはかなり嬉しかった。どうしよう。




 その時はかなり浮かれていたのは間違いない。




 あ、キョロキョロしてる女の子。迷子かな。


「どうした?こんなとこで。」


「ひぐっ……おじちゃんだれ…」


 おじちゃん……そんな老けてるかな?まだ俺は二十歳だよ。


「お母さんは?迷子?」


「うわああああああん!!!!!」


 迷子はこうなると何も聞けない。けど流石にほっとくのも……


 こういうときは思う存分泣いてもらってから聞いたほうが早い。駅の広場だから、この泣き声を聞きつけて親が来ることもある。迷惑そうな顔する通行人もいるが、我慢してもらおう。


 泣き止んだ後、迷子センターに連れて行きつつ親を探す。





 しばらくして親が来た。まあこの駅は結構人多くて迷子になりやすいから、よくあることだ。





 もうこんな時間か。


 お礼を言い続ける母親から逃げるようにその場を離れる。こっちの道は少し遠回りだけど人気が少なく静かだ。


 日が暮れてきた。晩ごはんなににしようか……痛っ。




 突然お腹に刺すような痛みが。




 ふと脇腹を見ると、銀色の何かがくっついている。

 違うな。刺さってる。これは…え?包丁?


 遠くで女性の悲鳴。どうしたんだろう……困ってるなら……いやその前に止血……

 頭………回らな………やば…………………救急車…………


「はあ、はあ、はあ、ざまあみろ!!俺の沢北さんだ!渡さんぞ!」


 何言ってるんだこいつ………逆恨み?………そんなんで俺………死ぬのか?………


 意識が薄れていく。体から血の気が引いていく。寒い。熱い?感覚がおかしい。

 だめだこれ。やばい。


 目を瞑る。すーっと意識が溶けていく。




 遠くで微かに救急車の音。




「大丈夫ですか?聞こえますか?」

「緊急手術を開始します。」


「脈拍が急低下!」

「急げ!」




 ◆◇◆◇


 《本日都内で大学生が殺害される事件が発生しました。被害者は富川武(20)。警察は同じ大学の黒平真司容疑者を現行犯の容疑で逮捕しました。犯人は事ある毎に逃走を図り、現在警察署に拘束されているとの事です。捜査関係者によると……》


 ◆◇◆◇





 ……………………あれ?意識がある。

 俺死んだよな。


 静かだ。地面は硬くて冷たい。

 病院ではなさそうだ。


 体がふわふわしている。軽い。目はよく見えないが多分これは……


 白い壁?ああなんだ。夢か。


 《否定。夢ではありません。》


 うわっ。誰!?


 《回答。私は『名称未定』。主の質問、疑問に回答する存在です。》


 ちょっと意味わからん。俺は生きてるの?


 《肯定。生きています。主は現在、種族名レジェンドリトルデーモンとして、生命活動をおこなっています。》


 え?人間じゃないの?異世界転生?俺悪魔?レジェンドリトルってなに?


 《肯定。回答不可。肯定。回答。レジェンドリトルデーモンとは、高濃度の魔力溜まりから極々低確率で発生する低位魔獣です。倒した場合、膨大な魔力を獲得できます。》


 えっと……それはつまり、はぐれたメタル的な存在ってこと?


 《回答不可。質問の意味が解りません。》


 ふむふむ。一旦情報を整理しようか。


 俺は恐らく異世界転生した。マジか。

 で、転生先は経験値ザクザク系レアモンスター。ウソだろ。

 で、さっきから話してるこいつは異世界転生系でおなじみのナビ的な存在。ありがたい。

 で、目の前にいるバカでかい白い虎は寝ているから起こさない方がいい。うん。


 そーっと離れるか。

 あれ。足がない。腕も変だ。いや、これは翼か?


 《回答。レジェンドリトルデーモンは球体の胴。黒い体毛。一つ目。黒い3対の翼を持っています。腕、足に該当する器官は存在しません。》


 ほんとに人外だわ。飛べるのか。


 《提案。スキル【飛翔】の使用を勧めます。》


 じゃあそれ。


 《承諾。【飛翔】を使用します。》


 うわっ。ほんとに飛んだ。よし、早く上に………


 《警告。ここは洞窟です。》


 ゑ゛?

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