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170 煽り耐性ゼロ

「は?」


 俺の言葉に鳩が豆鉄砲を食らったみたいな顔をするヘレーネル。


「カテリーナは俺のパーティーに入る。

 文句があるんなら聞きますけど?」

「いや、なに言ってんのお前?

 僕の妹を勝手に自分の物にするなよ。

 てゆーか今言ったよね?

 男女の関係じゃないって」

「ええ、言いましたけど、それが何か?」

「だから……なんなのコイツ⁉」


 話が通じないとでも言いたいかのように、彼女は背後にいる二人の方を振り向いて不満を訴える。

 しかし、黒髪陰キャも金髪オールバックも、こっちに話しを振るなと言わんばかりに肩をすくめた。


「あのさぁ……カテリーナは僕の妹なんだよ!

 クルセルド家の中では、嫡子に従う決まりなんだ!

 君みたいなのに横から来られても困るんだけど⁉」

「ええ、じゃぁ困って下さい」

「はぁ⁉」

「カテリーナさんは俺の友達で、仲間です。

 だからあなたには渡しません」

「ウィルフレッドさん! ありがとうございます!」


 さらに強く俺の身体に抱き着くカテリーナ。

 いっそう乳が強く背中に押し付けられる。


 たまらないな、この状況。


「くっそぅ……なんなのお前?!

 ホント、ムカつく!

 ムカつく、ムカつく!

 ぶっ殺してやりたい!」

「やれやれ、飛んだじゃじゃ馬だ。

 クルセルド家のしつけはどうなってるんだ?

 親の顔が見てみたいよ」


 俺は笑顔でそう言ってやった。


 親の顔というのはカテリーナに対しても侮辱になるかもしれないが、こんな奴を放っておくのだから、ろくな男じゃないことは確かだ。

 後でフォローしとけば大丈夫だろう。


「はぁ……お前、ほんとなんなの⁉

 絶対にゆるさない!」

「別に許さなくていいよ。

 許して欲しいなんて思ってないし。

 それにしても貧弱な語彙力だね。

 悪口にもバリエーションがあった方がいいよ。

 君みたいに口足らずだと、

 バカにされて終わるのがオチだから」

「ぐぅぅぅうぅ!」


 完全に言い負かされたヘレーネル。

 悔しそうに歯をギリリ。


 いやぁ、可愛そうだとは思うけど、ここまで簡単に口喧嘩で勝てると気持ちがいいな。


 ヘレーネルの容姿は幼く見える。

 カテリーナの姉ということだが、彼女よりも年下に見えるんだよなぁ。

 身長もこいつの方が低いし。


 精神的にはカテリーナの方が成熟していると思う。


「カテリーナ!

 そんなやつ無視してこっちへ来てよ!

 コイツバカだから、一緒にいたらバカがうつるよ!」

「いえ……私はウィルフレッドさんとパーティーを組みます」

「ハァぁぁぁ⁉ なに言ってるの⁉

 カテリーナのくせに!」


 カテリーナに拒絶されると、ヘレーネルはいっそう感情的になる。


 なんども床を踏みしめてはギリギリと歯を食いしばり、両手の拳をギューッと握りしめている。

 顔は耳まで真っ赤だ。


「はい、分不相応かもしれませんが。

 どうしても彼と一緒になりたいと思いまして」

「なにそれ⁉ 言い方が卑猥なんだけど⁉」

「卑猥でもなんでもいいです。

 とにかく私はアナタとパーティーを組みたくありません。

 どうか……ご納得いただけないでしょうか?」

「無理だから! 無理!

 お前は僕のパーティーに入るんだよ!

 もう決まったことだからね?!」

「いいえ、決まっていません。

 私が納得していないので」


 カテリーナがそう言うと、ヘレーネルは人でも殺しそうな恐ろしい形相で彼女を睨みつける。

 こわい。


「許さない……絶対に許さない! 殺してやる!」


 ヘレーネルはそう言って両手を胸の前で合わせる。

 完全に両手をくっつけるのではなく、少しだけスペースを空けた。


 するとそこに何か小さなものが生成される。

 あれが……結晶弾?


「死ねっ!」


 ヘレーネルが両手を前に押し出すと、結晶がこちらへと飛んできた。

 急なことで身体が動かず対応できなかったが、頭の中は落ち着いていた。


 だって……。




 キュゥン……。




 結晶弾は突然現れた影に吸い込まれて消滅する。

 少しして、ヘレーネルの頭に別の方向からそれが投げつけられた。


「こんなものを人に放って大惨事になったら、

 どうするつもりだったのですか?」

「はぁ⁉ 誰だよお前は?!」

「ウィルフレッドさまに仕えるメイドですが、なにか?」


 メイドらしいことなど何一つできない駄メイドは、無表情のまま言い放つ。


 俺が安心していたのは彼女がいたからだ。

 この手の攻撃であれば、ファムがスキルで何とかしてくれると思った。


「ちっ、出番を逃した!」


 ダルトンが言う。

 こいつにはあんまり期待してなかったけど、助けてくれる気ではいたようだな。


「なんでメイドがここに⁉」

「彼と一緒にパーティーを組むつもりなので。

 働きたくないのですが、仕方なく」

「自分で働きたくないとか言うメイド、初めて見たよ」

「ええ、私もあなたのようなロクデナシは初めて見ました」

「は?」


 ファムの挑発にヒクヒクと口端を動かすヘレーネル。

 よほど頭に来たらしい。


 まぁ、この子が本気になったところで、軽くあしらわれるだけだろう。

 ファムは強いからなー。


「きゃはは! お久しぶり! ファム!」

「え? どうしてあなたが?」


 とここで、また新キャラが登場。

 ファムはその人物を見て目を丸くしていた。

 どうやら知り合いらしい。

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