13 ステータスとポイント変換
ファムによると、ステータスの数値は固定ではなく、獲得ポイントと交換することが可能だと言う。
ポイントと交換したステータスを”消費”することで、普段よりも強力な力を発揮することができる。と言っても常に強化されるわけではない。
例えばSTRの場合。
貧弱なウィルフレッド君の身体でも、鉄の棒を折り曲げたり、大岩を持ち上げたりすることが可能。
しかし、使えば使うほど数値が下がるので、最終的にはゼロになり、力を使えなくなる。
肉体に備わった筋肉は俺の世界と同様に機能するが、鍛えたところで驚異的な力が発揮できるわけではない。がんばってボディビルダーやプロレスラーのような体形になったとしても、ステータスを消費して使う力にはかなわない。
つまり……ステータスを消費することで、誰もが特異的な力を発揮できる。あの数値は強さそのものを示すものではなく、強い力を行使するためのエネルギー源の残数だったわけだ。
ちょっと……ひねりすぎな設定じゃないか?
俺の知ってるRPGとはちがーう。なんとかしろ。
んなこと言ったところで、この世界の神様に苦情が届くわけでもない。苦情受付のコールセンターがあるのなら今すぐにでも電話するぞ。悪質クレイマーになってやる。
ちなみに……ステータスの数値をいくら上げたところで、その力を使わなければ意味がない。それどころか無駄になってしまう。
ポイントをステータスに変換してからしばらくすると、数字が減少していくそうだ。
こまめに使えば有効期間が延びるらしいが、使わないでいるとすぐに減るとか。
と言うのも、人間の身体の状態によって、ステータスの上限が決まっているからだそうだ。健康な人のステータス上限は高いが、病気を患っていたり、障がいがあったりすると上限が減る。単に若くて健康と言うだけでは上限は上がらない。
それなりに訓練を積んで身体を鍛える必要があるそうな。
普段、役に立つステータスと言えばLUKくらいなので、ポイント変換はめったに行われないのだとか。
……まるで意味が分からない。
「とにかく、これがこの世界の法則です。
お分かりいただけたでしょうか?」
ファムは表情を変えずじっと俺を見て尋ねる。
「あっ……ああ、だいたいわかったよ」
ステータスと総合ポイントの関係については理解した。普段からの強さとは違うドーピングみたいなシステム。それを手に入れるために他人の評価が必要。
ということになるわけか。
それよりも気になるのは……『評価者確認』の機能の方。
これもしかすると……。
「ウィルフレッドさま!」
「ウィルフレッドさん!」
二回の方から声がする。
着替えを済ませたソフィアとマイスの二人がこちらを見下ろしている。二人ともおそろいの白いワンピースを着ていた。
「どうやら、彼女たちから話があるようですね」
「ええ……そうみたいですね」
俺はがっくりと肩を落とす。
話が長くならないように祈るばかりだ。




