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128 起死回生の一撃

 ダルトンと共に動力球体の位置を調整する。

 と言ってもちょっと方向を変えるだけで精一杯だったが。


 なんとか突き出ている鉄の棒の先端をコルドの方へ向けられたが、相変わらず二人とも高速で動き回っている。

 この調子ではLUKラックを消費したところで、攻撃を命中させることはできないだろう。


 しかしまぁ……向こうからこっちへ来てくれば別だ。


「ダルトン、一度しか言わないからよく聞いてくれ。

 俺がINTを消費して攻撃すると同時に、

 お前のLUKを全て消費してくれ」

「俺が使って意味あるのか?

 お前が自分で消費すればいいんじゃないのか?」

「あいにく、俺は使い果たしてるんだ。

 力を貸してくれないか?」

「そっか……そう言うことなら……まぁ……いいよ」


 俺が手を差し出すと、ダルトンは力強く握り返してくる。


「よし、タイミングを合わせるぞ。

 俺が合図をするから、それと同時に頼む」

「分かった」


 手を握ったところで意味があるとは思えないが、とりあえず繋がっていた方がいいような気がした。

 なんの根拠もないが、ほんの気休め程度にそう思う。


 さて、準備は整った。

 後はこっちへ来てもらうだけだな。


 先ほどからマイスをコルドが追いかけまわす展開が続いている。

 二人とも戦いに集中しているようで、俺たちのことなど気にも留めない。


 だが――


「マイス! こっちだ! 俺の方へ来い!」


 俺が大声で呼びかけるとマイスは――




 ギュゥゥン!




 彼女は向きを変えて俺たちがいる方へまっすぐ飛んできた。

 コルドも後を追ってすぐ後ろにつけている。


 マイスは俺たちが何をしようとしているのか、分かってくれるはずだ。

 だから――


「今だ!」


 俺は大声を上げると同時に、動力球体にもう片方の手で触れながらINTを消費。

 すると消えていた幾何学模様の光が灯り、あたりに青い光が放たれる。


 動力球体がガタガタと大きく震え始めたかと思うと、強い衝撃が発生して俺とダルトンは吹っ飛ばされてしまった。

 同時に突き刺さっていた鉄の棒もまっすぐに放たれる。

 その先にはマイスが――


 彼女は鉄の棒が目の前に迫った瞬間、真横に飛んで射線から飛び出す。

 すぐ後ろに迫っていたコルドも後を追おうと向きを変えようとしたが――


「なっ⁉」


 コルドは不意に飛んできた鉄の棒に対応しきれなかった。

 目の前に迫った飛来物に目を丸くする。


 射線から抜け出すことよりもスキルで防いだ方が早いと思ったのか、彼女は目の前に水の壁を生成。

 鉄の棒が侵入すると同時に、大量の水を圧縮。

 押しつぶすようにして攻撃を防いだ。


「だっ……ダメだったじゃねぇか!」


 吹っ飛ばされたダルトンが身体を起こしながら言う。


 いや……ダメじゃないぞ。


「うおおおおおおおお!」


 すでにマイスが走り出していた。

 彼女はスキルで加速して、コルドへと向かって真っすぐに突っ込んでいく。


 そして――


「くたばれえええええええええ!」


 マイスはドロップキックを繰り出し、コルドの側面をつく。

 鉄の棒を防ぐことに集中していたため、脇ががら空きだった。


「マイスっ! いけぇ!」


 大声で叫んだ。


 彼女の一撃が運命を変えると信じて。

 その願いを込めて。

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