113 副会長の情報
俺はさっそく生徒会室へと向かった。
大所帯でしかも俺以外は女性で、なおかつ露出度高めな服装をしているので、ゾロゾロと固まって歩くとかなり目立つ。
全員一緒に生徒会室へ行く必要はないと判断した俺は、マイス以外の生徒にはペアになって校舎内を捜索するようにお願いした。
マイスがスキルを封印された状態で副会長と遭遇したら危険かもしれないが、彼女たちが一緒にいても戦力にはならないと判断。
むしろ目の前で友達がバタバタと無双される様子を見せる方が危険。
精神衛生上よろしくない。
マイスが力を取り戻したら、万全の状態で副会長との戦いに挑んで欲しい。
メンタル面のコンディションも整えておかないと。
そういうわけでお友達は別行動。
万が一副会長と遭遇しても戦わずにその場を離れ、居場所を教えてもらうように伝えてある。
もうすっかり夜も更け、校舎は閑散としていた。
たまに教室に残っている生徒の姿も見えるが……ほんの数人だけ。
しかも全員が魔法科の生徒だ。
学校の設備をメンテナンスするために、魔法科の生徒が交代で夜勤をしているらしい。
こういうところまで生徒にやらせるなんて自主性を重んじる校風なんだなぁ、という皮肉を心の中で呟いてみる。
「あっ……」
マイスが何かに気づいた。
大の男が数人がかりである物を運んでいる。
彼らは作業服っぽいツナギを着ていた。
制服を着ていないってことはつまり、学校の生徒ではなく外部の人間ってことか。
「あれって確か……」
「ええ、食堂に置いてあった手動販売機ですわ」
男たちが運んでいるのは、例の手動販売機。
どうやらどこかへ移動するらしい。
「なんで急に? 中の人はどうした?」
「さぁ……」
マイスは首をかしげる。
あれはただ中に人が入るだけの箱。
一応、中の人がスキルを暴走させて冷気が漏れ出ないような機能はあるみたいだけど、それだけの道具だ。
わざわざメンテナンスをする必要なんてあるのか?
それとも、撤去されちゃったとか?
だとしたらコルドさんの居場所はどうなっちゃうんだろうか?
あの箱に入っていないと彼はスキルを制御できない。
代わりの物を用意してもらえるのならいいのだが……。
「あんな箱のことなんて気にしている暇はありませんわ!
とにかく今は生徒会室へ!」
「あっ……ああ……そうだな」
マイスに言われ、本来の目的を思い出す。
今はコルドや手動販売機にかまっている暇はない。
桧山から副会長の情報と居場所を聞き出すのだ。
生徒会室。
ドアノブを回してゆっくりと押すと扉が開いた。
マイスが部屋の照明を灯すと同時に、室内に置いてあった檻がガタガタと揺れる。
「桧山か? 俺だ、ウィルフレッドだ」
「おお! 助けに来てくれたのか?!」
別に豚を解放しに来たわけじゃないのだが、俺が助けに来たように思えたのだろう。
ブヒブヒと耳障りな鳴き声を上げながらケツを左右に振り振りしている。
感情表現にしても醜すぎるな、それ。
「勘違いするな、お前を助けに来たわけじゃない。
でも条件次第でそこから解放してやってもいい」
「条件?」
「副会長の情報を教えてくれ。
あいつにソフィアがさらわれたんだ」
「ああ……そうか」
やっぱり、みたいな反応をする桧山。
「副会長がソフィアを狙っていたと、
以前から知っているみたいだな」
「まぁな……。
あいつ、ソフィアさんのことが好きで、
ずっと彼女を自分の物にしようと狙ってたみたいだ。
具体的に何をしていたのか知らないけど」
ソフィア誘拐の企みについて、コイツから情報を引き出すのは無理そうだな。拷問して無理やり吐かせてもいいが、この様子だと本当に知らないのだろう。
それに今は時間がない。
もっと情報を引き出さなければ。
「じゃぁ、副会長の能力について、
知っていることを話してくれ」
「すでに聞いてるかもしれないが、
あいつは水を自由自在に操るんだ。
どんな形にも変えられるし、無限に生成できる」
「氷や水蒸気にもできるのか?」
「いや……水の状態に限るみたいだ」
つまり、液体のみ操れるってことか。
なるほどね。
あの大量に降って来た水は副会長の仕業だったのか。
危うく溺れかけるところだったが、おかげで助かった。
「水を操れるってことは、
それをぶつけて攻撃とかもできるのか?」
「もちろんだ。
攻撃だけじゃなくて、壁を作って防御壁にしたり、
あとは……相手の身体を水で包んで、
窒息させたりとかもできるぞ」
結構怖い能力だな、それ。
水を扱う能力って、考えようによれば最強かも。
なんでもできるし、貴重な水資源が確保できるわけだから、かなり重要な存在になるんじゃないだろうか。
次々と明かされる副会長の情報。
しかし、彼女と戦うには、まだ何か足りない。
せめて弱点が分かれば……。
「なぁ、他に何かないのか?
もっと詳しく教えてくれよ」
「あいつは水の温度も変えられるらしい。
お湯とか冷水も生成できるみたいなんだ」
……え?




