1 見知らぬ場所、見知らぬ人、そして謎の☆マーク
「ええっと……」
見覚えのない部屋。
見覚えのない人たち。
「よかった……もう目を覚まさないかと」
知らない少女が抱き着いてくる。
俺はベッドから身体を起こしたところだった。
「ううっ……よかった」
「よかったなぁ……ほんとうに」
少し離れた場所で抱き合う中年の男女。
彼らはアニメや海外ドラマでしか見たことのないような、貴族っぽいゴージャスな服を着ている。
これ……何かの撮影?
「ねっ……ねぇ……君。ちょっといいかな?」
「はい、なんですか? ウィル様」
「え? ウィル?」
「え?」
「え?」
その少女はきょとんと俺の顔を見る。
ウィルってのは俺の名前らしい。
「そうか……俺はウィルなのか……」
「あの、大丈夫ですか?
混乱しているみたいですけど……。
目が覚めたばかりで頭が働かないとか」
「いや……意識ははっきりしている。だが……」
今俺が置かれている状況を把握するまでに、まだ時間がかかる。ここがどこで、彼らが誰なのか。ウィルと呼ばれた俺は何者なのか。
そしてなにより……。
「あの……教えて欲しいんだけど。君の頭の上にあるそれ、なに?」
「……え?」
少女は首をかしげる。
彼女の頭の上には星の形をしたマークが五つ並んでいた。