表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

2、「リーンゴーン」 クリーム色を基調に臙脂のアクセントカラーが女の子らしい校舎にチャイムが鳴り渡る

「リーンゴーン」


クリーム色を基調に臙脂のアクセントカラーが女の子らしい校舎にチャイムが鳴り渡る。


90分の授業の終わりを告げる合図だ。


次の授業まで15分の休憩がある。


ワタクシは取り巻きの伯爵令嬢マリー、子爵令嬢ネリーと校内を練り歩く。


ワタクシ達が胸を反り返るようにして進むと、周りの女生徒たちが、大慌てで道を開ける。



ワタクシが通うのは王立グランベリー女学院。


貴族の令嬢がレディーとしての嗜みたしなみと教養を身につける学校だ。



唐草紋様の鉄柵の向こうにグランベリー女学院のクリーム色を基調とした女の子らしい校舎と対照的な、重厚なレンガづくりに、ツタの這う校舎がそびえる。


これは王立ホワイトイーグル学園。


貴族や王族の子弟が通う男子校である。



ワタクシの婚約者である王太子もホワイトイーグルの生徒だ。


グランベリーとホワイトイーグルには多くの合同サークルがあり、出会いの場となっている。





向こうから、ふわふわのストロベリーブロンドを水色のリボンで結んだ、純白のドレスの少女がやってきた。


モモカだ。


彼女は庶民の癖に特待生としてグランベリー女学院にタダで通う税金ドロボー。


そして近頃、グランベリー、ホワイトイーグル合同音楽サークルで王太子と親しくしている生意気な女だが、なぜか学校中の人気者。



ワタクシは取り巻きのネリーとマリーに目配せをした。


スカートをつまむと、モモカに向かって突進する。


3人でモモカの後ろから近づくと、モモカに体当たり。


「どんっ!」


「きゃあああっ!!」


急に目の前に出てきたワタクシ達を鬼のように怖がっているモモカに

「どこを見て歩いていらっしゃるの!!」


「ちょっとあなた! この方をどなただと思っていらっしゃるのよ!!」


「王太子殿下の婚約者のネウェルさまにぶつかってくるって、どういう神経しているの!?」


マリーとネリーが口々にモモカを攻め立てる。



「私、そんなつもりは……

その……歩いていたら、急にあなたたちが前にいらっしゃったものだから……」


「なんですって!! 

ワタクシたちが悪いとおっしゃるの!?」


「いえ、そんな……あの、ごめんなさい。

私、ちょっとぼーっとしていて」


「確かにいかにも、ぼーっとした顔をしていらっしゃるものね。

まあ今回は特別に許してさしあげるわ。

今度から気をつけることね」


立ち上がりざま、ネリーが「キャッ」とお弁当の包みを落とした。


モモカの真っ白なドレスに茶色い液体がかかる。


ネリーはふふんと鼻で笑うと

「あら……ごめんあそばせ。

お弁当のシチューがかかってしまいましたわ。

さっきあなたにぶつかられたときに蓋がゆるんでしまったのね。


でもどうせ下町で買った安いドレスでしょうから構わないでしょ?」



涙目のモモカを背にして高笑いしながら、ワタクシ達3人は去っていく。


「オーホホホ!!!

今度からもっと周りに気を付けて歩くことね」




ワタクシたちがモモカのドレスを汚したのはわけがある。


ワタクシが把握しているかぎり、モモカはドレスをピンク、青、黄色の3着しかもっておらず、いつもそれを代わりばんこに着ている。


それが、今日モモカが身にまとっているのは、ワタクシが初めて見る白いドレス。


そして今日はモモカとワタクシの婚約者である王太子が所属している、グランベリーホワイトイーグル合同音楽サークルの日。


モモカはあのおニューの白いドレスを着た姿を、王太子に見せるつもりだったのだろう。


けれどもこれで純白のドレスも台無しだ。


ホホホいい気味。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

関連小説のご紹介

↓↓↓↓


婚約破棄された侯爵令嬢は、失恋旅行中に出会った美少年な王様に溺愛される【アルファポリス】



南の島を舞台に……

思わずにんまりしてしまうような大円団です。



=============================

目次

=============================


第1章 侯爵令嬢マーシア婚約破棄される


1、「喜んでくれマーシア!! 僕はついに僕の天職に出会ったんだ!」

2、ここは王宮の奥深く。

3、クラーク勘当される

4、こんな形で婚約破棄されるなんて(T_T)


第2章 バカンス先で恋の予感♪お相手はなんと!!


5、侯爵令嬢マーシア、失恋旅行に行く。

6、椰子の木陰の美少年

7、可愛いプロポーズ

8、タラア王国の風習

9、マーシアの決意


第3章 マーシア、タラア王妃となる


10、いよいよ結婚式

11、招かれざる客

12、あの……お姉様、手を握ってもいいですか?

13、その後のマーシアとタラア王

14、大円団

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ