表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

1、ネウェル、スターブレス嬢、そなたと婚約破棄する!!

「ネウェル・スターブレス嬢。そなたと婚約破棄する!! そして私はこのモモカ・アオイ嬢と結婚する!!」


そう言い放ったのは黒髪に水色の瞳、シベリアンハスキーを思わせる美貌の王太子。



ワタクシの婚約者だ。



王太子は象牙のピアノ鍵盤に手のひらを叩きつける。


ビギャアアンと不協和音が会場に響きわたる。


モモカが王太子の背中に隠れるようにしがみつく。


モモカのストロベリーブロンドのカールヘアーがふわふわと揺れている。


会場中の視線が、王太子とモモカ、そしてワタクシに集まる。



ワタクシはベルベットのスカートをつまむとうつむいた。


今、ワタクシは自分の表情を人に見られたくない。



あたりのざわめきがワタクシのダイヤモンドのピアスが揺れる耳に入る。


「当然よね」


「いいきみだこと」



ついにこの日がきた、とワタクシが口元をにんまりとさせたところで、目が覚めた。







目覚めるとワタクシはピンクのふかふかのキングサイズのベットの中にいた。


ベットからは4本の白い支柱が伸びている。


頭上には贅沢にシルクサテンをつかったドレープたっぷりの天蓋てんがいが垂れ下がっている。


部屋の中は白い猫足の家具で統一。


天井ではクリスタルのシャンデリアが朝日を反射してキラキラ。


そしてベットの横には象嵌ぞうがん模様が施された白いピアノ。


このいかにもお嬢様な部屋はワタクシ、侯爵令嬢ネウェル・スターブレスの寝室だ。



ワタクシはレースのネグリジェを脱いだ。


メイドにコルセットを締め上げてもらいながら、思い出し笑いをした。


「うふふ。いい夢だったわ。

正夢になればいいのに」



ドリルのようなたてロール。


どでかいリボン。


床を引きずるフリル満載の紫のドレス。



今日もそんないかにも男受けが悪そうなファッションで、ワタクシは学校に向かう。



もちろん化粧はフルメイク。


グロスはテカテカ。


まつげバサバサ。


アイラインくっきり。


そしてまるで虹のような7色のアイシャドウがワタクシの基本スタイルだ。



三人いる兄たちは

「今日もセメント塗り固めたみたいな厚化粧だね」

とか

「いくらなんでも香水つけすぎじゃないか?」

とか

「サーベルみたいな爪だね」

と眉をしかめる。


ハンスだけは

「お嬢様は今日もお美しくていらっしゃるですだ。

まるで薔薇ばらのようなかぐわしさですだ」

と頬を赤く染めて誉めてくれる。



あっハンスというのは我が家の庭師だ。


曾祖父の代から、スターブレス家の庭師をやっている。


腕はいいが子どものころ頭を打ったとかで少し頭が弱い。


そのせいでなかなかの美丈夫なのに、30歳の今日までガールフレンドがいたことがないらしい。



「お化粧に時間がかかってしまったわ。

新入りのメイドが手際が悪くって!


ハンス!! 

全速力でワタクシを学校まで送ってちょうだい」


「合点がってんですだ。お嬢様」


ハンスはメイドからワタクシの通学かばんを受け取る。


ハンスは庭師だけでなく御者ぎょしゃも兼ねているのだ。


ハンスはワタクシを馬車の上までエスコートすると、「ハッ」と勢いよく、馬の背中をムチでたたく。


ハンスの操縦する馬車は、スターブレス家の雲をつくような正門を飛び出ると、猛スピードで庶民どもをけちらしながら、学校へ向かう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

関連小説のご紹介

↓↓↓↓


婚約破棄された侯爵令嬢は、失恋旅行中に出会った美少年な王様に溺愛される【アルファポリス】



南の島を舞台に……

思わずにんまりしてしまうような大円団です。



=============================

目次

=============================


第1章 侯爵令嬢マーシア婚約破棄される


1、「喜んでくれマーシア!! 僕はついに僕の天職に出会ったんだ!」

2、ここは王宮の奥深く。

3、クラーク勘当される

4、こんな形で婚約破棄されるなんて(T_T)


第2章 バカンス先で恋の予感♪お相手はなんと!!


5、侯爵令嬢マーシア、失恋旅行に行く。

6、椰子の木陰の美少年

7、可愛いプロポーズ

8、タラア王国の風習

9、マーシアの決意


第3章 マーシア、タラア王妃となる


10、いよいよ結婚式

11、招かれざる客

12、あの……お姉様、手を握ってもいいですか?

13、その後のマーシアとタラア王

14、大円団

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ