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知らない世界に飛ばされた私が彼を心の支えにするのには時間はかからなかった。


ダリオ・シルベストロ・ガストルディ子爵


早くにお父上を亡くされて15歳で爵位もちの憂鬱もちでイケメンな彼に私は魅了された。


ゲームの推しキャラが目の前にいる気持ち。

一緒に勉強をして、ご飯を食べて笑っているのが観れる。

何と言っても息をして隣に座っているのよ〜

生きている推し。息をする嫁。

これを堪能しないでどうするの?


朝、ご尊顔を拝し、ご友人方との会話から個人情報をいただいて【ダリオノート】なるものににメモをする。

授業中は、横目でチラ見。終わればダリオ様が寮に戻られるまで遠目で鑑賞してから私も帰宅する。

(あ、言うの忘れてましたけど御多分に洩れず、この学園も全寮制です)

15歳の彼を25歳の私がってちょっと背徳感を覚えつつ、そんなルーティンが出来上がりました。

ノートに書いてる時点でやばいのは重々承知だけど、それでも遠巻きに眺める程度で満足してた。



学園に来てから前世時間で二ヶ月が経ったものの、相変わらず私のお教室での立ち位置は変わらないまま。

だけど前期のテストでぶっちぎりの一位を取ってから教師の扱いは変わった。ま、それだけ。

この成績なら王宮の文官になれるそうだ。

家門の侍女から王宮の侍女へとクラスアップしただけなんだけど、無視されないだけマシになった。


それより、周囲の男ども(特に爵位もち)が最近うるさい。

私の爵位が低いのをいいことに「卒業したら俺の愛妾にならないか」と言い寄ってくる。

はあ?嫁でなく言うに事欠いて愛人になれって。お前ら一体どういう教育されてきたのさ。

上級生ならまだしも、私と同じ15歳(私の中身は25歳だけど)で言う台詞かよ。

この世界の結婚適齢期が早いとしても、ありえないから。


結婚を前に既に愛人の心配なんて、頭腐ってるよ。

アホなことを考える暇があるなら勉強しろ、勉強!


そんな中、相変わらず私のダリオ様は塩対応。

今まで話した言葉は「うん」「いや」「さあ」この三つと言っても過言ではない。

そんなところも、他の男子生徒にはないストイックさで好感度はうなぎ登りに上昇中(当社比)


それにしてもここに来て、私って狩人的な一面があったのだなーと思うようになりました。

初めは観賞対象だったダリオ様ですが、だんだん彼を振り向かせようと躍起になっている自分がいるのに気がついた。


多分、あのときスイッチ入っちゃたのかなーって思うけど。


それは、いつものように授業中、教師より空気のように扱われていたのと算術(小学校高学年レベル)の授業があまりにも退屈でノートに落書きしてた時のこと。

私の輝く星、弟レオのドレス姿(妄想)の落書きに、飾りをリボンにするかフリルにするか悩んで、消したり書いたりしてた時に落とした消しゴムがダリオ様の椅子の下に。

さすがに拾うには気がひける。

授業が終わったら拾わせてもらおうと諦めてたら『はい、これ』ってダリオ様が消しゴムを拾ってくれたの。

しかもイケボ付で。

その時に私の稚拙な落書きを見つけたダリオ様の笑顔が尊くて泣けた。


『ありがとうございます』っていうのがやっとだった。

その時に初めて人の優しさに触れた気がしたのよ。


言い訳するわけじゃないけど、この世界で前世の記憶しかない私が、庶民の暮らししか知らない私が、何の知識も持たず一人暮らし(寮生活だけど)する寂しさっていうのを埋める何かが欲しかったんだと思う。

『孤独って罪よね』って後から思ったほど、当時の私は人の優しさに飢えてたみたい。今更だけど。


兎に角、ストレスと不安とアイデンティティの不確かさと、いろんなものがごちゃまぜになった私が年の功で無意味な知恵を駆使して立派なストーカー、いえ、暴走機関車にになるのには時間はいらなかった。

ありがとうございました

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