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お父様はレオに向かって手を伸ばすと自分に向かって引き寄せた。


「レオ、よく頑張ったな」

「おち……おとうさま」


気を張っていたものが緩んだのかお父様に縋って泣くレオにもらい泣きだよ。

お母様もハンカチで目頭を押さえてる。

私はもともと一人暮らし5年の25歳だったから寮に取り残されても平気だったけど、レオはまだ12歳なのに亡命とか一人で王宮に取り残されたりとか心細かったわよね。

甘えていいのよ。存分にお父様の胸で。

その代わりお母様の胸は私がいたきますけど。


ディータちゃんの記憶を取り戻した時にお父様が言ってたのは『この先、国を取り戻した時に正統な王族の存在が必要になる。その為に、陛下と私は別行動で潜伏している』ということだった。

本当なら自ら指揮をとりたかっただろう。それでも、外から見ているしかできないもどかしさがその時のお父様から感じ取れた。愛娘の婚約者が亡くなっていたからなおさらだろう。

そして伯父は別の国で平民として潜伏してたようだけど、我が家が準男爵とはいえ貴族としての生活をおくっていたのは、叔父の注目をこちらに集める狙いがあったらしい。

まあ、本当はあの陛下(マデリアーノ王)のことだ。『好きな爵位あげるよ』って感じだと思うけど。


「さあ、レオ。アレフレド殿下にお別れを言ってきなさい。また会うこともあるだろうが、今は何時と約束することはできないからね」


そう言って泣き止んだレオを優しく立ち上がらせ、もう一度抱きしめた。

お母様がハンカチで涙の跡を拭く。

レオは泣く前より遥かにたくましくなったような気がした。

私の小さな宝物・レオが私の手を離れて独り立ちしたような寂しさを感じるのは気のせい?

レオが従者と連れ立って部屋を出ると、お父様とお母様が坐り直し姿勢を正すと私を見据えた。

(もしかして2時間コースですか?)


「実はディータに折り入って話がある」


なんでしょう。そんなに改まって。やな予感しかしないんですけど。


「今回、サンダリオらを制圧できたのは海軍の元師であるアバスカル卿の協力があってこそだ。それでだなアバスカル卿の功績をたたえて王族との縁を結ぼうとしてだな……」


お父様の歯切れが悪い。


「アバスカル卿の功績はわかりますけど、私とどう関係あるのでしょう」

「ええい、なぜこんな時は察しが悪いのだ、ディータよ。アバスカル卿の令孫との婚約を打診されているのだ」


なんですと?この私に縁談ですか。

えっと、私、婚約解消したばかりなんですけどお忘れですか?


「あの、お父様。私、婚約解消したばかりですのに」

「そこは問題ない。お前に結婚の話(愛妾もね)が来ないように婚約の体裁をとってもらったと話してある。現に金も渡してあることだしな」


そう言って笑うお父様。

うっわ~その笑顔は紛れもなく策士。十二分に悪役感出てますって。

ていうか、お金渡してるって初耳なんですけど。

何時?どこで?


「とりあえず聞きなさい。彼はオスカル・エルナデス・アバスカル卿と言って歳は今年で25歳になる。婚期が遅れたのはほとんど海上で過ごしていたからだと言うぞ。元帥の祖父がありながら実力で中将まで上り詰めた漢だ。悪い話ではないと思うがな」


うーん、私よりお父様の方が乗り気よね。明らかに。

確かに伯父様のところは王子だけで王女はいないのよね。

それにしてもオスカルなんて。運命感じちゃうわぁ。

軍服にオスカル。


「陛下もな、強要するつもりはないと言っている。何れにしても爵位を授ける心算らしいから断っても構わないとのことだ。ゆっくり考えてみなさい」


そう言って目の前に一枚の姿絵を差し出した。

え、ちょっと待ってくださいよ。

この好青年というか軍服が妙にしっくりくる漢らしいイケメンが私のお見合い相手?

はあ~、VIVA異世界。やっぱ顔面偏差値ハンパないわ。

日に焼けた小麦色の肌に紫外線で脱色したと思われる金髪の髪は短く刈り込まれ、キリッとした面差しが、ダリオとは違うベクトルのストライクゾーン。

瞳の色まではわからないけど、雰囲気で金か薄い茶色か。

ああ、それにしても私って軍服オタだったのかしら。

この金モールのついた濃紺の軍服に眩暈がしそう。


自然とにやける口元をハンカチで押さえながらお父様に尋ねた。


「んっ。では私の姿絵もあちらに?」

「ああ。こちらでは婚約すると姿絵を贈り合うそうじゃないか。マデリアーノにこの国最高の絵師を紹介してもらったよ。私が不在だったから向こうに直接送るように手配済みだ。もうあちらに届いているのではないかな」


マジかー。あのアイコラな絵が相手に渡ったってこと?

と言うか、絵のモデルなんてやったことないんですけど。いつの間に?

お父様、ニコニコ笑ってらっしゃるけど、絵の私はお母様より絶対年上に見えるからね。

今ここで断言してもいいから。

はあ、でも一体どんな熟女に描かれたのか、見たい気もするし見たくもないような気がするよ。

高額アイテム買ってくれる人がいるから無課金で遊べてるんだけど


ここにしおりを挟んで。ありがとうございました

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