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「さて、無駄話はこれくらいにして。クスト、大事な話があるんだろう。私たちはこれで退席しよう。ゆっくり家族で話すがいい」
そう言って陛下はロイヤルファミリーとお付きの者を引き連れて部屋を出て行った。
お付きの者がいなくなり、だだっ広い部屋がさらに広く感じて心もとない。
それにしても裏切り者の小悪魔・レオのせいでかかなくてもいい恥をかいてしまったじゃない。
恨みを込めてレオをキッと睨むと『名前覚えるの最低限の礼儀じゃない?』と返されてしまった。
うっ。確かに正論だけど。そんな子に育てた覚えはなくてよ。
アルフレドめ。あの純で無垢な私の迷える子羊・レオを返してよ。
「さあ、二人ともそこに立っていないで座りなさい」
お父様に促されて私とレオは向かいのソファに並んで座った。
軽く咳払いしたりして、やや頬を紅潮させたお父様はどう切り出せばいいのか迷っているみたい。
はっ!もしかしてお母様がご懐妊……ですか?
よく見れば二人手をつないで座ってるじゃない。
心なしかお母様の顔も高揚して見え……なくもない。
そうね、この世界の結婚事情を考えれば娘が17歳でも、親世代も十分イケる歳。
前世ならお母様ぐらいの年齢は現役で妊活世代よ。
ふふふ。でもどっちの世界でも流石に成人した娘を前に妹とか弟が出来るって言いづらいよね。
任せてちょうだい。言いづらいならとっかかりは私が———
「私がおしめを変えますわ」
「「「えっ?」」」
ちょっとダイレクトすぎたかな。
「ディータ、ちょっと聞いてもいいかしら」
「ええ、お母様」
「おしめってどういうことかしら」
「うん、もう、お母様。恥ずかしがらなくてもいいですのよ。確かに歳離れた兄弟って恥ずかしいですわよね。でも私は嬉しくて。できれば今度は妹がいいのですが、こればかりは神様がお決めになる———」
「「ベルナルディタ・スビサレタ!!」」
お父様とお母様が真っ赤になりながら私のフルネーム(あ、洗礼名は抜けてますね)で叫んだ。
レオは怒られる時によくフルネームで呼ばれてたなぁ。って私の名前呼んだの?私が怒られるの?何で?
「何がどうなってそうなるのだ、ディータ」
「え、違うんですか?だって先日王宮から戻ってきたお父様とお母様の雰囲気が———」
「「ベルナルディタ・スビサレタ!!」」
二度目の叱責いただきました。
「まあ、いい。この話は後だ。ディータ。後でゆっくり話し合おうじゃないか」
いやーん、温和な笑顔のお父様なのに目がちっとも笑っていないんですけど。
2時間お説教コースですか?
「お姉様、ウケるんですけど」
横で笑いを噛み殺してるレオ。
うーん、この宮殿に来る前にはそんなことを言う子じゃなかったのに。アルフレドめ。
はあ〜思春期の子供を持つってこんな感じなのかな?
そんな私たちの意識をこちらへ向けるように、お父様は咳払いを一つされた。
「実はだな、サンダリオ達の制圧が終わったのだ」
「それはいつのことですか?父上」
レオは身を乗り出すようにしてお父様に聞いていた。
それでこそ王族の男子よね、レオ。
サンダリオとは叔父のことだ。因みにだけど、王妃から生まれた正統の王族は名前の最後にディオがつく。
伯父様はエルミディオで、お父様はクストディオ。
伯父の息子が二人ほどいたはずだけど(従兄弟ね)失念。
「うん、もうふた月ほどになる。サンダリオとその主要な者たちの裁きはすでに終わっている。(つまり処刑されたってこと?)私たちが不在だったのは国に戻って再建の道筋をつける算段をしていたからなのだ」
「では、帰国はいつになりますの?」
できれば卒業式の後だといいな。
最後にお茶会のメンバーにお別れを言ってから帰国したいし。
確かにディータちゃんにとっては母国かもしれないが、私の記憶の中ではこの国の思い出が強い。
それにこの異世界で友人と言えるような少女たちに出会えると思っていなかったから尚更だ。
「一週間後になるかな。ディータ、できればお前の卒業式を終えてからとも思ったのだが、いま国は混乱の中にあって、民草にも苦労を強いている。分かってくれるな?」
ええ、庶民の”のぞみ”なら知ったことかですけど、”ベルナルディタ”は王族としての責務は分かっておりましてよ。
「もちろんですわ。国の民に苦労を強いていながら私個人の我儘を通す気は毛頭ございません」
頭を上げて王族としての誇りを誇示する。
「そうか。わかってくれて嬉しいよ。ディータ」
そう言って私の手をとると優しく叩いた。
このまま、例のお説教を忘れてくれるといいんだけどな。
買えるアイテムが少ないコインと交換率の悪いジェムに使えないアイテムがついて日本円で1まんえんオーバーのセット。毎回、これを買う人もいるんだろうなと、思いながら見てる
ここにしおりを挟んで。ありがとうございました




