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「レオカディオー、レオー、どーこー」


あれから私は天使のような弟と毎日楽しく暮らしてました。

たんこぶは一週間ほどで良くなり、心のお医者様は、あれから一度診察に来て当たり障りのない質問をして帰っていったきり。

何しに来たんだろ。って感じですけど、ヤブなら手の内がばれずに済むのでウェルカムです。


「あ、お姉様。お作法の時間は終わりました?」

「ええ、今日は天気がいいから外でお茶を頂きません?良かったらお茶のお作法の復習をしたいの。レオ」

「いいですよ。でもその前に、大声で僕を呼ぶのをやめなければいけませんね、お姉様」


そう言って笑う、私の天使。

はいはい、弟の名前といえども淑女が大声で呼んではいけません。メンドクセー


前世、一人っ子だったせいか、この弟という存在が果てしなく嬉しい今日この頃。

しかし、にこやかに微笑む笑顔の裏でレオのドレス姿を妄想してるのは内緒だ。

絶対、似合うと思うの。声変わりをする前の今の時期だけの特典なのに。

なんとかだまくらかして———いけない。レオ、そんな妄想をする不埒な姉を許して。


「お姉様、何考えてます?」

「あ、ごめんなさい。ちょっとぼんやりしてましたわ」


あっぶな。心がだだ漏れしたかと思っちゃった。

二人で和やかにお茶を飲んでいると、お父様がやってきました。

作法に則って、お父様にも席をお勧めしてお茶をお入れしました。


三つ子の魂じゃないけど意外に体が覚えていて、ちょっとやっただけでできてしまう私。

というか、そこまで身につけたディータちゃんが凄いんだけどね。


「ディータ、体の方はいいのか?」

「ええ、かなり。もう以前に近いでしょうか」

「そうか……」


何か思案気なお父様。無理な要求は即刻却下ですよ。


「では、そろそろ学園に行かないか?」


何でもこの国の15歳になった貴族子女は学園に通う義務があるらしい。

学園といっても日本の学校制度とは違い、社交シーズンの春から秋までで冬から春までは領地に帰るので長期休暇となる。

期間も2年ほどで王の側近候補、もしくは王宮に出仕する者はさらに1年追加になる。

現世で言うところのフィニッシングスクールのような意味合いが強い(男性もいるけど)


でも......入学式から一ヶ月以上経って今更な感もあるんですけど。


「それって絶対ですか?」


我が家は貴族といっても準男爵だから、そこまで強制力があるとは思えないんだけどなぁ。

それに一ヶ月以上経った学園って。既に出来上がってる(厨二)女子グループに乗り込んでいく気力は25歳の私にはない。


「私としても心配なのだが、貴族の義務だから仕方あるまい。それにお前のことを知るものが少ないから勉学に専念できるぞ」


前世の記憶が蘇って良かったのは、ここの世界の学業のレベルが若干低かったこと。

お作法と一緒にお勉強の方もおさらいしたけど、ほとんど教えることがないって言われましたの。ほほほ。


しかし、うちは準男爵ですけど、どうも訳アリみたいなのよね。

いくら爵位が低くても、貴族の中に知り合いがいないなんて、そんなことあるのかな?

今のとこ記憶が戻らない限り、そこのところは詳しくは教えてもらえてないけど。


ま、いっか。何かあったらディータちゃんには気を失ってもらおう(ズルしますよ)


「わかりました。では学園に参りますわ、お父様」

「そうか、では来週にでも復学できるように手配をしておこう」


お父様は私の気が変わらないうちに、とそそくさと席を離れていった。


「お姉様は変わられましたね」


レオが不思議そうな顔で呟くように言った。


「あら、どのように?」

「本当は言ってはいけないんでしょうけど、こう、記憶を失う前より元気になられたというか……」


知っているわ、ディータちゃんは人見知りする子だったみたいね。

大分、学園に行くのを渋っていたみたいじゃない?

そのストレスで暴飲暴食だったようね。


侍女たちの噂話を、家政婦じゃないけど聞いちゃったのよー


まあ、しゃーない。

どうせ今から通ってもぼっちは確定だし、教室では大人しくイケメン、イケボ祭りを堪能しときますよー

沢山いるといいなぁ。攻略対象はいらんけど。

その為にも学園での立ち位置ができればモブでありますように。

神様にお祈りしておこうっと。

お目汚し失礼致します

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