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学園に入学してからダリオの付き纏い(ストーカー)ぐらいしかすることのなかった私だが、今は超がつくほどの多忙を極めていた。

カリナ様の婚約者さまにお会いして、レアンドラ様の姿絵(ミュシャ風をご希望)を完成させて、アナベル様もあれから無事アルトゥーロ様に姿絵をお渡しできて(あの後、細かいダメだし入りました)、そしてエステル様のお茶会も開催される。

そのせいでダリオと男爵令嬢のあの小屋での出来事は、すっかりさっぱり頭の片隅から消えていた。

恋愛はこの世界でも向こうの世界でも突き詰めれば同じことをするだけのようなんで。

それよりこの世界の学生時代を存分に味わいたい。

ただでさえ一年、私の不徳で棒に振ってるわけだし。


そんなどうでもいいこと(ダリオの逢引)より、お茶会というか各家に伝わる伝承菓子が私の心を掴んで離さないのよ。

レアンドラ様の”○イの実”も衝撃だったけど、メイベル様から絵のお礼として貰ったアルトゥーロ様のご実家で伝承されているお菓子は、生八つ橋に似たものだった。

”生八つ橋”

スナック菓子だけじゃないんだ。根っこはって思った。

嫌いじゃないけどね、生八つ橋。でも向こうの世界のとは若干別物だったけど。

確かに、いただいたものはニッキの香りは芳しく見た目も三角形で似ていた。

食べるとニッキ味の皮に餡が挟んであるのだけど、つぶあんではなく棗かなんかのフルーツ系の餡。

もちろん本家だってあんこだけじゃないのは知ってるけど、致命的なのが、皮の部分が米粉ではなくてなんかそれっぽいもの。

うまく説明がつかないけどとにかく歯ごたえが違う。

伝承されてるだけに美味しいことは美味しいけど、あちらの世界を知るものとしては全体的にも一つ感が。

うーん、小豆やもち米がこの世界にはないからかな?ちょっと残念。

今から異世界チートで小豆の栽培してみようかな。


それよりも、今日は待ちに待った未だに謎多き美女、エステル様のお茶会だ。

否が応でも期待が高まるというものだ。

待ち遠しかった放課後がやっと来て、サロンへと向かう。

やはりエステル様も侍女を伴ってのお茶会だった。

そして飾り付けもテーブルセッティングも素敵。

レアンドラ様とはまた違う趣ですわね。色合いのせいか大人っぽい雰囲気。


私まで順番が回ってくるかはわからないけれど、もし、女主人に指名されたならエマとマティスを連れてこなくちゃ。

そして目の前で実際に実演してもらうつもりよ。

何気にマティスってば顔面偏差値高いのよね、モブのくせに。


話を元に戻すと、目の前にはチョコラ(チョコレート)が特産のエステル様の御領地らしく、美しいチョコレート菓子がずらっと並んでいた。

茶系の地味なお菓子のくせに何この高揚感。

うは~見てるだけで恋愛脳活性化しそう。

そしてお目当の伝承のお菓子はと見ると、グラスに入ったあれに違いない。

昔、一度だけ接待で連れて行かれた高級クラブでも同じようにして出されていたなぁ。

チョコは厚めではあるけれど、プレッツェルをチョコでコーティングした11月11日が記念日のアレが鎮座していた。


他にもドライフルーツがまぶしてあるもの、ナッツとヌガーのトッピングにさらにチョコレートがコーティングされたもの(ス○ッカーズがブッ刺してある感じ)と種類はいろいろだったが、スタンダードなものは絶対○ッキー。

プレッツェルの歯ごたえを除けば、まさにあの味だった。

なんでもチョコ好きの先祖が手を汚さずに食べられるよう工夫したものらしい。


「昔はプレッツにチョコラをそのまま刺しただけの物だったらしいと聞いております」


エステル様の説明を聞きながらひたすら○ッキー食べる。

ハァ~懐かしいよ。○ッキー。

一人きりだったらチョコの部分だけ食べるという邪道な食べ方したかったな。


お茶会の終わりも前回同様、爵位順にご挨拶してのお開き。

高位の人が退席されないと下位の人は退席出来ない決まりですものね。

私は最後なのはわかってますよ。


私の順番になった時、エステル様が包みを渡してくれた。


「これはディータ様だけのお土産ですわ。それとお話があるのですが、お時間よろしくて」


はいはーい。絵のことですかね。

謎多きエステル様の婚約者が拝見できる機会ですもの。

絶対逃せませんわね、ほほほ。

無課金と決めているのですが、その為に揃えたゲーミング用タブレット

どちらが良かったのか


ここにしおりを挟んで。ありがとうございました


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