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人の口に戸は立てられないとはよく言ったもので、あれほど秘密にしておきたかった(ダリオサイドがね)私とダリオの婚約が学園に知れ渡ることになった。

おそらく、あの図書館での話し合いが漏れたとしか考えられないけど。

昔の人はよく言ったよね『障子にメアリー』あ、違うか。

これ、前世で職場のオジさまがよく言ってたダジャレだった。


婚約のことが学園に広まったのに、ダリオの対応はいつも通り。

本当にぶれないよね。感心するよ。

なら解消の話も前向きで検討していただきたい所だけど、そちらの話は未だない。

兎も角、ダリオの態度は変わらなかったが、お教室のご令嬢の態度は激変した。

私のことを空気のように扱っていたご令嬢たちが、私をガン見している。

他のお教室からも口実をつけては私を見に来るようになった。なぜ?


その訳は数日後、あっけなく解決した。

朝、お教室に行くと一人の令嬢が私の前に立った。


「おは———」

「スビサレタさん、今日の午後は空いているかしら。アルベニス・セルラ伯爵令嬢のレアンドラ様が午後のお茶会にあなたをご招待してくださるそうよ」


そう言って招待状らしきものを私の眼の前に突きつけた。感謝しろとでも言うように。

確か同じクラスの伯爵令嬢の取り巻きの一人だったかな?

この学年はハズレ年のようで、王族、公爵、侯爵などの高位貴族からの子弟がおらず、このアルベニス伯爵が最高位らしいのだ。


「ご招待、ありがとうございます。でも私をですか?」


お茶会とかって今までそんなものをやっていたなんて知らなかったよ。

まあ、ついこの間までダリオへのストーカーで忙しかったからね。


「ええ、あなたがガストルディ子爵家にお輿入れするのであればお茶会への参加資格があるとレアンドラ様がおっしゃるので」


はぁぁぁ、さいざんすか。それにしても学園の身分不問って形骸化しちゃってるよね。

お父様からこの国の王様にご注進してもらった方がいいかしら。


「では、ご招待を受けさせていただきますわ。レアンドラ様にお伝えいただけますか?」


腰巾着、あ、いえ、レアンドラ様のご友人から招待状をいただいて、お返事はお願いした。

一応、手土産なんか必要なのかな?でも学園の寮生活で今日すぐの手配は難しい。

今までの様子から行けば、用意しなければ揚げ足を取られそうだけど……


仕方がないので急ぎ家まで手紙を届けてもらうことにした。

亡命中だから学園に近いところに屋敷があって助かったけど、どうせならもう少し早めに連絡して欲しかったよ。

あ、でもこれも嫌がらせの一環と思えば納得か。


なんとかマティスの焼き菓子の詰め合わせがお茶会までに届いた。

マティスとはあれから和解をしたおかげですなー

『オーブンには絶対に手を触れません。キッチンには近寄りません』と誓約書を書いて、彼が欲しがっていた出回ったばかりの調理器具を買うことで。

おかげで在学中の私のお小遣いはなしになりましたけど。

そのおかげか知らんけどかなり気合が入っているものが届いた。

ラッピングも綺麗。やっぱりマティスは天才よねー

この美しい焼き菓子にケチをつける奴がいたら見てみたいわぁ。


お茶会は学園の中にあるティーサロンで行われていた。

普段は行儀作法の時に使われるお教室なんだけど、申請すれば課外でも使うことができるらしい。

指定された時間に行くと既に皆さん集まっていて、私を待っている雰囲気。


ディータちゃんなら慣れたもんかもしれないけど、ど庶民の私には気詰まりこの上ないこの雰囲気。

入り口でモタモタしていると、レアンドラ様から声をかけられた。


「スビサレタ様、こちらに」


そう言って扇で椅子を指し示した。

うーん、何気に失礼な感じがするのは気のせいか。

傍にいた学園付きのメイドに焼き菓子を渡し、一分の隙のない淑女の礼をする。


「今日はお招きありがとうございました」


キレイに決まったね。中身はアレだけど染み付いた記憶は健在だった。

私が着席するのを待っていたかのように、レアンドラ様が口火を切った。


「皆様お集まりいただいたようですわね。さて、それではスビサレタ様、ガストルディ子爵家にお輿入れの話、真偽のほどはいかがですの?」

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