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3話 買い物と出会い

冒険者ギルドを後にして、市場に来た。

ボロボロの格好と着物の珍しさで目を集める。


「この格好、そんなに変かな。前世でも祭りの時とか着てたけど、まぁ異世界じゃ勝手が違うか」


そんなことを言いながら、古着屋にたどり着く。


本当はちゃんとした装備を買いたいがお金が無いので最低限、違和感のない格好にしたい。

黒のTシャツと適当なズボンを選ぶ。


「こんな感じでいいかな。これください」


店のおっちゃんが手を出す。


「兄ちゃん。ギルドカード見せてくれ」


この世界では、ギルドカードが身分証兼クレジットカードの役割を果たしている。


「はい。お願いします」


目の前でギルドカードに魔法が使われる。

それは、契約魔法と言われていて詐欺などがおこなえないようにする安全対策に使われるものだった。


ちなみにステータスには表示されない。

国の中でしか使えないし、これがない国は信頼されない。


「おう。これでいいぞ」


「ありがとうございます」


店を出て、市場を見て歩く。

日本でも見慣れた果物や、食べ物が多い気がする。

そんなことを考えていると路地裏で女の子の怯えた声がする。


急いで、路地裏に向かうと一人の暴漢が巫女服の女の子を襲っているところだった。

女の子の顔は暴漢に隠れて見えない。


見たことある巫女服だったのでもしやと思って助けに入る。


「おい。お前、その子から離れろ」


「なんだ、てめぇ」


暴漢はすぐに標的を俺に変えて、殴りかかってくる。かなり、ガタイが良く力の勝負になったら負ける。


回避しようとすると、何故か魔法が発動した。


「えっ。なんで」


暴漢に、『ウィンドカッター』が命中する。

腕が切れて、血が出る。


あっ。自動反撃オンにしたままだった。


「うわぁーー」


走って逃げていく。


ここでようやく、巫女服を着ている珍しい格好の、女の子の顔を確認できた。


この子、主人公の記憶の中に居た。


ナギ=イチミヤ

緑の目に綺麗な銀髪で俺が隠れ里に居る時の唯一の理解者だった。


怯えていた女の子がこっちに気づいて胸に飛び込んでくる。


「シキくん。ありがとう。助けてくれて」


そう泣きながら、言った。


「ナギ=イチミヤ? なんでここに」


落ち着いたのか、顔を上げる。


「なんで、疑問形なの? 前みたいに、お姉ちゃんって呼んでいいのよ。あっ。なんでここに来たのか、もちろんシキくんを追いかけてだよ」


情報量が多すぎる。

この、相手のペースを考えない喋り方は記憶にある。


とりあえず、俺が別の体に宿ったことはまだ伝えない。でもお姉ちゃんって呼ぶのは恥ずかしい。


「ごめんごめん。今日からはナギって呼ぶよ。それに、俺とお前、そんなに一つしか歳変わらないだろ」


「そうだったね。それよりも追いかけてきた事に感動して欲しいんだけど」


そう言えば、隠れ里の連中はどうした。こいつがいないと向こうは困るだろ。


「ナギ。お前、隠れ里のお役目はどうした?」


ほっぺを膨らまして怒る。


「シキくんの能力を分からない子達に使えるほど、私困ってないし」


ナギには一度、子供の時に能力を見てもらったことがある。ナギは識別魔法という鑑定魔法の上位の能力を授かった巫女というレアな幼馴染だ。


「さっき、困ってただろ。それで、この後どうすんの?」


「シキくんはどうするの? 私、シキくんについて行くよ」


ナギが居ると攻略が楽になるし、俺の記憶もこいつを連れてかないと嫌みたいだ。


「分かった。俺は、この国の塔に登る。お前も着いてくるならギルドに登録してくれ」


「分かったわ。それじゃここに居るのも嫌だし、行きますか? レッツゴー」


お前が言うなと心の中で思った。

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