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3/5

2021年 クリスマススペシャル ―前編―

注意:


この作品はあくまで夢の内容である為、本編には一切関わりはありません。


本編のイメージを著しく損なう危険性も無きしもあらずなので、本編のイメージを大切な方は気をしっかり持って読了をお願いいたします。


クリスマス中に出すつもりでしたが、多忙ですみませんm(_ _)m



 

 また夢だ。


 夢を見ている。



「ジングルベ~ル♪ ジングルベ~ル♪ すっずがなる~ HEY!!」


 俺ことトーヤの目の前には、バカ歌を歌いながらクリスマスツリーを飾り付ける、丸々と太った白い蛇がそこにいた。


 大きめのコタツのテーブルにはケーキやフライドチキン? ローストビーフ?、はたまた鍋料理の準備から色々と取り揃えてられており、まさにパーティーと言う感じだ。


「あー、一つ聞くが……これは何だ」


 俺の言葉に振り向いた白蛇の神様のシロは、頭にとんがり帽子を被り、その顔には玩具の鼻眼鏡を着けていた。


「何って見ての通りクリスマスパーティーの準備以外に何に見えるんですか~ 嫌だなトーヤさん」


 いや……クリスマスパーティーの準備は分かるのだが……


「何で神様がクリスマスを祝うんだ、宗派はいいのか」


 俺の真面目な意見にシロは大笑いをし

「別に私は気にしませんよ。私の格言は”楽しければおk”ですので」


 懐の広い奴だな。



 そう言えばクリスマスか……子供の頃は親が奮発してケーキを買って来てくれて、プレゼントも頑張ってくれたな……

 某大人気ゲーム機が欲しいとサンタさん(親)にお願いして、翌朝枕元に置いてあったのだが……


 欲しかったのは花札屋の配管工が活躍するゲーム機であって、同じ日に発売された笑いに生きているメーカーのゲーム機が置いてあったのは正直ダセェと思ったものだ。


 ちなみに俺の部屋の16bitも三四郎も、ダセェキャストなどのゲーム機も未だに現役だけどな。


 つまらない白黒携帯機はまだ現役だが、面白いカラーの携帯機は古時計の様に動かなくなってしまったが……



「良し!準備万端です♪ あとは(ゲスト)が来るのを待つだけですね」


「……他にも誰か来るのか」


 まあ二人でクリスマスパーティーをすると言われたら、俺はソッコーで逃げるつもりだったけどな。


 ゲストが来ると言うことでホッとする。



 ――――――ピ~~ンポ~~ン♪



 何とも間の抜けた音がし、俺の目の前に某昭和時代劇のアニメに出てきそうな、古風な玄関用の引戸が現れた。


「あ、トーヤさん出てください。ツリーの飾り付けで忘れていたのがあるので手が放せないのですよ」



 そもそもお前に手はないだろう。


 俺は仕方なしに引戸に手を掛け開いた。



 ―――――ガラ



「待たせたな!」


 俺の目の前に無数の目を持つ冒涜的な物体は、どこぞの特殊部隊のエージェントの様な激シブな声でほざく。


 妙に似ているのが更に俺のとんらん……もとい混乱に……どうでも良い。



 ――――バタン!!



 俺は乱暴に引戸を閉め……



 叫ぶ



「あーーーーーーーーーー狂気!!うーーーー!にゃあーーーーーー!!!!!」



 俺は叫ぶ!!


 いきなり目玉焼きが立ち食いマイレージで……でゅるわぁあああああぶるわっひゃあひゃひゃひゃひゃどぅるわっはああ……(以下略)


 とにかく気が狂いそうだった。



「ど、どうしたんですかトーヤさん、いきなり狂った様に叫んで」


 俺のあまりの豹変に驚いたシロは飾り付けそっちのけで俺の元に来る。


「何だあのゲ○が目玉を付け足した冒涜的な蜜柑箱は!!! 大阪万博にはまだハエエぞこの野郎!!!」


「と、とにかく落ち着いてください。ハイッ」



 シロは俺に何か力を使った。


 その力の効果だろう俺のうーにゃーな感情が落ち着いて来る。



「落ち着きましたか」


 やれやれ手間を掛けさせないでください、と言う様な感じでシロは俺に言うが俺はそれどころではなかった。



「あれは何だ……」


 俺は恐怖を堪え呟く様に告げる。


「何って……ああ、そういうことですか」


 シロは委細承知した様に引戸を開け向こう側に居るであろう冒涜的なゲ○目玉に何やら話しをしているようだ。



 シロは来客者を招き入れるが、入って来た存在は冒涜的ないのち輝くデザインではなかった。


 特殊部隊用のボディスーツが似合いそうな髭顔の初老の男である。


「てけり・り……初めましてだが、君のことは彼から聞いている。俺は”チーレム”。ちなみにコードネームだ本名は訳あって捨てた」


 この髭男……チーレムのことは知っている、つまりはあれが転生した姿だと納得した。


 納得した所で、更に扉が現れノッカーの音が扉から響く。



「あ、トーヤさんまたお願いします」


 ま、またか……さっきみたいな冒涜的ないのちの輝きみたいな人外じゃないだろうな。


 俺はソッとドアを開くが、そこに居たのはハンサムな金髪の青年だった。



「パーティー会場はこちらでよかったかな。本日はお招き感謝する」


 どうやら今度はまともそうな紳士然とした男だ……ん?紳士!?



「君がトーヤかい転移転生とは変わった願いを叶えた者が居ると聞いているよ。 私は”ロリコン紳士”と呼ばれている。君もそう呼んでくれて構わないよ」



 いや……呼んでくれと言われても……



 するとロリコン紳士は俺が戸惑っているのに気付いたのか……


「ああ、気にしなくていい。名はその存在を示すもの……私が、この名を名乗ったのは偽りはないと言う、信念があってのことだ。だから気にしないでいい……」


 前言撤回……かっこいいこと言っているつもりだろうが、コイツまともじゃねぇ!!!



 三人揃った所で飾り付けが終わったのであろう、シロは俺達三人に、


「これでゲストが揃いましたね。ささっ席に着いてください。あ、お誕生日席は私の席ですよ~」



 言われるがまま着席する俺を含めた一同。



「え~本年度も色々ありましたが、何とかクリスマスイブまでこぎ着けることが出来ました。今年も残り僅かですが皆さん怪我などが無いように気を付けて過ごしましょう」



 何かウチの会社の忘年会時の社長みたいなことを言うな……



「では皆様グラスをお持ち下さい」


 シロがそう言うとチーレムとロリコン紳士はグラスを手に持つが、俺は持たない……確認することがある。


「あれ?トーヤさんどうしたんですか、終点間近のマイホームを買ったお父さんみたいな顔して」



 まあ、俺の考えが正しかったらそんな疲れた表情になるだろうな。


「一つ聞くが……俺達”だけ”でこれから何をするんだ」



 シロはプッ!と吹き出し。



「何って決まっているじゃないですか、クリスマスパーティーをするんですよ。 ちなみに本日のお楽しみプログラムはこうなっています♪」



 1.乾杯後お食事&談笑(まずは自己紹介( *・ω・)ノ)


 2.親睦を兼ねたプレゼント交換(気になるあの人のプレゼントをGETだぜ(*´∇`*))


 3.組んずほぐれつツイスターゲーム(ポロリもあるよ(/-\*))


 4.皆大好き王様ゲーム♪(気になるあの人と大接近 ハズカシィ(〃ノωノ)キャッ)


 ・

 ・

 ・



 俺はそのプログラムを破り捨てる。


「な、何をするんですか!!折角考えた私の壮大なプログラムを!!」


「やかましい!!百歩譲って宴会は良い。しかし何が悲しゅうて、オッサン二人といのちの輝くデザインと肥満蛇とでツイスターゲームや王様ゲームをやらにゃならんのだ!!!」



 それは俺の魂の慟哭だった。


 恐らく血の涙を流せるものなら流しているだろう。


 そんなものはクリスマスパーティーではない、ただの怪しい黒ミサなカオスフィールドな地獄絵図の終末戦争(ハルマゲドン)だ。


 御神体も血の涙を流して悲しむぞコラ!!



「ま、まあ確かに以下のゲーム系は我々では厳しいものがあるが……」


「テケリ・リ(ハーレム要素追加希望!!)」


 さすがに他の二人?からも反対意見が上がる……いいぞロリコンもっと言ってやれ!チーレムは何言っているか分からないが


「やはりここは聖夜に相応しい美幼女を愛でなければ、クリスマスとは到底言えん!!」



 再び前言撤回、そんな事案なクリスマス止めてくれ



「助けておまわりさん……」


 俺は疲れた様に藁にもすがる思いで呟くが


「君の言う警察とは少し違うが、これでも元ICPOだ。何か相談があるなら聞こう」


 このロリコン、おまわりさんでした。




「分かりました、ではこうしましょう」


 そう言ってシロは昔懐かしい20円のキャラクターカード販売機を取り出す。


「これは異世界召還ガチャと言いまして、皆さんの知り合い限定で召還出来るガチャです」


 また妙なものを……


「テケ……知り合いなら誰でも召還出来るのか」


 チーレムは興味が引かれた様にシロに問うが


「今回は異世界で知り合った女性をランダムで召還出来る様にしました。誰が来るかは運次第ですね」


 なるほど、つまりはランダムか


「あ、トーヤさん。ここからティコは出ませんので悪しからず」


 いきなり釘を刺すように言ってくるが、俺はティコを呼んであげたいと思っている。


 アイツはこういったパーティーとか好きそうだからな。


「何でティコはダメなんだ」


 俺のその言葉でシロの瞳からハイライトが消え、カタカタといきなり震えだす。


「何でって……ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ガネメモ改のデータはこれで全部です……え、そこの棚が怪しい……や、やめて、その箒な本はとても貴重な……そ、そんな焚書官みたいな表情を……あ、ああああああああああああああ」



 ひとしきり叫んだ後、正気を取り戻した様に我に帰るシロ。


 一体、ティコと何があったんだ。



「し、失礼しました。では席順と言うことでまずはチーレムさんから」


 チーレムは何処からともなく20円を取り出しカード販売機にお金を入れのツマミを回す。



 ―――ガチャ、ガチャ



 音の後、カードの送付口から一枚のカードが出て来る。



「さて、どの嫁が出て来るのか……聖欲をもて余すな」



 カードはキラキラ仕様になっており明らかに大当たりの様な感じだ。



 ――――ポン!



 カードから変な音がして1人の人物が現れる。


 それは、ものすごい美人の女性だった。


 俺の身近の美人といえばティコやアリアだが、それとはまた違った別系統な美人だ。


 俺のスカウターでは恐らくAPP18万と言った……あれ?



 ――――APP18?



(APP18……チーレムの知り合い……ま、まさか……)


 俺の嫌な直感は一気に最大警報を鳴らすが……



「おや、たっくん。クリスマスパーティーなんて低俗なものは嫌がっていたのに結局出席されるのですね」



 ぶっ!!!


 俺はむせて咳き込みそうになるが、目立つことによっての危機感で全力で咳を止める。



(チーレム!なんてもの呼び出しやがるんだ!!!)



「おい貴様、何のマネだ…… 私は忙しいと言ったハズだが、こんな低俗な宴に召還するとはどう言うつもりだ」


 とんでもない殺気を放つ、たっくん。


 その殺気は俺に向かってのものではないのだが、端から見ていても漏らしそうなほどの恐怖が沸き起こる。



「いやだな~本当は楽しみで仕方ない癖に、もうたっくんはツンデレなんだから♪」


 あの殺気をまともに受けているのにシロは涼風を浴びるかのようにあしらう。



「まあまあ、まずは駆けつけ三杯と言いますが一杯だけでも飲んで行きませんか、お仕事前の景気付けと思って」



 そう言ってシロは一升瓶……恐らく日本酒をグラスに注ぐ。

 グラスからは豊潤な香りが漂い、それは極上の酒だと分かる。


「……むむ……」


 たっくんもその豊潤な香りに殺気を静め、シロからグラスを引ったくる様に取る。


「一杯だけだからな。これを飲んだら帰るぞ!」



 そう言ってたっくんはグラスの酒をまずは一口含む。



 目を見開くたっくん。



「どうでしょう良い酒でしょう。酒マニアのバッカスも持っていない究極の神酒ですよ。今回たっくんの為に頑張って用意したのですよ~ ささっ残りもぐいっと」


 よっぽど美味しかったのだろうシロに言われるまでもなく、たっくんはグラスの酒を一気に煽るが



 ――――バタン



 たっくんが倒れる音が響く。



「 計 画 通 り 」



 シロが持っていた酒のラベルには達筆な字でこう書かれていた。



 《 銘酒 邪 神 殺 し 》



「いや~さすが邪神殺し、すーさんも良い仕事しますね」


 そう言ってシロは邪神殺しの一升瓶をピーンと弾く。


「この酒はたっくんでも酔いが覚めるに数日、二日酔いは一週間は続きますからね~ 最近働きづめでしたからゆっくりお休みください」


 そう言ってシロは倒れた、たっくんに毛布を掛け様とするが


「テケリ・リ……待ってくれ、俺が……彼女の寝具だ!」


 チーレムのその瞳は一点の曇りもなく、その覚悟を感じとることが出来る。


「今、たっくんからは邪神殺しの酒気が色濃く出ています。あなたもたっくんの様に酔いつぶれますよ。そして最悪たっくんの這い寄る寝ゲロの可能性も」



 ※寝ゲロは本当に危険です お酒は適度に楽しみましょう



「むしろご褒美だ。ハーレム成就の為!この瞬間の為に俺は転生したんだ!」


 チーレムの覚悟は本物の様だった。



「チーレムさん……分かりました……たっくんのことをお願いします」



 それは友を思う、一匹の蛇の願いであった……



 酔い潰したのお前だけどな!



「ああ……俺はただ駆け抜けるのみ……」


 そう言って人の姿から、本来のいのちの輝く様な姿に戻ったチーレムはソファーベットの様な形を取り。



「ハーレムよ!!俺は帰ってきた!!!!!」



 そう言ってチーレムはたっくんのベットになって共に長き時を眠るのであった。



 そのまま永遠に眠ってろ。



「イイハナシダッタナー、では、お開きと言うことで俺はそろそろ目を覚ますか」


 そう言って俺は席を立とうとするが


「何言っているんですか、次はトーヤさんの番ですよ」


 いや、あの惨状を見てパーティー続けるお前の神経のがおかしいよ! 何だよ這い寄る寝ゲロなクリスマスパーティーって! どれだけクリスマスを冒涜してんだこの肥満蛇!


「人生、生きていれば色々なことがあるものですよ。ささっ、後が支えているのですから早く引いて下さい」


 俺の手にはいつの間にか20円があった。


 どうやってとかの突っ込む気力の無くなった俺は、お金を入れ渋々カード自販機のツマミを回す。



 ――――ガチャガチャ



(しかし誰が来るのだろうな……)


 俺は知り合いの顔を思い浮かべてみるが、まずはアリアだが……これ以上好感度は上げたくないな~、行きつけの食堂の看板娘のリタさんは……悪くないな上手く機嫌を取ればオマケをしてくれそうだ。最後にメリアの婆さんの顔が……忘れよう。



 送付口から出てきたカードを確認する。


 今回のカードは、先ほどの様なキラ仕様ではなく普通の彩色だった。


 だがそのカードに書かれた名前とSD化されたイラストに俺は血の気が引いた様な感じになる。



 不味いぞ!! この娘はこの場には決して居てはいけない存在だ。



「や、やり直しを要求す……」



 俺の言葉を言い終わる前にカードから”ポン♪ ”と軽快な音と共に1人の女の子が現れる。



 その子はアリアの孤児院で猫のリンクスを飼っていたユーノちゃんだった。


 ユーノは自分の身に何が起こったのか理解できずに、キョロキョロと周囲を見渡すが、周囲を見た彼女の表情が固まる。


 まあ無理もない……片やロリコン紳士、そして肥満蛇のシロ、臆病な所があるユーノちゃんにはキツイだろうな……



 俺に視線を合わせた彼女は助かった様な表情をし、俺のズボンの裾を掴み後ろに隠れる。



「時にトーヤ、この可憐な少女とはどう言った関係かな」



 台詞だけなら特に変な所はないだろう。


 だが、ロリコン紳士のユーノを見つめる目が何か……



「この子は……知り合」


「……いもうと……妹!」


 俺が言いきる前にユーノちゃんが自分が妹であると声をあげる。



 俺はそれに合わせることにする。


「そうだ妹だ! 俺の可愛い妹だよなユーノ!」


 一応、トーヤには妹が居るのだが……あの可愛くない妹より、ユーノちゃんのが確かに妹らしいな。


 ユーノは首を縦にコクコクし



「うん……トーヤ……おにいちゃん……」



 上目使いに凄く恥ずかしそうに言うその姿は、健全な男をロリコンに突き落とすくらいの恐るべき威力のものだったが……


(ふっ、あまいぞユーノちゃん! そのシチュは12人の妹で通過した場所だっっ!!)


 俺はロリコンではない!!!

 兄くん派だが、断じて違う!!(タブン)



 だが、もう片方のロリコンはそういう訳にはいかなかった様だ。


「ああああああああああ!!!! 知れば誰もが望むだろう!! 君のようにおにいちゃんと呼ばれたいと! お兄様、お兄ちゃま、あにぃ、おにいたま、兄くん、(にい)や、兄上様、(にい)さま、アニキ、兄君さま、兄チャマ、と! 故に許されない!!兄と呼ばれる存在は……ゴホゴホ!!」


 エキサイトしすぎたロリコン紳士は咳き込み、自らの懐から有名なタブレット菓子を取り出し、中身を乱暴に口に入れガリガリと音を立て噛み出す。


「見苦しいところをすまない、発作が……」



 ひでえ発作だな、おい……

 つか、sharpens you upで収まるんかい。



「はい、はい、まだ後が支えているのですからロリコンさんも早く回してください」


 早く乾杯がしたいのであろう、シロはロリコンの荒れ具合も気にせずにせっつく。


 ユーノちゃんは可哀想に、豹変したロリコン紳士に恐怖を覚えたようで半泣きになっていた。



 あとで近づかない様に念を押しておこう、ウン。



 ロリコン紳士はカード自販機を回し、出来てきたカードをチェックする。


 俺も見せてもらうが、そのカードもキラ仕様ではなく、描かれたSDキャラは銀髪、褐色肌の少女であった。



(あ、でもロリコン紳士の世界って)



 俺はかつての映像を思い出す。


 ロリコン紳士の世界は、少女だけしか居ないが、俺たちとは大きさの基準そのものが違うのだ。


 恐らく豆粒の様な娘が召喚されるのではないか



 ―――ポン♪



 だが出てきたのは、俺たちが予想したミニマムな娘ではなく……いやミニマムではあるのだが、身長の対比はあんまり変わらない少女だった。


 外見からは恐らくユーノと年齢は同じくらいだろう。


 褐色少女はユーノと同じ様に周囲を見渡し驚きの表情を浮かべる。



「……え、う、うそ……そんな……」



 いやその表情は驚きを通り越し驚愕であった。



「シロ、お前めちゃくちゃ驚かれているぞ」


 俺は皮肉を言うが


「何を言っているんですか、トーヤさんの酷い顔に驚かれているに決まっていますよ」



 そこまで言うか



「君はロペだったな…… まさか見えるのか私が!」


 ロリコン紳士も驚いた様に、褐色少女のロペは頷き。


「その声は守り神さま! は、はい見えます。貴方の姿が他の方々も……っつ……」



 そう言ってロペは大粒の涙を流し膝から崩れる。



「脚が…脚がある。ああ……ありがとうございます、ありがとうございます神様! また、この様に目が見え、自分の足で立てる様になるなんて」


 ロペの感謝の言葉を聞いたシロは少し戸惑った様な感じがするが、合点が言った様に「なるほどね」と呟く。


「ロリコンさん。その少女は知り合いみたいですが、彼女は身体に不具を抱えていらっしゃるのですか」


 ロリコン紳士は頷き。


「はい、彼女は事故で両脚を切断、そして怪我の後遺症で視力も完全に失っていました。 彼女の世界は弱者に対してはとても厳しい態度を取る社会であったので、私は不憫に思い色々相談に乗っていたのですが……大きさの対比といい、これは一体」


 それは俺も気になっていたので、聞きたいことだった。


 それに気付いたシロは、皆に説明する様に告げる。


「これは夢ですからね。”今だけは ”何もかもが都合のいいようになるんですよ♪」



 知りたいと思っていた俺が馬鹿だった。


「ゆめ……なんですか……」


 ロペは希望を手にしたと思っていたら、一気に奈落へと突き落とされた様な表情をする。


 悲しそうに表情を沈めるロペに歩み寄る人物が居た。


「……大丈夫……大丈夫」


 そう言いながらロペの手をユーノは握り、そして瞳を合わせながら彼女に言い聞かせていた。


「さあ、これでメンバーは揃い踏みましたのでパーティーをはじめましょう」


 シロはパーティー参加者を乾杯に(いざな)う。



 聖夜の宴がここに始まった。




後編は今週中には必ず……

本編はもう少しお待ちを……

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