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番外編01:2020年 大晦日だよ! ガネメモまつり!

注意:

この作品はあくまで夢の内容である為、本編には一切関わりはありません。

本編のイメージを著しく損なう危険性も無きしもあらずなので、本編のイメージを大切な方は気をしっかり持って読了をお願いいたします。

 これは夢だ。夢を見ている。


 何故かって以前に見たことある光景だからだ。


 白い空間が開けるとそこには


 コタツに入って年末のテレビ番組を見ている。シロさんがそこに居た。


「でゅふふふ、トーヤ殿お久しぶりでござる」


 なお、シロはサイズは人間サイズになっており、フル装備―黒淵メガネ、バンダナ、キャラT、無駄についた贅肉―で最後に会った時とあんまり変わらない格好だった。


「夢の中でなにやってるんだ?」


「うわ……何この変な生物、トーヤこんなのと友達なの?」


 夢なのに何故かそこにいたのはティコさん。


 変な生き物って、一応貴方の世界の創造神さまですよ。ティコにしても父親と言っても良い神様なのに酷い言いぐさだ。


「酷い言いぐさでござる。これが年頃の娘に”お父さんキモい”と言われる父親の立場ですか…… ちょっと気持ちよく」


 おいおい


「お父さんってどういうこと」


 ティコは本当に分からないみたいなので、俺は説明した。


「ちょっと、いや、かなり変わっているけど、このシロは教団の信仰している創造神だ」


 ティコはプッと吹き出し


「ちょっとトーヤ変な冗談は止めてよ。こんな変な生物が創造神様な訳がないじゃない」


 ティコはしばらく笑っていたが、俺が是正せずに黙っていて


「もしかして……本当に?」


 俺は無言で首を縦に振った。


「え…… エエエエエエエエエエエエええ!!」


 ティコの心底驚いた叫び声が轟く。


 まあ、気持ちは分かる。


 カッコいい父親を信じていたら、アキバ系(昔)ヲタクになっていましたと言った所か。


 ラノベでありそうなタイトルみたいだな。


「ちょっと何があったのよ! 以前に会った時はもっとこう威厳があって格好良かったのに、こんなだらしない体になっちゃって……」


 ティコのターンはまだ続く


「それに何? その変な格好。コーディネートおかしいよ。服の絵も可愛いけど不健全な香りがするし、ん?何この袋?紙? (がさっ)何!このいかがわしい本は信じらんない!!蛇なのにこんなもの読んでどうするのよ!」


 すっと俺のターンというくらい、ティコの口撃は続いた。


「ああ、洗濯物も洗い物も全然やっていないじゃない!自分のことは自分で出来るトーヤの方がまだましだよ。それに、吹き出物が多いね?ちゃんと食事はしてるの? 」


 でゅふふふとシロは気持ち悪い笑い声を上げる。


「それについては抜かりはないでござる」


 ピコピコと擬音が鳴ったかのようにシロが取り出したるは


「ブロックの友、フルーツ味~」


 お前をころさないさんと軍曹さんが好きそうだ。



「ファイト100発~」


 いつもお世話になっています。



「トリラーメン」


 イラストの雛鳥ちゃんがかわいい



 ティコはどういう食べ物か分からなかったので、俺がどういった物か説明した。


 俺の説明を聞いたティコの判決は

「全部没収!!」


 ティコさんの審判が下った。




 その後、諸々の片付けを行いやっと終わった。


 なお、片付けている最中シロはティコに叱られまくっていた。


 俺はその光景を見て、単身赴任の夫の部屋に来た妻…違うか、独り暮らしの父親の家に久しぶり帰省して、だらしない生活に腹を立てている娘さんと言った所かと思う。


 シロが置いていたテレビからは既に除夜の鐘を突く映像が流れている。


(2020年ももう終わりか…思えば色々なことがあったな)


 年初めにウイルスで大騒ぎして、暫くテレワークで仕事をしたけど上手く行かなくて結局出社したな。


 更にはウイルスのせいで、株価が凄い下がり社員株をどうしようかとも悩んだな。


 一番はまさか自分が異世界に行くことになるとは夢にも思わなかったことだろうな。うん。




「トーヤ殿良かったら年越しそばでもどうでござるか?」


 シロは唐突に提案してきた。


「あるのか?蕎麦」


「もちろんですよ。年末、除夜の鐘を聞きながら蕎麦を食べずに年は越せぬですよ」


「え、なになに、そばって何それ? 美味しいのそれ? 私も食べてみたい♪」


 ティコもいつもの好奇心全開で詰めよってくる。


 俺も久しぶりに蕎麦を食べたいので、この際にご馳走になることにする。


「では、トーヤ殿台所はこちらです」


 そう言って空間に入り口が現れた。入り口に古風なじゃらじゃらの暖簾が付いた古式ゆかしき台所だ。


(うわ!じゃらじゃら、なつっ!!)

 正直見たのは、子供の頃祖父母の家に行った時以来である。


 って、待て


「俺が作るのか?」


 俺の最もな疑問だ。


「もちろんですよ。トーヤさんの国の料理なんですから当然」


 そう言ったシロの側から”がさっ ”っと紙袋の音がした。


 どうやらシロは俺に蕎麦の支度をさせている間に戦利品の整理をしたい様だ。


 そう感じ取った俺はティコを連れて台所に向かうことにした。


 後で、俺にも見せて貰うからな。


 じゃらじゃらを抜けた先は、昭和の台所だった。


 タイル張りの流し台、ナショナルの冷蔵庫、とても大きいガス式の釜戸(これで米を炊くと凄く旨い)、羽根が剥き出しの換気扇、水道蛇口も恐らく真鍮製であろう。


 本当に亡くなった祖父母の家の台所を思い出す。何だか妙に懐かしい。


 少し感慨に耽っていたが俺は当初の目的を果たすため、冷蔵庫を開ける。


 中には、いくらかの食材が入っていたが中身に統一性がない。


 凄く懐かしい古い食品パッケージの物があれば、最近の製品など色々あった。


 古いものと言っても、腐っているなどとかではなく、昔に販売されていただけで鮮度は良さそうだ。


 恐らく色々な時代で買って来たものだろうなと推測する。


 俺は冷蔵庫にあった、関西人にお馴染みのメーカーの袋入りのゆで蕎麦と真空パックのそば汁を見つけた。


 これがあると簡単で良いな。


 あと、鴨ローストの短冊もあったのでそれも出す。


 恐らく野菜は風通しの良い床下かな…… あったあった。


 (ウチ)の婆ちゃんと同じ所に入れているとは……


 俺はそこから新聞紙で包まった太ネギを取り出す。


 細ネギもあったが俺は太ネギのが好きなので採用する。



 俺はティコと役割を分担し、それぞれ作業を行うことにした。


 その前に俺は確認することがあった。


「ティコ味見だ。ちょっと食べてみてくれ?」


 俺は熱湯で湯がいた少量の蕎麦をティコに味見用としてだす。


「え、先に食べていいの?」


 ティコは嬉しそうに味見用の蕎麦を食べる。


「あんまり美味しくないね……」


 ティコは顔を(しか)める。


 仕事柄、外国人とランチを食べる機会が何回かあったが、ラーメンやうどん、カレーなどは普通に好評ではあるのだが、蕎麦は風味の好みが結構分かれていて、ティコは行けるかどうかと思い少量で試してみたのだがダメなようだ。


 それならと、俺は冷蔵庫から中華麺があったのを確認していたのでそれを取り出した。


 蕎麦つゆと中華麺、意外な組み合わせだが、俺の会社の社食で普通にある組み合わせである。


『和風中華そば 150円』お金が無い時は凄く助かっていた。


 味も悪くないので、それを試しに少量ティコに作ってみる。


「ほい、味見第二弾だ」


 ティコは中華そばもどきを食べたところ、今回は大丈夫そうだった。


 むしろ、結構美味しいとのことだ。




 では、本格的に作るかと思った所でシロから


「トーヤ殿。(それがし)、ネギ抜き、麺ダブル、卵ダブル、鴨肉マシマシでお願いするでござる」


 いや、あのラーメンじゃないんだが……


 俺は鴨ローストの脂身の部分を簡単に取り除き、上質なキッチンペーパーで包み蕎麦つゆに風味をつける為に太ネギと投入する。


 そして、別に湯がいた蕎麦と中華麺を器に盛り付け、最後に鴨肉ローストとネギを付け合わせで乗っけて完成させた。


 居間?のコタツのテーブル部分はシロが片付けをし、俺たちはそこで年越しそばを食べることになった。


 まさか、異世界に飛ばされたあとも年越しそばを食べられるとは思わなかったな。


 夢の中だけど


 テレビからは、除夜の鐘が打つ様子がまだ流れていた。


「ふむ。トーヤ殿、美味しいでござる。 やはり、日本人は大晦日でコタツに入り除夜の鐘の放送を見ながら、蕎麦を食べる。 日本人に産まれてよかったでござる」


 いや、お前日本人じゃねーだろ。そもそも人ですらない。


「ボクにはよく分からないけど、このそばは美味しいよ。向こうにもあるといいのにな~」


 そう言ってティコも美味しそうにたべてくれている。


 作った甲斐があったというものだ。


 即席だけどね。


 二人?ともあっという間に完食し、俺も久しぶりの蕎麦であっという間に完食した。


「あーおいしかった。 ねえ♪ ねえ♪ これからどうするの?」


 ティコはよっぽど気に入ったのだろう。上機嫌でこれからの予定を聞いてきた。


「そうでござるな。あとは朝まで起きて、初日の出を見るとしますか、初日の出を拝み今年の抱負を考えるのも良きものですよ」


「ここで、初日の出が見れるのか? 夢の中なのに」


 シロは問題なしと言い。


「日が昇る時になったら、初日の出の風景を出しますのでそこで観ましょう」


「うわー♪ 面白そうだね。よし、それまで起きておかないと」


 夢の中で起きるってこれいかに?





「……くぅ……」


 コタツの暖かさに誘われたのか、ティコは気持ちよさそうに寝息を立てていた。

 かわいい寝顔で、「もうここから一歩も離れんぞ」という友人宅で見た(ぬこ)のようだった。


「寝てしまったか、随分はしゃいでいたから疲れたのだろうな」


 まるで子供だなと俺は微笑ましい気持ちになった。


「トーヤ殿に2つばかりお願いがあるのでござるよ」


 シロはそう言って一枚の紙を俺に渡してきた。


 俺はその内容を見ると、何やら書いてあるので読んでみる。


「これは何だ?」


 その内容は何かコントみたいな内容であった。


「いえ、有言実行でやらないといけない流れなのでお願いしますよ」


 シロは頭を下げてきた。


「ま、まあいいけど」





「いや~藤也さんの様なガネメモマスターに通常のプレイは失礼かと思いまして、全能力値最低のチートキャラを御用意させていただいたので、これでガネメモ攻略頑張ってください」


「え、最低能力値のキャラでガネメモ攻略を!?」


「あっれ~、ガネメモマスターなのに無理なのですか~」


「で、できらぁっー!!」





「………これは何なんだ一体なんの意味が?」


 正直俺には意味が分からなかった。


 と、言うか俺の最低能力値はこんなアホみたいな理由だったのかと、怒りを通り越し本気で呆れていた。


「はい!カーット! いやー良い演技でしたよトーヤさん。まさに主演男優賞モノですよ」


 やかましい!




「そして、もう一つのお願いなのですが、実はこっちが本命でして……」


 シロは何処から取り出したのか1台のノートパソコンを出してきた。


 ちなみに俺がシロに預けたパソコンとは違うパソコンだ。


 俺はそのパソコンを見てみるが、ボディの輝きが店売りのノートパソコンとは一味も二味も違っていた。


「何か凄そうなノーパだなこれ」


 正直オーラ?が違う感じがする。


「ふっふっふっふ、このノートパソコンは神々の共同合作で作り上げた。名付けて《神界の星(ソール・シュピアータ)》、ボディに最高の排熱、耐久性を誇るゴッド・オリハルコンを鍛冶の神ヘパイストスに酒をエサに造らせ、各パーツの設計には機械神(デウスエクスマキナ)の弱みを握り、もとい誠意を尽くし設計させ、記憶装置にはアカシックレコードを無断で使用し、スピーカーにはシヴァさんに監修を務めて頂き、ディスプレイにはもう現存(げんそん)しないファイナルクリスタルを使用し、更に……、更に……」


 シロの長い説明が続いたが、正直俺にはなるほどわからん状態だ。


 分かるのは、このパソコンを造る為に色々な神様が迷惑したということだ。


 気の毒に……


 あと、ファイナルクリスタルが現存しないのは、ホストが主流になったのだろうとグルガン族の男は語った。




「と、言うわけでこれは凄いパソコンなのですよ」


 シロの説明が終わり、俺はこの凄いパソコンで一体、俺に何を頼むのだろうという疑問が浮かんできた。


「それで、俺に頼みって何なんだ」


 俺がそう言うとシロはパソコンの電源を入れ始め。


「実は、トーヤさんにお願いしたいのはガネメモの攻略についてなんですよ」


 俺は苦笑する。


 こんな神器なパソコンでやるのがエロゲのガネメモって…


 関わった神様たちが更に気の毒に思えてきた。



 パソコンは一瞬で立ち上がり、見慣れたデスクトップ画面が出てくる。


 そして、シロは古ぼけたボール型マウスで操作し、デスクトップ上にあったガネメモのアイコンをクリックした。



「何でマウスは旧型なんだよ」


 つーか、手もないのによく動かせるな。


「いえいえ、使えるものは使わないともったいないですので」



 そして、立ち上がるガネメモ


 しかし、俺はそのタイトル画面に違和感を感じていた。


「ガーネット・オブ・メモリアル改…… 改!!」


 俺の声が驚きで震えた。


「ふっふっふっふっふ…… 説明せねばなるまい! ガーネット・オブ・メモリアル改、略してガネメモ改は、機械神(デウスエクスマキナ)の弱みを握り造らせた。強化版ガネメモである。 ゲーム性、システム、イベントなどはそのまま。CGは8K解像度に対応、更に特殊AI(人工知能)により、CGを生きているかのごとくフルアニメーションを可能に、また異世界版の音声に完全対応、名前も読んで貰えます」


 機械神(デウスエクスマキナ)過労死してないのだろうか?


 シロさんの口から、また説明が出るわ、出るわで俺は何か疲れてきた。




 つまりは正当進化のハイスペックガネメモと言うのは理解できた。


 どこぞの改みたいにならず、アーケード版みたいな進化で安心する。



 そして、ゲームをプレイし始めたシロは該当の箇所までゲームを進める。


 俺はゲームを見て感動していた。


 正直とんでもないクオリティであった。


 なんせ、戦闘は3Dモデル、カメラワークも完璧な出来であり、戦術性も旧作のままだ。


 そして、CGも異世界に行っている俺だからこそ分かるが、完全に本人が居るかのごとくである。


 仕草や癖や喋り方も完璧トレースしており、改の名前に恥じない出来だった。




「ここなんですよ」


 そう言ってシロはゲーム上で湖があるエリアで止まる。


「トーヤさんのWikiではここで、ティコのイベントがあるとの記載があるのですが。イベントが起きないのですよ」


 俺は内容を思い出しつつシロに説明する。


「学園依頼は受けているよな? 受けているのなら多分もう一つ、おでこちゃんの依頼を受けないとダメなんだよ」


「そんな依頼ありましたっけ?」


 シロは?な感じで聞いてくる。


「これは出現はランダムだからな…… 学園に戻ってセーブ&ロードを繰り返したらいつかいけると思うぞ」


 そして、シロは俺のアドバイス通りにし無事イベントを発生させることが出来たが……



「おい、よりによってこのイベントかよ……」


 そこには観せられないよ!なティコの姿が


 なるほど、ティコルートに入っていたのかと俺は理解した。


 このイベントはルートに入っているか、いないかで展開が違うのだが入っていた場合は、アレなイベントになるのである。


「おっと、イヤホン、イヤホンっと」


 そう言ってシロは昔懐かしいラジオで使う片耳イヤホンを着け、俺にももう一個渡してきた。


 俺はいそいそとイヤホンを装着する。



 だって観たいし



 俺は心のアカシック・レコードを全開にしシーンを脳裏に焼き付けることにした。

さあ、見せてもらおうか、ガネメモ改のえろとやらを




 画面では花に戯れていたティコが誤って、ローションのようなネバネバ蜜を全身に被ってしまい、興奮してしまったようだ。


 いわゆる、えろげ薬である。


 そしてルートに入って、このイベントの時系列では初ではなく2回目ということになるので、思いの外大胆になっていた。


 旧作でもかなり出来の良いシーンであったが、さすがに改である。


 10年は戦えそうなほどのクオリティであった。


「我々はこれで10年は戦える」


「10年ってなに?」


 俺たちは画面に集中していたせいであろう。後ろに居る者の気配に気づいていなかった。


 俺とシロがギギッと後ろを振り返ると、そこには眠そうな目をこすったティコさんがいらっしゃった。


「う、うわあああああああああああああああ!」


 俺たちは驚きのあまり大仰に動いてしまい、イヤホンジャックのイヤホンが抜けた……


 その結果、パソコンからゲーム内のティコのあられのない声が周辺に響き渡ることになった。




 時が止まる瞬間とはこういうことを言うのだろうと俺は人生で始めて理解した。




 ティコはその声で、あわててパソコンの画面を確認し、顔を真赤にさせ


「い、いやーーーーーーー!! み、みないで!!! みないで!!! トーヤ!!みないでー!!!」


 ティコは半狂乱になりながら、手を広げ全身でパソコン画面をブロックしながら俺に叫ぶ。


「こんなのぼくじゃない!! ぼくこんなの知らない!!! トーヤ……みないで……みないで……」


 そう言ってティコは泣いてしまった。


 その姿に俺はどう言っていいか分からなかった。


 よし、ここはフォローを……


「大丈夫だティコ。このシーンはもう何回も息子がお世話になっているから、お前を変な色眼鏡で見たりしないから安心してくれ」


 俺は爽やかに告げる。


 その言葉でティコの表情が固まる。


(あれ? 俺また何かやっちゃいましたか)


 ティコはゆらりと浮かび上がり、パソコンから少し距離を取ると右手人指し指をパソコンに向けた。

 その瞬間


 ――ジュッ


 一滴の水が鉄板に蒸発するような音を立てて、ノートパソコンが消滅した。


 へっ……?


 最高の耐久性を誇るゴット・オリハルコンで出来たパソコンがティコの指先から放たれたビーム一発で消滅した。




「ふふふ… ねえ、トーヤ…… ボクね知りたくないことを知ってしまったんだ♪」


 ティコから凄まじくヤバい雰囲気が立ち込める。


 俺はまさに猛禽類に睨まれたカエルであった。


「(ゴクリ)な、なにをかな~」


 俺は恐怖の中、必死で言葉を紡いだ。


「そんなことあるはずないってバカにしていたのだけど、あるんだね~」


「千年の恋すら冷める瞬間って」


 ティコの目から光がなくなっていた。


 まさにゴミ以下の汚物をみるような目である。


「あ、あの~ティコさん。ここでの刃傷沙汰はちょっと……」


 そう言って空気の読めないシロさんがティコを止めに入ろうとするが、ティコの背後から現れた砲台の光の軌跡の一撃で吹き飛ばされた。


「ぶろばぁぁ!!!!」


 変な断末魔を上げ、シロは彼方へと吹っ飛ばされる。


 俺の記憶では、ティコの自己の世界(ファンタズマゴリア)の精界の城に設置されている兵器だったと記憶している。


 最終戦闘後のイベントで、敵の死ねばもろともで放った隕石群を一撃で消滅させた。


 ティコの切り札であると同時にティコの奥義技である。


 俺はシロがやられたのを見て、恐怖に暴走し土下座を行い必死でティコに謝った。


「ティコ様!! お許しください!! お許しください!! わたくしめはティコ様をそんな(やましい)しい目では絶対見ておりません!! これからも見ることも決してありません!! だからころさないで!! ころさないで!!!!」


 俺は必死に土下座を行った。


 反応が何もないので、俺はちらっとティコを見上げたが……


「そう言えばトーヤ、初日の出を見るって言っていたよね」


 俺は首をカクカクと縦に振る。


「せめてもの情けだよ。ボクが初日の出をみせて、あ・げ・る」


 そう言って、ティコの背後から現れる無数の砲台が俺にロックオンされた。


「ティ……ティコそれ初日の出やない…それは…」


 999の砲台から放たれた光の渦は俺を飲み込んだ。


「それはにくしみのひかりやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」





「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


 俺は大声を上げ目を覚ました。


「はぁ…!はぁ…!はぁ…! な、なんだ凄く恐ろしい夢を見たような」


 俺はあまりの恐怖で過呼吸気味になる。


 しばらく、震えと過呼吸が続いたが時間と共につれ収まっていった。


(いったい何だったんだ。酷く怖い夢を見たような)


 ベッドから起き上がり水でも飲もうかと思っていた俺は背後に気配を感じる。


 その気配に体が震え始め背筋を凍らせる恐怖がたちのぼる。


 俺は恐怖に震えながらゆっくりと背後を向く。


 そこに居たのはティコだ。


 しばらく、黙っていたティコは開口一番。


「ふわ~。おはようトーヤ… 何か凄い声を出していたけど怖い夢でも見ていたの?」


 なんだろう? ティコをみると背中を氷のナイフでなぞられているような震えが……


「どうしたの?変な顔して、体調が悪いのなら今日はゆっくりしたら。 ボクも今日は少し調子が悪いからもう一眠りするよ」


 俺は

「いや、眠るとまた怖い夢を見そうだから起きていることにするよ」


「そう、じゃあおやすみ~」


 そう言ってティコは自分の寝床に戻っていった。


 寝床に入ったティコは

「トーヤのスケベ……」


 トーヤは暫く、ティコに怯える日々を過ごすことになった。



本編も満足に進んでいないのに、書きたくてこんなものを投稿してしまいました。

本編もボチボチ出しますので、よろしくお願いします。

なお、差分修正版をノクターンさんに投稿しております。

18歳以上の方は、ぜひそちらもお読みいただけたら幸いです。

ノクターンさんで『ガネメモ』で検索、検索♪

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