39話 私の考え
「すいません」
僕はそう言って集会場の中に入った。
地図が置かれたテーブルを挟んで座ったエッダとエルフの族長がなにかを話している。
「なんでしょうか?」
「その地図、すこし貸してもらえませんか」
「それはこまる。必要ならここで見ていってくれ」
エッダにそう言われたので指示に従う。
彼女の家が、どれだろう、地図の縮尺がいい加減でよくわからない。まぁこの集落の中だという。
そして、彼女のおばの家がエッダに出されたらしいお茶のカップがおいてあるところの横あたり。これは奥様たちから聞き出しておいた。
そして2つをつなぐ道。おばの家は元々漁師(川で魚をとって商売をしていたらしい)だから川沿いから少し高いところ。
道は、人間基準で言えば険しいがエルフなら子供で楽に行ける程度だという。これも聞いた。
人の話を聞くに、どう考えても親の言いつけを無視して遊びにいくような子供ではない。
そういう子でも家出かなにかで逃げ出すことはあるだろうけど、それにしても急に消えることはないだろう。前兆があるはず。
そういう訳でだからみんな人さらいにさらわれた。思いもよらない場所に迷いこんだという前提で探して、見つからず、困ったらから森の内外をしらみつぶしに探している状態。
でも、実際はもっと近くにいるんじゃなかろうか。
足をくじいた。転んでこけた。崖から落ちた。猿も木から落ちるというし、エルフだってどこかで転ぶことはあるだろうし、それがうまい具合に見つからないこともあるんじゃないだろうか
「すこしでかけてきます」
「おい、土地勘がない奴がうろうろすると迷うぞ。なにか考えがあるのか」
エッダに止められた。
「いえ、女の子が今日行き来した道をたどろうかなと」
「そこは当然、最初に探しましたが」
「それで見つからなくて範囲を広げて、でも見つからない。ってことは、僕らが思うより意外と遠くにいるか意外と近くにいるってことじゃありませんか。それでみんな意外と遠くを探してますから、私は意外と近くを探してみようかと」
エッダと族長は私の言葉になにか考えている。
よそ者の言葉、ただしいのか、間違っているのかの判断に迷う。僕だってこの考えがあってるかは知らないんだからそれは当然。
なのでもう一押し。
「探し物なんて大概そうじゃありませんか。探しても見つからないのは、なんでそんな所にあるのかという場所にある。それで見つからないなら、なんで見つけられなかったんだろうってところにあるもので」
「それもそうか。俺がついて行こう。二度目はその程度で十分だろう」
僕の言葉に納得したのか、エッダはそういって立ち上がった。




