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29 話 休めない男

「おはようございます」

「おう、お前さんは今日休みだろ?朝っぱらからどうした?」

 今日は朝のシフトで働いている新人が、一人食堂で朝ごはんを食べている。

 食堂の料理長は食事の際できるだけ集まって食べることを優先する人だが、この新人は暇ができたものから順次食事を食べ、早く仕事に取り掛かることというのが流儀。


 仕事は休みといっても、朝食は無料で食べられるのがこの職場の素晴らしいところだ。

 まぁここで食うにはいつもと同じ時間帯に起きる必要があるが、今日は朝から出かけるのでちょうどいい。

 ただそうなるとメイドの水汲みとかち合う。

 そして結局朝から手伝う事になった。


「えぇ、村の狩りに誘われたんです。一つ参加してみようかなと思いまして」

「村の狩りか、ありゃ大変だぞ。村の年寄り共はみんな元気だからついていくのがつれぇんだ」


 休日に手伝わせたんだからちゃんと借りは返せよ、という新人の一言でメイドは僕の朝食の給仕をしてくれた。

 しかし考えてみるとこれは新人の仕事じゃないか、とも思ったがまぁいいや。

 今日の朝食は、青色のスープに野菜や肉がたくさん入ったごった煮。

 なんだこの色、と思う色をしているが芋の色だ。

 例の緑色の芋をつぶしてから、玉ねぎ、ピーマンと煮込むとこんな色になるとか。

 香辛料を聞かせたこの料理は新人の得意料理。しかし使用人からは賛否両論。

 味がよく暖かくても冷めてもおいしいと賄い料理としてはベストなのだが、朝食に食べるには見た目が悪い。


「狩りは男の仕事ですからね」

 メイドがそういって、お茶を出してくれた。

「あぁいう催しはあまり好きじゃありません」

「まぁ田舎臭いからなぁ。お前はそういうのが嫌いなんだろう?」

「こう見えても根っからの都会育ちですから」

「田舎の女どもだって似たような事言うさ」

 新人はそういって笑った。

 16歳で都会生まれを鼻にかけるというこのメイドを笑って受け入れる程度には、この屋敷とこの土地は寛容なのだ。

 いい職場だよな。

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