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19話 食事

 長い机が三つほど並ぶ食堂。

 その隣に併設された大きな台所。そこの端っこに4人掛けのテーブルと椅子が並んだ場所がある。台所で働く人たちの休憩所なのだろう。

そこで三人顔を合わせて食事をする。


「夕食は配膳するメイドと料理人たち以外は、親方様から使用人、出入りの商人や日雇いまで同じ時間にまとめてそこの食堂で食べることになってる。朝は仕事によって始まる時間が違うから、バラバラに食べる形だ。朝の10の鐘がなるまならいつでも食べられるから、当番の料理人かメイドにいいな。火を入れてくれる」

「私のイメージでしかないんですが、普通貴族様って使用人とは別に食べるんじゃないですか」

 今日の朝食は芋、玉ねぎ、豆、あと細切れの豚が入った具だくさんのスープと酸っぱいパン、そしてお茶らしき緑色の飲み物。

 見た目は素朴だが味はいい。朝から濃いめの味付けだが労働者が多いんだからこれでもいいだろう。個人的には気に入った。

 それを食べながら、料理長とメイドと雑談。


「他所だと大体そうですね。使用人と貴族の階級や生活空間はもっとはっきりと分かれています」

 メイドがそう教えてくれた。

 彼女は二年ほど、いろいろな屋敷を転々としてここにたどり着いたそうだ。歳は16とのこと。という事は14から働いてたのか、児童労働万歳だな。


「この界隈がかわってるんだ。戦乱の時代からいろいろな人間やらなんやらが出たり入ったりする土地だから、階級や身分をそこまで気にしない人が多い。それに親方様は貴族の方々と舞踏会にでるよりも、俺たちを使って畑や豚を増やしたり新しい作物の植え付けを試すとか、家の修理に精をだす方が好きだというお方だからな」

「実務的な事が似合いそうな人ですよね」

「そうなんです。ですから、一人だけしかいないのに時間をずらしても無駄だ。みなと一緒で構わないと。食べるものもお茶の代わりにコーヒーを飲む以外は私たちと一緒なんですよ」

「みんな一緒に食べれば薪代とろうそく代が節約できますしね」

 昨日廊下に並んでいた燭台を思い出して僕はそう相槌。

「親方様もそういってたが、変わったお人だよ。ほかの貴族様の屋敷に務めていたこともあるが、あんな人はほかに見たことがない」

「でもそういう所がいいんじゃないですか。威張らなくてもなぜか偉そうに見える人ってなかなかいませんよ」

 メイドは16歳のわりに達観したことをいう。

 そんなことを思いながらパンをスープに浸して食べた。そしたら二人にそれは子供の食べ方だからやめた方がいいといわれた。

 そんなこと知らないよ。

 僕はここじゃ16歳以下なんだ。

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