17話 朝から働く
「あなたが、昨日いらしたという異世界から来た方ですか」
「はいそうです。本日から見習いという事でこちらで働かさせていただくことになりました。よろしくお願いします」
「あ、これはご丁寧にどうも」
そんな会話をした後、メイドにこう聞かれた。
「昨日はどうなさいましたか。夕食に来なかったようですが」
「疲れて眠ってました。さっき、太陽がパァと眩しいせいかおなかがすいたせいかは知りませんが起きまして」
そう言ったらメイドはふっふと上品に笑って
「倉庫の二階ですよね。あそこ、朝はほんと眩しいので見習いも嫌がるんですよ」
「カーテンがないのは仕方ないとして、戸板みたいなものもないんですよね。雨が降ったりしたらどうするんですかね」
そんな話をしながらメイドを見る。桶で水を汲み、壺を満たしている。
「何をしているんですか?」
「これですか?炊事用の水の確保です。屋敷の近くにもあるんですが、水の量が少ないので毎朝ここで汲むことになってるんですよ」
そう言って台車(と言うよりリヤカーだ。小学校の頃だか、学校にこういうのがあった)に壺を置き、次の壺を取り出す。
いくつも壺がある。これを全部満たすんだろうか?
「手伝いますよ。食堂に行けば朝飯だか晩飯だかわかりませんが貰えるんでしょう?」
そう申し出て手伝うことにした。
朝から労働だ。彼女は壺に水を入れ、僕はそれを台車に運ぶ。