12話 採用
なにも考えずに売り込んだ手前あれだが、話はとんとん拍子に進んだ。
親方様と一緒に牛車(向こうからくる農民が乗っているものと同じだ)にのり親方様の家へ。
そこでメイド長なるおばさんと執事のおじさんに簡単な面接を受け、合格。即採用。
むしろちょうどよかった、と喜ばれた具合。
「この界隈は若い子が少ないのよ」
とメイド長が言うように、この一帯は人手不足なんだそうだ。
原因はウェイバー伯爵一族の政策。若者は学を修めよ、社会にでて見分を広めよ、とばかりにどんどん都会や外国に送り出す援助がされる。
そして現地からの仕送りか、学んだ事を領地にもって帰るという形で利益が生まれ栄える。
みんな満足だ。
若者はつまらない田舎から出て、立身出世なり技術を身に着けるなりできる。年寄りはそんな若者から利益を得られる。もし都会で失敗しても、そこで学んだことを領地にもって帰ってきたらその経験が役に立つ。
統治者である伯爵にしてみたら、世界中に地縁ができるし、領地は栄え、よい人材が手に入る。
難点は、領地の人材不足。だから畑を増やすだの新しい事業をやるだのと言ったら人集めに苦労する。
「そういうわけで若い子はいつでも歓迎しているのよ」
というメイド長の言葉で、まぁ無事採用。自分の売り文句が聞いたわけじゃないが、それなりに上出来な結果じゃなかろうか。
この低いテンションでトントン進んでるんで一体どういう感想を書けばいいかわからないそこのあなた。
大丈夫。私も思いつかないから