005:ディスペル(解除)
005:ディスペル(解除)
「何やってるんだ!!」
叫び止めるユウリ。
「なに? なんだ貴様も逆らうのか、このギル・シルヴェストルに!!」
シルヴェストルって、あの四代精の貴族の!?
えじゃあ……。
やっぱり、貴族相手に平民がかなう訳ないんだ……。
などと周囲から声が聞こえてくる。
「有名なのか?」
「……はっ!? なんだ貴様、オレを知らないとはこれだから田舎者は。まあいい貴族がいかに貴様らより優れ居ているかここで見せてやる」
とぼけたようにし状況が読めないユウリを、憎んだように睨み、そうして示すかのように膝を着く生徒に向けて剣を振り上げる。
「ウインドエッジ!!」
声と共に、振り下ろされ飛ぶ風の刃。
が――しかし。
目を瞑った生徒にその風が触れる瞬間、その刃は四散した。
「なっ、何だ今の!?」
「なにって、魔法解除しただけだけど?」
「魔法解除だと?このオレの魔法を?」
魔法解除?
あいつが?
四大貴族の魔法を、消すなんて?
ありえないだろ。ありえない。
うそでしょ?
でも実際に消えたし……。
周りから声が聞こえる。
「そうだけど?」
「貴様アアアア!」
顔を赤くし、このよのモノとは思えないぐらいに強く睨むギル。
怒りは見るからに沸点を軽く飛び越えているようで、今にでも飛び出してきそうな感じをしてる。
その興奮するギルの前に、先ほどまで心配そうにユウリに抱き着いていたリアが。
離れ、ユウリの前へ出た。
「アンタ、ここでは貴族も平民もないの知らないの?」
「関係ない!! 貴族は本来、平民と平等に扱われている方がおかしいのさ!!」
「はあ……。ごめんねユウリ今の時代ってこんななんだ……」
「いや、気にしてないよ。リアのせいでもないでしょ?」
「なにごちゃごちゃいってるんだっ!!」
ギルが剣を握りしめ踏み出そうとしたその時。
「そこまで!!」
間に、一人の女性が声を割って入れた。
「お前たち受験生の決闘はここでは認められていはい!! まあ――失格にして欲しいなら勝手にやってくれて構わないが」
白衣の腰まである黒髪ポニーテール。
真っすぐ背の高いスタイルの良いその女性は。
鋭く気難しそうな顔をしていて、融通が利かず厳しい人物だというのが分かる。
それに、脇にはさみもっている持っているボードや書類などを、おそらくはここの教官なのだろう。
「チッ――!!命拾いしたな」
舌打ちをして先に、他の入口を塞いでいた生徒らと学園へと入って行くギル。
それを見ると、女教官は去っていった。