003:学園へ
003:学園へ
あれから、数日経ち。
「ねえねえユウリ、起きて起きて!! 見えてきわよ!!」
「ん?」
旅馬車に揺られ、眠っていたユウリが抱き着くリアに起こされて窓枠から外を見た。
「――――!?すごい……」
目の前に広がるのが大きなレンガでできた高い外壁、そしてその高い外壁よりももっと大きな円錐の並ぶ城のような建物。
馬車の進む方を窓枠から顔を出して見て見れば大きな両開きな正門が迫ってきていた。
「王都ダストリア。すごいわよね」
「うん……」
その巨大さに息を飲んだ。
王都ダストリア。この国最大の国にして、多くの魔法使いが集まる地。
ユウリとリアははるばる遠くから訪れていた。
というのも、ことは5日前のことにさかのぼる。
5日前にユウリが目覚めて、リアはべったりで起きてからずっとくっついていた。
3000年という長い時間を埋めるように、べったりと久しぶりの食事時も、風呂の時も、就寝する時も。
もうはなさないと言わんばかりにしていて。
ずっとため込んでいた物を吐き出すかのように、二人は愛を語った。
その中で、ユウリはこう思っていた。
なぜ、3000年なのか。
それはリアに訊けば、なるほどとうなずける理由で。
どうやらユウリが閉じ込められていた図書館は時空間が歪んだ場所だったらしく、それが原因だということだ。
だから普通の人間であるユウリも3000年という長い時間を飛び越えても、年を取っておらず、こうして16歳の姿で居られた訳だ。
ただ、実際は本当に3000年あの図書館でも立っていたらしい。
ユウリの体感的にはさほど時間は立っていない感じだったが、666万の魔導書をすべて読むには、確かに。
なるほど――そう言わざるには負えないほどの、時間は改めて思えば時間は必要だった。
そして――3000年という流れたこの世界で、どうしようかリアに相談したところ、学園に一緒に通いたいとリアが言い出した
ずっと待っていた、そう言って。
半強制的に手続きをどこからかリアはして、入学の試験を受ける算段が整った。
(そうしてここに来たわけだけど……)
実際都会にくれば、世界がどうなったのか分かると思ったからいいのだがと……。
「楽しみだねユウリ」
「あ……うん……」
楽しげにハニカム彼女はユウリの腕に抱き着き、再会して以来スキスキモードはとどまることを知らない。
「どうしたの?」
そんなリアだが、先の門を見て反応の薄いユウリを、不安そうにリアはその横がをのぞき込んだ。
「いや……その、思ったんだ。本当に学園で魔法を習える世界ができてるんだなって……」
発展している。
3000年前はこんな大きな街なんてなかったし、魔法は全て各家庭の独学で一族に伝わるような伝統を守るような、一種の儀式だった。
それが、こうして色んな人が集まって様々な魔法が混じり合うことがユウリは信じられなかった。
それに――この制服。
制服だ。ユウリがきているのはYシャツに青の上着。
その上着と同じ素材でできた長ズボン。
そして、リアがきているのは同じようにYシャツに、青いブレザーそして、ヒラヒラなミニスカート。
どちらも魔法使いと言うよりは、騎士や貴族の正装のような服装で、リアは左腰に蒼銀に輝くエストックをつけていた。
正直、リアのミニスカートに関しては、真っ白なニーソとの間に綺麗な太ももが見えて、小さく細めの体のリアですら色ぽく見え、夜のことを思い出してしまう。
その中で世界の変わり過ぎに、早くも順応できるかユウリは不安を抱えていた。
それを知ってか知らずか。
「大丈夫だよユウリなら。一杯勉強したんでしょ?」
「うん……」
「ねっ! だから心配しちゃだめよ!!」
ニカッとユウリの手を握りしめ笑うリア。
そんなリアにユウリも微笑み返した。
そうこうしていると馬車は止まり、前で馬を操っている車主さんが、声をかけてくれ、二人は馬車から降りた。