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011:ギルVSユウリ

 お互いに離れて、教官が壇上から降りると同時に模擬が開始する。

 

 いやらしい笑みを浮かべて、(ロザリオ)を抜いたギルが魔法を放つ。


「エアロブラスト!!」


 放たれるのは無数の刃風。

 剣を振るった先から現れ飛び出す。

 それは高速でまるで飛び立つツバメの如く、ユウリをさかんと真っすぐ襲い掛かる。


「っ――!?」


 それを横に飛び、かわし。

 だが、その先に回りこんでいたギルが剣を振るう。


ヒュッ――!!


「どうした? ディスペルは? ハハハハッ!!」


 無数に振り払わ続ける斬撃。

 それと同時に発生する風の刃は、空中で砲を描くように旋回して、剣と共にユウリを襲っていた。


 ディスペルはできない。


 風は肉眼では捕えずらい上に、方を描く不規則な軌道で高速に動く。

 ターゲットを絞り、解析をしてから行うディスペルは不可能だった。


 どうやら、今朝のあれは手を抜いていたようだ。

 今は、本気でユウリをこの場で殺す勢いで、力を出しに来ている。


 シュッ――!!  シュッ――!!


「っ――」


 避ける。避ける。

 避けて、避ける。


 まるで踊り子の様に、自身への魔力での身体能力強化を行い。

 それを利用して、宙返りは当然、バク転やステップ、それらを駆使して縦横無尽に壇上を飛びまわる。


「いつまでもちょこまかちょこまかとッ!! 逃げているだ!!」 

「いつまでって、丸腰なんだから詠唱もできなくてね」


 だから――と。


 詠唱には、それを唱えるだけの時間(スキ)が必要だ。

 この状況下で、それは期待できない。

 常にギルは剣を振り、魔法を放ち続けている。

 そんな中で、オリハルコンの的の時の様に、集中して魔法など撃てるはずがない。


 なるほど。と。これだけを見れば霊装(ロザリオ)が普及した、理由はよく分かる。


 白兵戦に置いて、素早さは強靭な防御力や攻撃力にも勝る。

 どんな相手だろうと、力を使われる前に討ってしまえば関係ないのだから。

 それを人間同士で、突き詰めた結果がこれなのだろう。

 強力な魔法を撃たれる前に、強襲をかける。

 荒らしの如く。勢いと速度で蹂躙してしまえば相手はなすすべはないだろう。


 ユウリが知っている魔法の形は、間違えなく争いを繰り返せば、どちらが先に魔法を放ち倒すかという、問題にたどり着くのは自明の理だろう。


 結果、霊装(ロザリオ)が生まれた。


 理由は分かる。だが、速度を求めるあまり、大事なことも失われているのだ。


「確かに、霊装(ロザリオ)は便利だ」


 便利だ。便利だが。

 今まで、最も多きく跳び引いて、ギルから距離を取ると、ようやく剣戟の嵐は打ち止めされた。


「ハハハ、終わりだああああ!!」


 ユウリが跳び引いて降り立った場所は壇上の淵。

 逃げ場を失っと見るや、ギルは剣を構え真っすぐ走りかかった。


「便利さのあまり、魔法の真髄を忘れてる」


 瞬間、壇上は輝いた。


「なんだ!? これは!?」


 異変に動揺したギルが、壇上の中央で止まる。

 そこに、秒も使わず壇上に大きく収まるように六芒星の白い光が引かれていく。

 そして、ギルの立ち位置はその中心。


 起きた異変は、ギルにも起きていて。


「くっ――、体が動かない!? 貴様マアアアア何をした!?」


 何かに体を縛られたギルが叫んだ。

 それは結果的には断末魔となって――声をかき消すように、真っ白な輝きが六芒星から放たれ、光の柱となって浮かび上がった光に浄化された。



 そうして、光が消え。

 そこには倒れ、意識を失ったギルだけが残っていた。


 静まり返っていた会場が、次第にざわつきを取り戻していく。


「ほう……。そこまでだ!! 勝者ユウリ・クロノウズ!!」


 うおおおおおおおおおおおおおお!!


 宣言と同時に、沸き上がる大歓声。

 

 その中を、ふうと安堵したため息をしながらユウリは観客席へと戻った。



「ユウリユウリっ~」

「おわっ!?」


 客席にいるリアたちを探して、近づくと、席から飛び出してリアが胸に飛び込んできた。

 それを受け止めて、ラブラブモードのリアを放して客席へ行く。


「やあ、どうやってやったんだ? あれ」


 客席に座ったユウリに、カインが訊いた。

 

「壇上を儀式の祭壇代わりに使ったんだ」

「は?」


 どいうことだ? と言ったユウリに疑問の顔をするカイン。

 まあ、そこは理解できなくて当然なのだろう。


 そもそも、この方法はこの時代では忘れ去れた技法である。


 なにも、魔法を使うのは詠唱だけというわけではない。

 魔法とは、自然から力を使うこと。


 詠唱はそれを実現する儀式であって、詠唱をしないければ魔法を使えないというわけではない。

それは、霊装(ロザリオ)が実現している事実。

では?ユウリはどうしたのか?


「儀式だよ」


 そう、儀式だ。

 詠唱も、霊装(ロザリオ)も言うならば儀式の一環。

 

 詠唱は神にささげる歌だとしたら、霊装(ロザリオ)は神に拝む際の術具ということになる。

 それを用意することで、儀式を完遂し魔法の使用ができる。

 これが魔法発動の理。


 そこにならえば、タネは簡単で、ユウリがやったのは言わば儀式の舞と祭壇の作成。

 この世には、自然に同調する図形や場所が存在する。

 それを作成して、力を流した。


 後は霊装(ロザリオ)と原理は似たようなものだ。

 祭壇に収まるレベルの魔法を記載して、発動。


 それで魔法は発動する。


 ユウリは、霊装(ロザリオ)の技法に似たことをやったのだった。


「まあ、なんだかよくわかんねぇど。やっぱすげえなお前」

「そこまでじゃないよ」


 開始される第二試合を眺めながら、こんなものはただの基本だと。

 ユウリは思うのだった。



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