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好きなものが同じもの

「ルモカ、なにしている?」

 先日カエデ達を叱っていた男性が、怪我人を連れて医務室にやって来た。ベットに怪我人を寝かせると、パソコンに真剣な様子で見ているルモカに声をかける

「あら、ゼフド。あのツミキって子の事、調べていたんだけどね」

 そう言うと、ゼフドという男性にパソコンを見るように諭す。モニターには何故かツミキのデータが写し出されていた

「これは……」

「そう。どうする?」

「巻き込むのは良くないがな。あの子のために」

 二人でモニターを見つめたまま考え込んでいると、医務室の扉が開いた


「ただいま、戻りました」

 傷だらけのカエデとミオリが医務室に入ってきた

「お帰り。って、あら?」

 二人の後ろに隠れていたツミキに気づいて驚くルモカとゼフド

「君は、なぜ?」

「またどこか怪我しているの?」

 ルモカがツミキの右腕をとり、怪我をしているか確認する。体全体も見ていくが特に怪我もなさそうな感じに、ホッとする。ゼフドが窓を見ると、もう夕暮れ時。ツミキが一人帰るにはもう遅い時間

「もう夕暮れか……ツミキ君、今日はカエデ君の部屋にでも泊まるといい」

「えっ?なんで?」

 少し離れて、ルモカ以外に医務室にいた女医から傷の手当てを受けていたカエデ。ゼフドの提案にちょっと不満そうに返事をする。そんなカエデにルモカが微笑み話しかける

「良いじゃない。ツミキちゃんと、お話ししたかったんでしょ?」




「ごめんね、カエデちゃん」

 二人でツミキの布団を運んでいく。謝るツミキに答えることなくスタスタと部屋へと向かうカエデ。部屋の前に立ち止まり、二人でカエデの部屋へと入ってく。ベットの隣に布団を置くと、緊張から落ち着かない二人。とりあえずベットに座るカエデ。その隣に置かれた、ウサギのぬいぐるみを見つけたツミキ

「カエデちゃん、ウサギさん好きなの?」

「あっ……」

 ツミキに言われて、慌ててベットの布団の中に隠すカエデの側で、がさごそと鞄の中を探しているツミキ

「私も、そのぬいぐるみ好きなんだ」

 鞄から取り出したのは、小さい同じウサギのぬいぐるみ。エヘヘと笑うツミキを、恥ずかしそうに見いたカエデ。突然、立ち上がると部屋の入り口の方へ歩いてく。扉の前で止まると、ツミキの方に振り返り、ちょっと照れた感じで話しかける

「夕ご飯食べに行く……一緒に行く?」

 


「シキ、何をしているの?」

 ツミキ達がいる場所から遠く離れた場所に、シキが一人窓際に座っていた

「シンクお姉さま。空を見ていました」

 名前を呼ばれ振り向くと、シンクという髪を束ねた女性が、少し離れた場所にある螺旋階段からシキを見ていた

「……シキらしくないな」

 いつもとは少し違う行動に不思議がるが、すぐに背を向け階段を上がっていく

「お父様が呼んでいる。早く集まるようにと」

 数歩歩いたあと立ち止まり振り向くことなく、シキにそう話すシンク。後ろ姿を見つめながら、小さな声でシキが返事をした

「お父様が……分かりました」

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