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早く帰ることが最善策

「ここから出て、一時間経ってもなく戻ってきたと」

 そう話す男性の前には、医務室のベットで寝ているツミキの姿

「はい……ごめんなさい」

 ベットの側には、また怪我をさせていしまい落ち込むカエデと、機嫌の悪そうなミオリがいた

「避難場所を教えず帰した、こちらの責任でもあるが……」

 ため息ついて話す男性に、ちょっと怯えるカエデ。しばらくツミキを見たあと、二人の方に顔を向ける

「ミオリ君、カエデ君」

「……はい」

 カエデが小さく返事をする。その返事を聞いた男性は、無言で医務室の入り口へと歩くと、振り向くことなくまた二人に話しかける

「このツミキという少女が起き次第、自宅へ送るように」

 そう話終えると、一人先に医務室へ出ていった。残った二人。ツミキの側にある椅子に座るカエデと、壁に背もたれるミオリ。無言のままツミキが目を覚ますのを待ち続けていく


「あれ?ここ……」

 しばらくして目が覚めたツミキが、ゆっくりと体を起こす

「ツミキさん、起きましたか?」

 話しかけたのはカエデ。だが話しかけられても、頭が回らず、しばらくカエデの顔を見ながらボーっとする

「あれ?カエデさん……ここは」

「そう、さっきまでいた医務室」

 話を聞きながら、キョロキョロと辺りを見渡すと、壁に背もたれたまま、こちらを見ているミオリに気づく。目線に気づいたミオリ。一瞬ツミキを見ると、すぐ目をそらした


「カエデさん、あの子は?」

 ツミキが助け狙ってきた女の子が医務室に見当たらず、隣にいるカエデに聞いても、困った表情でツミキを見る 

「これ以上知る必要の無いことです。傷も完治していると思います。早速ここから立ち退かねば」

 答えられずにいるカエデに代わり、ミオリがツミキの元に歩みよりながら答えていく


「ミオリさん、そんなすぐ……」

 強めの口調で話すミオリを止めるカエデ。ツミキを見つめ淡々と話を続けてく

「また時間が過ぎ、あの子たちが来たとして、また避難に間に合わないと困る。早く帰る方が良い」

「そうですが……」

 沈黙が流れてく医務室。嫌な雰囲気にツミキがうつ向き小さく呟く

「……帰ります」

「そうだな。自宅まで送るよう命じられている。一緒に行こうか」

 表情を変えることなく、また淡々と話すミオリに戸惑うカエデと、話しかけてもうつ向いたままのツミキ。二人の雰囲気に気づいてか今度は優しく声をかける

「カエデも行く。それなら安心だろう?」

 ミオリの言葉に、顔を見合わせるツミキとカエデ。照れてはにかむ二人を見てミオリも微笑み、三人の笑い声が医務室に響く

「では、帰ろうか。二人とも道案内よろしく」

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