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原初神の代理人  作者: いっつおっけー
6/7

代理人、敗北する

前半が一、後半が俊介視点です。

さっき言ったことは前言撤回。入ってよかったと思います。


名残惜しくも俺は大神殿の中に入ると最初に目にしたのはさらに豪華なメトープの数々だった。パルテノン神殿に付属しているものよりはるかに緻密で、なにより素晴らしいのが写真で見たものと違い色が塗られている。鮮やかな色彩で彩られたメトープは観る者を圧倒的な臨場感と共に魅入らせる。


最初の彫刻小壁は黒い波のような波紋の中心で一柱の女神らしきものが踊っている。次の小壁を見てみるとどうやら黒き二柱の神が交わり二柱の白き神を。。。ってまんま神統記の始まりじゃねーか。なんだよ、知らない物語とかマイナーな神話が見れるかなと思ったのに。


でも俺、転移してきて、今初めてよかったと思えるんだ。だってこんなすごい光景絶対元の世界で見れないじゃん?それだけで世界人口の99%より得してると思える。


そんな感傷に浸っていると話し声が奥から聞こえてきた。多分俺のクラスメイト達だろう。俺は立派な大理石の柱の影から影へ移り徐々に近ずいていく。あれ?俺、何も悪いことしてないのに何でこそこそしているんだ?


そんな自問はよそに俺は一番近いクラスメイトから約10メートルぐらいの距離まで近づいた。何を話しているのか聞き耳を立てていると物凄く物騒なことを聞いた。


「天神君、本当にやるのかい?彼とは中が良かったんじゃないのかい?」


「ああやるとも。僕の権能が告げている。神原くんは絶対に排除する。それとも君には何か他に見えている物でもあるのかい、光治?」


「好きにするといい。君がここの頂点なんだしね。ただ一つだけ忠告するよ。傲慢さが秩序を上回った時、抑制された無秩序が大地を呼び起こす。いいね。」


「へぇ、まぁ心配しなくて大丈夫だよ。それと忠告をありがとう。覚えておくよ。」


俺!?俺何もしてないじゃん!知らない地で急に殺されるの?パニくっていると突如悪寒が走る。猛スピードで後ろを振り向いても誰もいない。警戒していると見えない手で口を塞がれ耳元で女が囁く。


「手を離すから落ち着いて一くん、そしてこれから言うことをよく聞いて。」


「マジで驚いたぞ、姿が見えないがこの声は北条十香冥か?」


「そうよ。今はハデスの権能で姿を隠しているわ。私のことはともかく、天神君は権能を手にして以来、なんだか様子がおかしいの。今彼はオリュンポス十二神の権能を持たない者を大神殿から排除していて、反抗を試みたクラスメイトは全てどこかに飛ばされてしまったの。他のクラスメイトには眼もくれなかったのに貴方がいないと分かったら急に貴方のことを敵視し始めて挙げ句の果てには貴方を殺すと言っているわ。」


「天神のヤツが頂点だって聞こえたし、まさかとは思うけどもしかしてアイツがゼウスの代理人?」


「そうよ。」


マジかよ!よりにもよってアイツが?あのチートスペック野郎に王権握らしたのかゼウスは!?まぁ、なんとなくわかる。だってアイツ一昔前の貴族っぽいんだもん。そりゃゼウスの目にも止まるか。


でも殺される理由が無い。アイツとはなんだかんだ付き合いは悪くなかったはずだ。急に様子がおかしくなった原因は。。。


俺は言い知れぬ不安に突如襲われ即座に大理石の柱から離れる。直後、俺が元居た場所は落雷が落ち大神殿の床石は真っ赤に熱されていた。でも砕けてないんだぜ、さすが不思議世界だ。


「君を当てられないとは僕もまだまだこの権能を使いこなせていないようだ。」


俺が声のする方へ目をやるとそこには雷を握っている天神の姿があった。


「テメェ。俺に本当に当たったらどうするんだ!死んじまうだろうが!」


「本当に殺す気なんだけどね。君はこの世界で生かしておけない。何故なら僕の権能が君を秩序に仇なす者だと告げているからなんだ。」


うおぉ!こいつ前触れもなく雷霆を投げてきやがった!なんだかちょっと焦げ臭いしヒリヒリする!俺の頭部にかすったのか!?


「お前親から武器を人に向けたらいけませんって習わなかったのか!こうなったら俺だって反撃して常識ってモンをお前の頭に叩き込んでやる!ディミ。。。」


「アテナ、アレス、彼の動きを封じてくれ。」


「ええ。」


「おうよ!」


了承の言葉と共に俺の腕を床に縫い付けたのは緑のオーラと赤のオーラを纏う二本の槍。尋常じゃない痛みが俺を襲う。


「くっそがああああああ!!!」


「確実に君を殺す。」


何度も雷霆に打たれ、身体中の筋肉が硬直し為す術もない状況でやはり気になったのは恵美と奈々のことだった。


「おい、天神っ!恵美と奈々はどこだ!何かしたら許さねぇからな!」


「彼女達か。ヘスティア、彼女達を連れてきてくれるかい?」


ヘスティア、もとい優炉聖が無言で恵美と奈々を連れてきた。しかし様子がおかしい。恵美と奈々は虚ろな目で俺を見ていて言葉を一切発さない。


「テメェあいつらに何しやがった!」


「いや何、君を排除すると言う方針を提案した時に彼女達は一番に僕に歯向かってきたらね。ヒュプノスの権能で彼女らには少しだけ夢現の中に閉じ込めさせてもらった。だが見ているこの光景を彼女達は記憶する。無残ではあるが君の死に目に立ち会わせる事を許すぐらいには彼女達に慈悲をかけている。では。」


天神は手をゆっくりと持ち上げ、俺の真上にある雷霆は輝きを増していく。そして徐々に雷は輪郭を明確にし雷槍を形作る。


「喜ぶといい。僕に今出せる最高の威力だ。痛みもなく君は消失するだろう。さようなら。」


別れの言葉と共に俺が最後に目にしたのは奈々から零れ落ちた一滴の涙だった。直後、この世ならざる衝撃で俺の意識はそこで途切れた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


目を向けることすらできない光の中で、僕は何かが腑に落ちなかった。


「へぇ。」


僕は確かに常人ならば威光だけで焼き尽くせるレベルの雷霆を放ったはずだ。まだ彼の体は残っていることは彼が何かしらの権能で体が頑強になったことで納得はできる。しかし驚くべきなのは彼は虫の息ではあるがまだ生きていて、徐々に傷が治っていることだ。


今の威力をもってしても彼を葬りきれなかった以上、今の僕では彼を冥府の最下層にて封印する以外彼を制することはできないんだろう。


「タルタロス、彼を奈落へ落として決して出られないようにするんだ。いいね。」


「...はい。」


「ヘスティア、アフロディーテを君の館に幽閉するんだ。いいね。」


僕は聖に命令すると彼女は無言で神原恵美の手をとり大神殿から出て行った。彼女達の背を目にしていた時に、後ろから眠たそうな声がかかる。


「おはよー俊にぃ、まだ眠いから眠夢もななっちについて行って自分の館で寝てていい?」


「いいよ。ゆっくり休むといい。今は何も頼むことはないからね。」


そう言って、ヒュプノスの代理人こと優谷眠夢は眠たそうな足取りで奈々について行った。眠夢にはどうやらヒュプノスから貰った館が奈落の底にあるらしい。では、次だ。


「ヘルメスはいるかな?」


「どうしたの?」


呼んで天井からふわふわ降りてきたのはヘルメスの代理人である天道雄人だ。


「悪いんだけど、今から近くの街で情報収集してくれるかい?今は情報が少なすぎるからね。」


「いいけれどちょっと遅れるかもね。僕ももしかしたら色んなものに目移りしちゃうかもしれないからね。」


「少しだけなら道草を食うのも許そう。でももしかしたら他の神々の代理人達もこの場所にいるかもしれない。だからそんなに遅くはならないでくれ。」


「りょーかい。」


そう言い残し、彼は羽の生えた靴を使って大神殿から出ていった。中々面白そうな権能じゃないか。


さて、ヘルメスが戻るまで何をしようかな。

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