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原初神の代理人  作者: いっつおっけー
3/7

代理人、死にかける

亀のように遅い投稿ですが気長に待っていただけると幸いです。

はいこんにちは!神原一です!えぇ、ただいま私、推定高度一万メートルからパラシュートなし、バンジーの綱なしの冥界特急フリーフォールを満喫しております。パラシュートは分かるけどバンジーの比喩は分からないって?まぁまぁそれは置いといて。どうしてこんな状況になってるかって?それは十数分前に遡る。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「神原さん!ありがとうございます!それでは直ちに貴方が行く世界、デウステラに転送します!」


「待て!」


「何ですか?」


カオスが首を傾けながら疑問を俺に問いかける。この駄女神っぷりだ。必ずやへマをやらかすと思った俺は転送を中断させる。


「おい、転送の前にお前はどこに俺を送るか教えろ。デウステラってどこだ。」


「そう言えばそうでした!」


こいつは。。。


「デウステラという場所はですね、もうご存知かと思いますが私の子孫であるギリシャ神話の神々やヒンドゥー教、北欧神話、ケルト神話に仏教!数多の修羅神仏が争いまくり貴方の世界が壊れそうだったので神々が緊急で作った異世界です!異世界といっても貴方がいた世界とほとんど同じなんですけど。貴方もニュースで天災や異常気象は聞いたり感じたりしましたよね?冷夏だったり、雪が冬に降らなかったり。あれ、世界が壊れる寸前の予兆なんです。すいません。。。」


じゃああれか、こいつらのせいで世界がぶっ壊れそうになっていてその上こいつらの喧嘩を肩代わりしろと。で、帰れる可能性もないのに異世界に送られると。平和ボケしてる日本人捕まえて神の力で戦争の調停者になれと。何の得もねーじゃん。しかし、もう行くと行ってしまったから撤回はできん。あ、そう言えば戦うとなれば肝心なことを忘れてた。


「なぁ、戦争を見守るとして、デウステラで代理が死んだらどうなるんだ?」


「普通に死にます。」


おい。なんてことをサラリと言いやがるんだ。


「当たり前ですよ、貴方たちはただの代理人。神ではありませんよ?まぁ権能を授かり下級ですが神性も得るので普通の人よりは相当頑丈になりますよ!後やはり代理人なので神性がない攻撃では完全無効化になりますが。まぁ貴方だけは私の代理人なので死ぬことはありませんが。」


「ん?何故俺()()は死なないんだ?」


俺の前世の知識が合っているのなら、神は例こそ少ないが死ぬ。伊邪那美命や迦具土神、有名なのはギリシャのメーティスぐらいか。そういえば、オーディンも死ぬんだったな。死なない神なんて聞いたことないな。


「カオス、なぜお前の代理人になる俺は死なないんだ?色々な神話を読んだが真に不死の神は聞いたことがない。」


カオスがニヤリと笑う。


「それはですね神原さん、私が原初の神だからですよ。死という概念を司る神は私から生まれた様なものですよ?私がその概念を超越できなくては強大な力を持った私の子供達が好き勝手殺し合いしていた神代で生き残れるわけありません。例えば私の古い知り合いだったティアマトさんは私と同じ創造神だったのですがね、子供達が反逆したので死んじゃいました。優しい方だったんですよ?ホント死んだら元も子もないですよ。」


「そうなのか。それでも俺以外のやつは死んでしまうんだろう?代理でも神の権能なら蘇生とか復活とかできるのか?」


「無理ですね。少なくとも他人の蘇生を因果律や世界の理を捻じ曲げずに成功させた人や神は聞いたことがありません。アスクレピオス君は色々やっていたようですが結局殺されちゃいましたし。私は死を超越していますが他の死を自在にコントロールできるわけではありません。生きとし生けるものは全て最後は死にます。それはどんな世界にでもある摂理です。ただ神が他の神にしか殺されない様に、代理人を殺せるのは代理人だけ。ただ例外的に神殺しをなし得る英雄がたまにいます。大切な人達が貴方にもいるのでしょうからその人達が危ないのであれば守ってあげればよろしいかと。」


それならよかった。俺が大切だと思えるやつは二人だけだ。危なくなったら俺が守ればいい。


「おい、そういえば死神の類は死んだりするのか?」


「いい質問ですね。死神やその眷属は実質的には不死です。しかし、殺せないわけではありません。一時的ですが死神を仮死状態にすることはできます。」


仕方ない。俺の望んだ答えじゃないがまぁいいだろう。他に聞くことはないかとあれこれ考えていたらカオスが話しかけてきた。


「神原さん、もし他の質問がないのであればデウステラへ行って頂けるとありがたいのですが。。。」


「わかった始めてくれ。あっ、最後の質問だ。もし下界で他の質問があったらどうやってお前に聞けばいい?」


「貴方は権能経由で私とパスが繋がっているので念じればお答えできると思いますよ。でもやはり在る次元が貴方と私では違うので長時間は出来ません。では!いってらっしゃいませ!」


別れと同時に彼女が俺の目の前に手をかざした瞬間、幾何学的な円形が俺を中心に構築され始めた。その模様は一秒ごとに複雑さをましていき、最終的にアニメや漫画で見る魔法陣らしきものになった。俺はカオスに視線を移す。彼女が俺に笑いかけようとした瞬間魔法陣が点滅し始めた。


「カオス、これ大丈夫なんだろうな。」


「....」


「おい、なぜ返事をしないんだ。どうし。。。」


「失敗してしまいました。」


は?こいつは何をしたって?失敗?何に?


「何にだ!お前は何に失敗したんだ!」


「神原さん、本っっっっっ当に!すいません!場所はちゃんと貴方のご学友がいるデウステラの国々の一つ、ヘラスと言う国なんです。ですが、間違えて地上転送ではなくて空中転送にしてしまいました!」


えー何々、このアホは神でもないただの人間を空中に転送先を設定したと。俺は知っている。人間ってのはものすごく弱いと。打ち所が悪ければ自分の身長の高さから落ちても死ぬと。


「分かってはいるんだが、あえてお前に聞く。どれぐらいの高度に設定したんだ?」


百メートル前後と言ってくれ!100メートルぐらい落ちても神性を得た俺は多分死なないから!


「一。。。一万メートルです。。。」


「。。。」


これは死んだわ。これは神性云々言う前にこれはどんな生物も落ちて生きれるレベルじゃない。アホなんじゃないかこいつ。てかアホだった。


「すみません!このまま転送します!再設定するにはあまりにも頭を使うんです!」


そう言い残して俺の周りの魔法陣は光を放ち始めた。そして光に包まれた俺は数秒後に推定一万メートルからの死のフリーフォールを始めたのである。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「死っっっっっっぬっっっっっっっ!あの駄女神覚えてろよ!」


必死に色々考えるがやはり何もできることがない。どうすればいい!そういえば権能を渡されたな!よし!


「いでよ我が力!我を守れ!」


これ自分でも分かるぐらいイタイですね、はい。やはり何も起きなかった。どうしたらいい!やばいやばい!あと三千メートルもない!


俺はそれでも落ちていく。重力加速度の法則であと二十数秒で俺はビチャになる。擬音が分からないって?見事な肉塊になると言うことです。


そうこう言っている間に残り数百メートルとなった。どうしよう!!!俺死にたくない!


「さよーならー!!」


死の覚悟を決めかけている俺の頭の中で突如声がした。


『知っているでしょ、あの言葉。』


「誰だ!」


何だ言葉って。そんなこと考えている時間はない!だって死んじゃうんだよ!あと数秒で死ぬんだよ!だがふとした瞬間、見覚えの無い複数の映像が断片的に走馬灯の様に脳内を巡った。


「何だこれ。。。これは、俺か?」


走馬灯の中で俺は二本の漆黒の刀と現代風のコートを纏い、白銀の鎧を纏い雷みたいな槍を持った相手と対峙している。その直後、俺は何かを呟いて着ていたコートをもやにして、そこからスマートな漆黒の鎧が形作られていく。あ、言葉ってこれか。よし分かった。


「ディミウルギア!」


その言葉の直後に俺の体からもやが吹き出した。そしてそのもやは俺を包み落下していく。そして地面と接触した瞬間にもやが俺の体にかかっていた異常なまでの速度や慣性、地面と接触することで発生する衝撃を全て中和した。こうして俺は難なく?無事に異世界デウステラの一国ヘラスに降り立った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


俺は一言で言うと神話、伝説オタクだ。それだけでは無い。ガキの頃からの趣味で神話の本を漁って呼んでいたらいつの間にか世界史や小説と言ったものまで神と言うものがいるのであれば手当たり次第に読んでいた。おかげで俺はヘラスという場所が何となくだがどこかは予想していた。


「やっぱりギリシャか。」


そう、ここは違う世界ではあるが紀元前400から300年のギリシャなのである。なのでオタクである俺はもうそれはそれはウハウハなのである。とはいえ、俺は最優先事項を忘れていたわけでは無い。それは恵美や奈々を探すと言うこと。なので俺は降り立った高い丘の上から見える街を目印に歩き始めた。


そんで、歩き始めて数十分。俺はやっと街の外壁の大きさが分かる位置までたどり着いた。外壁を目指していると丘の上では分からなかったある程度長い列を見つけた。俺も礼儀を重んじる日本人なのでその列に加わる。しかし長いこと待ってもほとんど進まないので俺は前の人に聞くことにした。


「すいません、この列は何でしょうか?言ったい街の中で何が行われているんですか?」


日本語通じるのかなーと思いながらも声をかけるとその大男は振り向いて答えてくれた。


「おぉ坊主、お前もこの地に降り立った神々の御姿を目に焼き付けようとこの街に来たんだな!熱心なことだ。お前みたいにヒョロくて弱そうなやつにも降り立った神々はきっと御加護をくださる。よかったな!」


何だこのおっさん、失礼なことほざきやがって。血祭りにあげたろか。そんな物騒なことを考えながらも丁寧に聞き返す。


「聞き忘れていました。ここは何と言う街なのですか?」


「あれ、坊主、ここをどこか知らねーで来たのか?じゃあ神々が降臨なさったことも知らねーのか?」


知らんがな。俺は2時間ちょっと前に来たばかりだ。ここがどこか知るか。


「知りません、何しろ田舎者ですから。ははは。」


異世界から来ました、なんて言えるか。


「どんな田舎から来たんだお前、まぁいいぜ。坊主、ここはなリトホロだ。そしてオリュンポス十二神が居られる神山オリュンポスに一番近い町だ。」


ってことは。。。恵美や奈々に会えるってことか!カオスグッジョブ!よし、こっからあいつらを探すか!

誤字脱字、文法の間違えを指摘していただくとありがたいです。

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