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俺は異世界の彼女へ恋をした  作者: 聖天海砂/光輝
第一章 ダンジョン都市
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第一章1 目覚めたらそこは異世界だった

どうも!聖天海瀬です!今回は第一章の1を投稿することができました!プロローグから来てくれた方!どうぞ!読んでください!

 ――ここは一体どこなんだ。



 眠りから目覚めたばかりで意識がはっきりしない中、彼の心中はその一言で簡単に表現できた。

 目覚めたばかりというのは正確ではない。彼は地に足をつけ、自らの足で立っている。

 目覚めてから、既に5分ほど立ち尽くしていた。

 意識がやっとはっきりして来た彼は、ある事に気付く。


「やっぱ、夢じゃないんだよな…」


 少年は地面に手をつき、その場に座り込んで辺りを見渡してみる。

 少年は中肉中背で、これといって得意な事がある訳でもない普通の学生。黒髪のせいもあり特に目立った外見もない。


 周囲の人から見ても特に目立たないはずだ。

 だが、そんな彼を見ていく視線には珍しいものでも見ているようなものだった。


 仕方ないのかもしれない。いや当然だ。

 少年も人々へ目を向けて驚きを隠せない。そこにいる人々は薄い皮らしきものや、金属で出来た防具や暗い色一色のローブなどを身につけている。

 少なくとも現代日本ではありえない、そもそも文化すら違うであろう。


 人々の視線にさらされて、座り込んでいた少年は立ち上がる。


「まさか、これって…」


 頬をつねって、現実である事を再確認する。痛みを感じる。頬がやや赤く染まった。

 つねったからではない。興奮で頬が赤く染まったのだ。少年は、高まる気持ちを抑え込む。


「――異世界転移ってやつだよな」


 無遠慮な視線をおくって、目の前を横切っていく人々の中の一人がこちらへ近づいてくる。

 赤髪で、身長は高くとても細く痩せている男。どこか弱々しく見える顔つきだ。

 男は少年の前で止まり顎に手を当て、腰を折って、少年の顔を覗き込むように伺う。


「見慣れねぇ顔だなぁ、坊主どっからきたぁ?」


「えっと、俺は…」


「何か事情がありそうだなぁ。ここは人が多い。場所変えるからぁちょっこら付き合え坊主」


 そうして男は歩き出して人々の中へ紛れていく。男の服装は軽そうな布と皮による服で、ほとんど目立った特徴がない。

 少年が男を見失いそうになると、男が少年へ振り返り、にっこりと微笑んだ。


「何してんだぁ?坊主、置いてくぞぉ?置いてかねぇけどなぁ」


 そう言って男は一人で笑っている。


「あっはい!」


 少年は男へ駆け寄る。男はそれを確認すると、再び歩き始める。少年は人が多い中、男とはぐれないように必死について行った。

 この時、少年は男がどういう人物であるのか、はたまた一体なぜ声をかけてきたのか、考えることすら頭には無かった。





 ――――――――――――――――――――――――



 凛月蒼人(りんげつあおと)は平成生まれの普通の学生である。


 彼の十六年の人生は、たった一言でいい表すことが出来るようなものだった。



 ――平和。



 普通の毎日を過ごしていただけだった。時には面倒だと学校をサボることがあるものの、特にひきこもりというほどではない。ただ欠席日数が多いくらいのものだ。

 学校をサボっても、彼には特にすることがなくネットに沈み続け気づけば外が暗く――、


「とはいえ、異世界転移か……なに言ってんのか自分でもわかんないな」


「んあ?なんか言ったかぁ?坊主」


「いや、独り言です。あはは」


 少し道を歩くと細い道があった。そこを進んだ先には、人の少ない広場があった。

 男が立ち止まった。そこはとても静かで、水の流れる音が聞こえてきた。広場の真ん中には噴水があり、その周りには生活感に溢れた住居が並んでいる。


 そうして冷静になってから、初めて周りを見渡した。


 建物に使われている建材は、石材、木材が多い。機械らしきものは見当たらない。おそらく機械という文化がないのだろう。


「ここらでええかぁ、とりあえず坊主座れやぁ」


 すると男は噴水の前に設置されているベンチに、一人分の広さを開けて腰掛けた。足を組み、堂々としている姿には、見た目のような弱々しさは感じられない。


「俺はぁマルコ。坊主、名前は?」


「…凛月蒼人です」


「あぁ?へんな名前だなぁ坊主」


 蒼人は苦笑する。予想はしていた。だからこそどう反応していいのかわからなかった。

 この異世界で日本人の名前が珍しいなど、言われなくても分かっていた。

 男は顎に手を当て蒼人の方へと視線を向け、不思議そうな顔をする。


「坊主、かわったぁ服着てんなぁ」


「あはは、俺ここに来たの初めてでなんもわかんないんですよね」


 再び苦笑すると、蒼人はマルコの後ろに見える屋根の高い塔のようなものへ視線を向けた。

 石材で出来ているように見えるそれは、周りの建物よりも高く存在感があり、それがこの都市の中心部に位置するというのが、一目でわかった。


「マルコさん、あの塔のようなものはなんですか?」


「坊主、ダンジョンを知らねぇのかぁ?」


 マルコはとても驚いた表情でこちらを見て、再び顎に手を当てる。そうしてまじまじと蒼人を見つめると、顔をしかめた。


「坊主、ちょっこら付き合え」


 再び歩きだす。蒼人は(ダンジョン)?と呼ばれたそれへの疑問を残したまま、再びついていく。



 ――ダンジョン。



 蒼人の頭は、その単語で埋め尽くされていた。

 年頃の男の子としては、興味を示さないわけがない単語だ。蒼人は気分が高揚する。この世界に。ダンジョンに。


「ダンジョン。この世界に異世界転移された俺。間違いない。俺はこの世界の…?」


 一人の世界に入り込む。ダンジョンという一つの単語から様々な仮説を立て、頭の中で組み立てていく。


 我に返った蒼人が周りを見渡すとそこは、小動物の気配さえ感じさせないほど、静かだ。静かすぎる。日の光が当たっておらず、空気は生温く薄暗い場所だ。



 ――路地裏――



 おそらく間違えないだろう。でもなぜここにいるのか、蒼人は理解していなかった。

 すぐ前にいたはずである、マルコが見当たらない。あたりを見回す。

 あるのはボロボロの建物で、人が暮らしていないというのは一目でわかった。


「マルコさーん!あれ?はぐれちゃったか?ここどこだ?」


「坊主、こんなぁところに一人なんて迷子かぁ?」


「マルコさん、なに言って…」


 言葉を失った。そこにいたのは先程までとはまるで違う、不適な笑みを浮かべたマルコ。そしてとなりにはマルコと瓜二つの人間がもう一人。


 蒼人は、自らの危機感が無さすぎたことに気づいた。なぜマルコがどのような人物かもわからないまま、ついて行ってしまったのか。


「マルコさんが二人…?」


「おいおいマルコぉ?このおかしなマヌケはなんだぁ?」


「俺はしらねぇなぁ?ファルコぉ」


「マルコさん、なに言って…」


 ファルコと呼ばれた、マルコにそっくりなその人物はファルコと同じ服装、髪色をしていて、見分けがつかない。

 マルコとファルコは二人同時に、腰からナイフのような刃物をマルコは右手、ファルコは左手で抜いて逆手で持つ。腰を落とし、身構える。


「悪いがぁ坊主、死にたくなきゃそのポケットの中身を置いてきなぁ」


「ポケットの中には、なにも…」


「とぼけんじゃねぇ!死にてぇのか!」


 ファルコがそう叫ぶと、蒼人は腰が抜かしてしまった。震えながら、恐る恐るポケットに手を突っ込むとビー玉のような小さな丸い球体に触れた。それを掴みポケットからだす。

 それは、濁った白色をしていて弱い光をはなっている。


「おいマルコぉ、こいつはぁ?!」


「やっぱり間違えねぇ、オーブだぁ!さぁはやく!死にたくなきゃそいつをぉ渡しなぁ!」


「は、はぃぃ!」


 震える身体を抑えて、オーブと呼ばれたその小さな球体を差し出そうとする。



「そこまでよ!」



 ――透き通るような美しい銀髪の少女の声が、路地裏に響いた。

あげられるときにあげる。なので投稿する日にちがバラバラかも知れませんが、頑張ります!今回は、文字数が少し少なめですが、次回からはもうちょっと多いと思います!聖天海砂の頑張りに乞うご期待!あと話の続きも!

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